⚪️ 北朝鮮の弾道ミサイル発射、中韓首脳会談への警告か、日朝協議牽制か?

今朝、午前5時ごろ、北朝鮮は南東部元山から弾道ミサイルが数発(2発?)、東海岸から日本海に向け約500kmの射程で発射した。

3月3日、26日に続く発射で、今回は3月のノドンミサイル(ほぼ日本全土が射程圏内)と異なり、スカッドミサイルと見られているが、西日本は射程圏内だ。弾道ミサイルから国民の命を守る上でも、集団的自衛権を含む日米防衛協力体制強化は、抑止力、対処力上も喫緊の課題と言える。

北朝鮮と7月1日に北京で拉致問題等を議題とした局長級協議を予定している日本側にすれば、3月に続いて「またか」との思いもあるだろう。これは完全な国連安保理決議違反であり、また、日本海を航行する船舶や航空機の安全確保上も問題だ。日本側が北朝鮮に抗議するのは当然だ。

では、何故、今の弾道ミサイル発射なのか?北朝鮮にとっては日本との協議を前に緊張を高める狙いがある可能性も否定できないが、一番の眼目は中韓首脳会談への警告・牽制だろう。

中国の習近平国家主席が7月3日から2日間、韓国を訪問する。中国の国家主席が北朝鮮よりも先に韓国を訪問するのは初めてという慣例破りで、更に、今回の習主席の外遊は韓国単独という異例の韓国重視の訪問だ。

中韓首脳会談では、中韓経済発展強化に加えて、日本側に圧力を強めるために歴史問題や慰安婦問題を協議することも予想される。更に、北朝鮮が中国の自制を聞かずに核開発を進めていることから、核実験を抑え込むための歯止め策や核実験を強行した場合の制裁等についても議論される可能性が高い。


北朝鮮の金正恩第1書記にとって習主席の訪韓は、看過できるものではなく、強い不快感を持つのは当然だ。中韓首脳会談での北朝鮮への批判を弱める警告牽制の意味で、弾道ミサイル発射したとも考えられる。であれば、北朝鮮にとって、警告はこれで終わりではなく、中韓首脳会談が終わるまで、外交と合わせて更なる軍事的措置を取ることも考えられる。

日本政府は、日朝局長級協議でも弾道ミサイル発射への抗議は当然だが、米韓と連携しつつ、情報収集や警戒を厳にし、航空機や船舶の安全を確保しなければならない。