本日8時から、平成27年度税制改正要望等について、国防部会において議論された。
まずは、税制改正要望について、概要は以下の通り。
●軽油引取税に係る課税免除の特例措置の恒久化
平成21年度税制改正にて、道路財源の一般化に伴い、
道路使用に直接関係しない用途に係るものも原則課税となったが、
課税免除特例措置が来年3月で期限を迎えることになる。
本来、自衛隊の持つ公益性を考えると、非課税とすることが妥当であり、
課税されれば、任務遂行に重大な支障が生じる。
この課税免除がなされない場合、
船舶等の軽油の調達量は約3割減少する(海自艦船の約4か月分の燃料に相当)ことになる。
●ACSAに基づく免税軽油の提供時における課税免除の特例措置の創設
免税軽油(船舶用)をACSAに基づき提供すると、軽油引取税(みなす課税)が課税される。
例えば、昨年11月にフィリピンで発生した台風ハイエンの被害に対応するために、
国際緊急援助活動を行ったが、オーストラリアに提供した軽油にかかる課税は約700万円になる。
課税されることにより、提供自体が抑制されたり、調整を行っている間に時期を逸失することも考えられ、緊急のニーズに対応できない可能性が高い。
※ACSAとは、物品役務相互提供協定のことで、アメリカ、オーストラリアと締結。カナダ等他国とも締結交渉中。
●試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除の拡充
我が国の防衛関連産業において、先進的な研究開発は防衛装備品に特化したものではないため、
民生分野全体の技術基盤を幅広く向上させることがその能力向上に寄与する。
所得の計算上損金に算入される試験研究費の額がある場合、
その事業年度の法人税額から、試験研究費の額に税額控除の割合に乗じて計算した金額を、
控除できる制度だ。
防衛産業における研究開発から民生品に転化できる技術も多数生まれることも考えられ、
意義は大きいと思う。
●予備自衛官等を雇用した場合の法人税額等の特別控除の創設
予備自衛官及び即応予備自衛官の充足率は約6~7割で、かつ低下傾向にある。
通常はそれぞれの職業に従事しており、約8割が企業等に雇用されている。
本人の意欲だけでは、生業と訓練等を両立させ、招集義務を果たすことが困難になっているのだ。
予備自衛官及び即応予備自衛官の充足向上のために、
雇用企業等へのインセンティブを高める施策を実施する必要がある。
予備自衛官及び即応予備自衛官の雇用にあたり、
ひとり10万円の法人税控除という制度を要望なのだが、
これは補助金に変えるなどの柔軟な対応も検討してもいいだろう。
次に、
特殊作戦隊員手当に係る概算要求について、概要は以下の通りだ。
島嶼部に対する攻撃への対応のため、
西部方面普通科連隊を母体に、「水陸機動団」を平成29年度末までに立ち上げる予定である。
現在、西部方面普通科連隊は約700名体制であるが、
水陸機動団は最終的に約3,000名体制とする予定である。
この発足にあたっては、厳しい訓練を経て、
著しく危険・困難な任務に耐えうる優秀な隊員を全国から確保する必要があり、
それにはインセンティブが重要である。
手当と訓練・任務等の困難さがアンバランスになっていることが、
人材確保の障害になっているのだ。
以上の要望の折衝は厳しいものであるのは間違いないが、
現場で働く隊員のため、ひいては国民を守るため、真剣に推進していく決意である。