本日、外交防衛委員会が開催され、佐藤は65分間の質疑を行いました。
骨子は下記の通りです。


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1 支那事変以前に日本の海運会社に貸し出した船舶の賃貸料を求め勝訴した裁判を巡って、中国・上海海事法院が、わが国の商船三井保有の船舶を差し押さえしたと発表。

また戦時中に「強制連行」されたとして、中国人が三菱マテリアルなどに損害賠償を求めて北京の裁判所に訴状を提出したとの報道もある。

昭和47年の日中共同声明では「中華人民共和国政府は、中日両国国民のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄する」とされており、わが国最高裁は平成19年、日中共同声明において、個人の請求権も放棄されたとの立場であるとの判断を下した。

しかし最近、中国政府は、日中共同声明で放棄した戦争に係る賠償請求について民間や個人の請求権は放棄していないとの見解を示している。

日中共同声明以来、42年を経過したが、今に至り中国政府がこのような見解を示したことはなかった。

今回のわが国船舶差し押さえは、日中共同声明という国際約束に反するものであり、遺憾であるとともに、このような事態に至ったことは、日中両国間の経済関係にも大きな影響が生ずるものと懸念している。

(1) 今回の中国の対応は、民間企業を揺さぶることにより、経済界を通じて、わが国の外交・安全保障戦略を覆そうとする「世論戦」「心理戦」の一環であると認識しているが、政府の見解如何?

(2)日中共同声明において、中国が戦後賠償を放棄しているとの、わが国の立場は不変であると認識しているが、政府の見解如何?

(3)最近の中国のこれらの動きに対して、どのように受け止め、如何なる対応を考えているか、外務大臣の考え如何?

2 武器貿易条約関連  
○ 防衛装備移転三原則と同条約との関係(相反するのではないかとの指摘への反論)
 ○ 中国が条約を締結することの重要性(実効性確保、中国による武器貿易の透明性)
の認識と我が国による働きかけの現状


3 グアム協定改正関連
○ 下記の改正事項で、米側にどのようなメリットがあると認識しているか?
 (1) 在沖縄海兵隊の部隊が「司令部中心」から「司令部+実動部隊」への変更
 (2) 在沖縄海兵隊の移転先が「グアム」から「日本国外」への変更
 (3) 普天間移設と沖縄からグアムへの移転及び嘉手納以南土地返還のパッケージ分離
(4) グアム及び北マリアナ諸島の訓練場整備

○ 下記の改正事項で、日本側にどのようなメリットがあると認識しているか?
(1) 日本側負担が融資等がなくなり28億ドル(真水)のみに減額
 (2) グアム及び北マリアナ諸島の訓練場整備と自衛隊の使用

○ 訓練場関連
(1) 米側整備分の訓練場(グアム実弾射撃場等)の日本側利用の可能性と根拠
(2) 日本側単独訓練、日米共同(統合、軍種間)訓練として具体的にどのような訓練が可能となるのか?水陸両用統合任務部隊の訓練は、日本単独、或いは共同訓練も視野に入っているか?

○ その他
(1) グアム島の地政学的な価値
 (2) 日本の南西諸島防衛体制へ及ぼす影響(役割分担・能力向上)
(3) 米国のアジアへのリバランス政策と在沖海兵隊との移転の関係
(4) 米軍の対中国A2AD戦略への影響
(5) 第2列島線強化や第1と第2列島線間の海空域優勢に及ぼす影響
(6) 米無人偵察機のグアムと三沢基地配備と日本無人偵察機配備の相互運用性




4 南西諸島防衛の課題     
 ○ 民主党政権時、森本氏が防衛大臣の国会答弁として「日本の南西正面の安全保障を守るという観点から、特に台湾の安定というものが、特に日本の安全保障に重要である」と述べられていますが、台湾の安定と日本の安全保障との関係につき、防衛省の見解を再度お伺いします。
○ 更に「台湾防衛と南西諸島防衛、地政学的にも、日米安保5条、6条との関係でも、切っても切れない不可分の関係だ」との私の指摘に、森本防衛大臣は「ご指摘のとおり」と答弁。防衛省は、台湾の防衛当局と南西諸島防衛に関し、緊密に協議する必要があると考えるが見解如何
 ○ 森本大臣は、台湾とはADIZに関し、公式・非公式の協議をしてきたと国会で答弁。ただ、未だに、与那国島の自衛隊建設予定地の上空も台湾の防空識別圏内から外れていない。防衛大臣の見解如何
 ○ 南西諸島防衛上、離島間輸送の課題と対策
○ 南西諸島防衛上、離島間通信(データリンク含む)の課題と対策
 ○ 南西諸島防衛上、補給整備の課題と対策
○ 水陸両用統合任務部隊の戦力化の課題(指揮、編成、装備、訓練)と対策
○ 南西諸島配備のレーダーや情報部隊の防空・対ミサイル上、その課題と対策
○ 薩南諸島防衛の課題と対策


5 PKO協力法における武器使用関連
             
○ 民主党政権時に改正を試みた際の乗り越えられなかった法的課題如何
○ 自己保存型の武器使用権限も2度改正されたその理由
○ UNDOFのような共同警備が認められない理由
○ 部下隊員や日本の民間人等に対して「駆けつけ警護」ができない理由
○ 自衛隊車両を守るための武器使用根拠
 ○ 自衛隊隊法95条に基づく武器使用は相手が国又は国に準ずる組織でも可能な理由
 ○ 小野寺大臣も法案提出賛同者になっている自民党が国会提出した一般法では自己保存型の武器使用を超える警護のために武器使用や任務遂行のための武器使用(Bタイプ)が認められていたが、その法的整理
○ 憲法9条が禁止する「国際紛争」の定義
○ 「国に準ずる組織」の定義
 ○ 南スーダンにPKOの派遣の前提に合致しない「国に準ずる組織」がいるのか?
○ 法理論的に国又は国に準ずる組織と一戦を交えることがない担保が取れれば、任務遂行の武器使用は可能と言えるのか?