◎ 政府予算が成立、後半国会の焦点「安全保障の法的基盤」
(集団的自衛権、 マイナー自衛権、海外活動での武器使用緩和等)

昨夕に平成26年度政府予算が成立した。戦後3番目に早い成立とのことだが、本通常国会では、大型補正予算も成立させたことを考えれば、かなりのハイペースだ。しかも野党の理解を得ての円満採決であったことは、予算審議は野党の要求も十分に入れた充実審議の証左でもある。

これからは、如何に予算の執行を早く行い、東北の復興や景気回復の実感を全国つづ浦々まで届ける施策を加速化せねばならない。

今後の後半国会の焦点の一つに、安全保障の法的基盤議論がある。有識者による「安全保障の法的基盤の懇談会」の提言を受け議論がキックオフすることになるが、注意してほしいのは、議論の中身は、集団的自衛権の見直しだけではない。その一つは、マイナー自衛権であり、もう一つは駆けつけ警護や任務遂行のための武器使用(いわゆるBタイプ)だ。

マスコミや議員の中にも、集団的自衛権に焦点を当てすぎて、マイナー自衛権や海外での武器使用について論じていない傾向が強い。いくら解釈を変更しても、自衛隊法等個別法を国会で成立させないと自衛隊は動けない。個別法改正の国会提出順番も、例えば、臨時国会ではマイナー自衛権行使やBタイプ武器使用容認の自衛隊法改正やPKO協力法改正 、次いで年末の日米ガイドライン見直しで集団的自衛権行使のケースを日米で合意し、それを受けて来年の通常国会に、それを可能とする自衛隊法改正、周辺事態法改正や船舶検査法改正を提出するやり方もある。

マイナー自衛権は耳慣れない言葉という方もおられると思います。マイナー自衛権は、日本への本格的攻撃伴う自衛権発動(防衛出動)には至らないが、警察権に基づく行動(治安出動や海警行動)では対処できない侵害への行動を担保する自衛権をいう。

例えば、某国潜水艦が潜行したまま尖閣諸島領海内を航行する場合、警察権に基づく海警行動では対処に限界があり、上陸等主権侵害を許してしまう可能性がある。海警行動は、自衛権発動のような防衛出動事態ではないので、現在の法体系では、武器の使用等対処に限界がある。
また、数隻の外国公船が日本の領土上陸を主張して尖閣諸島領海に侵入した場合、海保や自衛艦よる対応は、現在の法体系では警察権に寄らざるを得ないので、上陸を許してしまう可能性もある。故に、マイナー自衛権を定義、確立して、武器の使用含めた対応行動を取りうるよう法的基盤を構築しなければ 、主権や領土守ることはできない。

海外における武器使用も改正すべきだ。現在、許容される武器使用はAタイプと言われる自己保存型のため、自衛隊の近傍にいる日本のNGOや記者の方が襲われても、自衛隊は保護や救出のために武器は使えない。日本の物資を運ぶ車両を同伴し警護するためにも武器は使えない。即ち自分が襲われた条件がなければ、武器が使えないのがAタイプの自己保存型だ。自国の国民が襲われても、国民を守るために武器が使えないのはどう考えても大問題だ。任務遂行のための武器使用Bタイプ検討も、避けては通れない課題だと思う。

領土、主権、国民、そして国益を守り抜くために、日米安保に過度に頼ることなく自主防衛努力を重ね、その責任を果たすことも重要だし、海外においても一国平和主義から積極的平和主義に重心を移し、それを実践することも極めて重要。そのために、安全保障の法的基盤検討は避けては通れない道だ。元自衛官、海外の現場で指揮を執った経験のある者として、国政の場で、汗をかかねばならない。積極的に発信をして行く!











佐藤学校仮入校

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