【安保法制、あらゆる事態に切れ目なく対応】

早ければ13日にも安保法制与党協議が開始され、来月下旬を目処に法案を取りまとめるとの報道があるが、何れにせよ、与党協議は、昨年7月の閣議決定の内容をスタートラインとして協議されることになる。

上記閣議決定は、大きく法律の改正が必要ない事項と法改正・新法が必要な事項に分かれる。前者はグレーゾーン事態での自衛隊出動の迅速化策であり、後者は平時の米韓防護、他国への後方支援や国際協力、限定的な集団的自衛権行使等のための法改正(必要があれば新法の整備)である。

また、今回の与党協議の目的が「あらゆる事態に切れ目なく対応できる法的基盤の整備である」ことも忘れてはいけない。

例えば、他国への後方支援・国際協力であれば、現在の法律では周辺事態法とPKO協力法があるが、その間を埋める給油支援特措法やイラク特措法のような「他国への後方支援・国際協力」を可能とする法律がない。

切れ目なく対応するにはその領域に対する法整備が必要だ。一般論としては、その領域に対応する新たな法律を作るか、周辺事態法を見直し拡大してその領域を含めるか、或いはPKO協力法を見直し拡大してその領域を含める等のやり方はあろうが、今後、どのような法体系にするかは与党協議で議論されるだろう。

また、政府答弁によると、ホルムズ海峡での機雷掃海も、新三要件に合致すれば、実施可能との整理が、7月の閣議決定でなされた。実際に、日本生存や国民の権利に多大なる影響があり、戦術的にも掃海可能であれば、停戦がなされていなくても機雷掃海を行うことはあり得ると思う。

例えば日本有事で、仮に北海道で戦闘が継続していても、関門海峡に戦火が及ばなければ、停戦前でも関門海峡での機雷掃海は戦術的にも実施可能であり、国民生活を守る上でも必要だろう。同じように、イランの国土は広い。仮にイラン北部で一部戦闘が継続していても、ホルムズ海峡に戦火が及ばなければ、停戦前でもホルムズ海峡での機雷掃海は戦術的にも実施可能であり、日本の存立や国民の権利や生活に深刻な影響を与えかねない場合には、機雷掃海を行うことが必要な場合もあると思う。本件も与党協議の場でも議論される可能性はある。

また、一つ気になるのは用語の使い方だ。一部に混乱している面もあるように思う。「特別措置法(特措法)」の対が「一般法」であり、「限時法」或いは「時限法」の対が「恒久法」だ。理論上、特措法には限時法の場合もあれば、恒久法の場合もある。佐藤個人としては、一般法と特措法の対が好きだ。法律に「恒久」はなじまない気もする。これら用語も与党協議で議論されるかもしれない。

何れにせよ、今国会後半の山場である安保法制、そのための与党協議、真摯に議論する。佐藤は、政治にとって大事なことの一つは、自衛隊が自衛のための武力行使をしなくてもよい国際環境を外交努力で徹底的に作り上げることがであり、それが第一と考える。一方で、イザという時に備え、抑止力・対処力の観点から自衛隊がしっかり動ける法的基盤や体制・態勢を作ることもあわせて大事であることは論を待たない。

しっかりと議論をし、結果出して行きたい!