本日午前、昨日の衆議院に続いて、参議院でも、安全保守法制に関する閣議決定を受けて、予算委員会閉会中審査が開催され、自民党を代表して、質問の機会をいただいた。




私は外務省員としてカンボジアPKOに関与し、自衛官として、ゴラン高原PKO第一次隊長とイラク派遣先遣隊長を努めました。そこには、一国平和主義では、平和も国民も守れない現実がありました。一国平和主義を脱却し、積極的平和主義に基づき、国家・国民を守るためには、グレーゾーン対処も、駆けつけ警護も、集団的自衛権の行使も必要不可欠です。




また日米同盟も勘違いしている方がいます。日米安保条約も、日米が共同して日本を守るのであって、基地を提供しているからといって、米国の兵士にだけ、汗をかけといっても通用するはずもありません。




私は、今回の安全保障法制に係わる閣議決定は、日本を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増す中で、抑止力を高め、国家国民を守る上でも、極めて重要な閣議決定であり、国のトップとしてその責任を果たすべく、決断をし、リーダーシップを発揮された安倍総理の覚悟に敬意を表します。





他国のリーダーも同じ、この厳しい国際環境の中で国家国民を守り幸せにしなければなりません。安倍総理は先週まで、ニュージーランド、豪州、パプアニューギニアなど歴訪され、今般の集団的自衛権行使について説明され、各国から高い評価を得ました。




当然、自衛隊が危険な任務につくことのないよう、また自衛の為に武力を使わなくても良い国際環境を外交努力によってつくることが、政治の重要な役割です。ただ、日本が侵略を受け、国の主権が侵害され、国民の命が危険にさらされた場合、総理は、それを排除しうる唯一の実力組織である自衛隊に防衛出動を発動し、侵略を排除しなければなりませんし、自衛隊は全力で国を、国民を守らねばなりません。




国の存立が脅かされ、国民の命や自由等が守れない場合、それを排除するためには、国際法上、個別的自衛権と読めない、集団的自衛権と読まざるを得ない実力行使が必要な時に、自衛隊に出動を命じなくて良いのか?国民に犠牲がでるまで、何もしなくても良いのか?そういった議論を今回の与党協議会でもしました。




今から42年前に出された政府見解当時と比べて、ミサイル等も長射程化し、国際環境も大きく変わりました。日本が攻撃されていない段階でも、そのまま放置をしていたら、わが国の主権が侵害され、国民に犠牲が出かねない場合がある。その際には、防衛出動と同様、自衛隊に武力行使を求めるのが、今回の閣議決定の一つの主旨だと考えます。




例えて言うと、自分の家が火事になる前に、隣の火事を日米連携して消さないと、国民の命が守れない場合がある。集団的自衛権が認められないからといって、日本国民に犠牲が出るまで何もしてなくてもいいと言うことはない。個別的時絵権に限りなく近い形の集団的自衛権を限定的して認めようという主旨です。




自衛隊は、イザという時、政治の命により、国家・国民を守るため、行動します。即ち、そこには一部マスコミが書き立てているような、戦争をできる国にしていいのかとか、自衛隊員が殺されてもいいのかと観念的な論理は生まれないでしょう。主権を守り、国民を守るために、自衛隊員は「事に臨んでは危険を顧みず・・・・」と宣誓をして入隊します。即ち、国家国民のために危険な任務をいとわないと宣誓し、有事を期して厳しい訓練に明け暮れている現実があります。 




イラク派遣時、マスコミの多くは、初めて自衛隊に被害が出るといった煽る報道を盛んにしていましたが、中東地域の安定は日本の国益との説明を受け、多くの隊員が命とあれば行きますと志願しました。東日本大震災時、原発が1号機から4号機が相次いで爆発し、これ以上爆発したら日本が大変になるとの事で自衛隊にヘリによる放水を命じました。天井が飛んだため、一番強い放射線が出るのが上空です。時の隊長は、ヘリの搭乗要員を集めて、意志を確認したところ全員が手を挙げた。これが現実です。




隊員にも憲法で認められた権利や自由はあります、ただ、それ以上に、国家・国民を守るための義務と責任があり、自衛官としての誇りがあります。


指揮官は、隊員のその思いをわかった上でも、目的のために危険な任務を命じないといけませんし、政治は、国家・国民を守るために判断をしないといけません。




自衛隊を認めていない、或いは自衛隊の海外派遣を反対している政党が自衛隊員の命が危なくなるから反対というのも理解に苦しむし、訓練を命じていた元防衛庁長官の職にあった方までが、「自衛隊の大方は戦う心構えがないとか」、自衛隊員を冒涜する発言を行うことは嘆かわしいと思います。政治が国防組織を信じなくして、国を守ることはできません。




であれば、自衛隊は、個別的自衛権であれ、限定的な集団的自衛権であれ、国家国民を守るために、政治の命により、誇りを持って、義務と責任を果たします。




では、国の存立を全うし、国民の生命、自由等が根底から覆される事態における限定的な集団的自衛権とは何か?。「明日にも戦争に巻き込まれる」「徴兵制になる」などという一部メディアの事実に則さない報道の影響もあり、まだまだ国民の皆さんに十分伝わっていないのが、現状だと思います。




委員会では、それらの観点から、弾道ミサイル対処時における日米イージス艦の協同、国際的な機雷掃海への参加、離島などにおける不法行為への対処、PKOを含む国際協力活動、などの事例を挙げて、テレビの先のおひとりおひとりにご理解をいただくべく分かり易い質疑を心がけました。




参議院のインターネット放送(http://www.sangiin.go.jp/
)で視聴いただけますので、ご覧下さい。