【参議院予算委員会にて質問


本日から国会にて参議院の予算委員会が開催され、質問の機会を頂き「今般の邦人人質殺害事件」を中心に、今後我が国がどのようにテロの脅威に屈しない確固たる姿勢・決意についてご見解を伺い質問致しました。





【主な質問内容の要旨は下記の通り】




-ISILによる人質事件について-


●湯川さん、後藤さんのご遺体・遺品の、日本への帰還の可能性を伺いたい。


答弁:岸田 文雄 外務大臣


我が国でも映像の収集・検証は行っており、画像の確認もできている。ご遺体・遺品の帰還については、テロに屈することなく引き続き努力していきたい。








●今般の事件を受け、東京五輪のテロ対策への関心の高まりと決意を伺いたい。


答弁:安倍晋三 内閣総理大臣


ロンドンオリンピックなどのテロ対策を踏まえ、東京オリンピックにおいても、かつてテロ対策にかかわった方々に積極的にヒアリングを行う。サイバーテロなど多々なるテロの脅威を視野に入れ、水際でテロの侵入阻止を行っていきたい。








●多くのイスラム諸国は親日国家である。しかしISILのような異質な過激派に邦人が襲われる危険性もあり、今回の事件を踏まえ危険地域への渡航を視野に入れている方々、日本国民へ総理からのメッセージを頂きたい。


答弁:安倍晋三 内閣総理大臣


我が国の国民を守る。それを実現させるためにはお金を出しても解決しない。日本を守るためには多くの国々と情報の共有が必要。他国と協力し過激主義を抑えるために戦う。


今回の事件を踏まえ中東への人道支援を今後も進めていくことは決定しており、今後も決してテロに屈することなく戦う。








●ISILだけでなく、中東アフリカ地域を中心として、アラビア半島では多くの過激派が活動している。また外務省が発表している中東地域の渡航注意情報を見てみるとシリアやイエメン、イラクは退避勧告地域に指定されており、これら危険地域を含む中東アフリカにも我が国の防衛駐在官の配置が行われている。


しかし、ISILの現地対策本部があるヨルダンには防衛駐在官が存在せず、シリア、イラク、にもいない。防衛駐在官の配置について必要な地域に配置されていないと思う。さらに、私は自衛官時代、シリアとイラク派遣において隊長を務めたが、派遣先で多々なる殺害声明を受けた経験がある。その多くは誤情報・脅しであったが、そうした情報においても情報源の分析は必要であり、その分析の過程で同情報が重なれば要注意。情報の分析を行うためにも独自の現地情報ネットワーク構築は極めて重要であり、退避勧告地域においても、在留邦人はいる。以上のことからも武官を配置は重要であり、現地のミリタリー情報チャンネルを構築することが積極的平和主義にも通じると思う。


総理のご所見を伺いしたい。


答弁:安倍晋三 内閣総理大臣


中東地域を含め、軍の情報機関は同類の情報機関にしか情報提供をしないという傾向がある。今回の事案においては、ヨルダンの情報収集能力は非常高く、こうしたことを踏まえ各地域の軍の情報機関と連携するために、我が国も中東諸国に防衛駐在官の配置を検討する必要がある。








●テロリストの目的の一つに、対象国の政府と国民との乖離がある。人質事件の全責任は過激派のISILにあり、日本政府ではない。当然検証は必要ですが、今は政府と国民が一枚岩になって、毅然とテロに立ち向かうことが姿勢をみせることが肝要だと考えている。








-歴史戦-


●ハワイの真珠湾の太平洋航空博物館に「中国人がアメリカ人パイロットを助けたという理由で、中国人約25万人が日本人により殺害された」との記述がある。本当でしょうか?


今度、天皇陛下が訪問されるパラオの首都マルキョクにある国会議事堂。この国会議事堂のすぐ側には韓国人犠牲者の追悼碑が存在している。ここには日本軍による慰安婦や強制労働、奴隷が5000人との記述もある。この数字や記述は事実か?事実関係を調べ、事実誤認なら、日本の名誉の為に行動を起こすべき。総理のご所見をお伺いしたい。


答弁:岸田 文雄 外務大臣


国際社会において事実無根の中傷で日本の名誉が傷つけられた場合、早急なる名誉の回復が必要である。パラオ、太平洋地域の案件について、具体的な数値を出すのは難しいが、我が国としては正しい歴史認識のもと詳細な情報を調べ対応していきたい。








-南西諸島と太平洋正面の防衛警備について-


●中国の国防費の推移について、過去10年で4倍となっている。今年度は自衛隊の約3倍であるが、兵器開発・購入費が入っていない為、実際は自衛隊の4から5倍との見方もある。


第4世代の戦闘機数を見ても、自衛隊の約2倍以上と見ることが出来る。また、南シナ海の南沙諸島では中国が一方的に岩礁を埋め立て港や滑走路を造っている。この行動に対してフィリピンが抗議をしているが、中国と軍事力の格差があるため、工事を止められないというのが現実である。


また自衛隊機の対中国緊急発進回数の推移については、年々増加し、今年度も12月までで既に370回を超えており、過去最高のペース。 








●中国の温州市沖の南き諸島では、中国軍のヘリポートが完成、今後滑走路も作られるという見方もある。ここから尖閣諸島までは約300km、一方、空自那覇基地からは約420km。この120kmの差は、戦闘機シュミレーションをやると、自衛隊には好ましくない結果が出る。これは航空機の増加では解決できない問題であり、離島に住む日本人を守るためにも、那覇空港よりも西側に、空自戦闘機が使用可能な航空基盤を設定する必要がある。また、現在那覇空港は滑走路が1本しかない。それを民間機、空自、海自、陸自、海保が共用している状態であり、民航機が滑走路でトラブルを引き起こした場合、スクランブル発進が出来なくなる。現在、第2滑走路を建設中であるが、第1から第2滑走路に行く誘導路は、自衛隊の基地から遠い北側に一本しかない。その誘導路が破壊されたら第2滑走路は使用不能となり、危機管理の観点から、第Ⅰ滑走路付近にもう一本誘導路を造るべきだと思う。将来の課題として、国土交通省と防衛省は協議をすべきだと思うが、国交大臣のご所見をお伺いしたい。


答弁:太田昭宏 国土交通大臣


滑走路の計画は以前も検討した内容でもあるが、ご指摘を踏まえたうえで、再度防衛省と連携を取り計画を進めていきたい。








●近年、中国の艦艇等が太平洋に進出し、沖ノ鳥島近傍での訓練回数を増加させている。


日本の南端、沖ノ鳥島の整備工事を行っており、その他施設の整備も今後行う予定である。この沖の鳥島により、日本の領土面積よりも広い40万平方kmの排他的経済水域を確保することができ資源の採取も可能である。しかし、沖ノ鳥島は満潮時わずかな面積を残し海に沈むため、中国や韓国は島ではなく岩だと主張し島として認めていない。


故に仮に中国の漁船や公船が領海に入ってきても中国は領海侵犯とは認めないと考えることができ、監視船がいなければ、中国漁船を排除することも出来ない。また、監視カメラで、中国船を視認し、横浜から駆けつけようにも船で5日かかり、主権侵害を長時間許すことになる。特に桟橋完成以降、有人警備施設や巡視船配備を含めた領海警備態勢が必要、また日本は海洋国家であり、排他的経済水域は世界第6位であり広大。一方、中国漁船は尖閣どころか、沖ノ鳥島や父島、南鳥島沖の小笠原にも来ている。やはり巡視船等を増強することによって海保の領海警備体制を強化すべきと考え海保庁長官のご所見をお伺いしたい。


答弁: 佐藤雄二 海上保安庁長官


尖閣諸島周辺の取締・警備、沖ノ鳥島においても継続的に警備を行っていきたい。


沖ノ鳥島の周辺海域の工事終了後も限られた資源・人材を有効活用し、海保の機能を効率的に運用し警備に努めたい。








●中国珊瑚漁船について、福建省等から来ていたが、あの漁船クラスで往復含め油代が1隻約400万。200隻だと油代だけで8億円と予測することができる。更に1隻あたり約10人の漁民が乗っており200隻だと2000人。これは父島の人口より多い。


警察官は父島には15人。母島には2人駐在しており、今回の事件を受け、警察官を十数人増派したが、増派においても船で二日掛かる。グレーゾーン事態発生時、速やかに島民を守る必要があるが15人では、小笠原の島民を守ることが出来ない。国家公安委員長、速やかな増派には、空港が必要だと思うが国家公安委員長のご所見をお伺いしたい。


答弁:山谷えり子 国家公安委員会委員長


現在父島に15人、母島2人に警官を駐在させているが、佐藤議員の言うとおり事件発生時、本土から人員を派遣すると時間がかかる、既存の手段を最大限活用し関係機関と連携し対処していきたい。







●父島の二見港は喫水が浅いため、海自護衛艦は入港できないが、海自護衛艦は洋上での油の補給能力がある。海保の巡視船は洋上補給能力がなく、さらに二見港に給油施設がないため、給油の度に父島から1000km離れた、横浜まで給油に戻らないといけない。これでは警備に穴があく。大島の災害対処でも空港や港湾の能力が問題となり、そうした事例を踏まえた上で、単に利益率だけでなく、島民の安全確保の為にも、小笠原におけるインフラ整備を東京都と連携して実施すべきだと思い、これを要望して質疑を終わらせて頂きます。