昨日、自由民主党領土に関する特命委員会を開催、領土・主権に関する情報発信の提言をとりまとめ、本日、首相官邸において、額賀委員長、今津委員長代理とともに、安倍首相を訪ね、領土に関する特命委員会としての提言を手交するとともに、官邸を司令塔とした統一的かつ戦略的な情報発信の実施及びそのための予算措置などにつき要望した。

以下は、提言要旨と各種施策。


【要 旨】 
我が国の領土・主権をめぐる情勢は、北方領土返還に関わる外交交渉の動きはあるものの、中国の「三戦(法律戦、心理戦、世論戦)」や韓国の歴史問題とのリンクに見られるように厳しさを増す一方である。他方、我が国は中韓の挑発に乗ぜられることなく、冷静に我が国の正当性を主張してゆくことが重要である。
 

安倍総理は、国会において「我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜く決意である」旨表明した。我が党は、政府・与党が一丸となって、有効かつ明確な広報戦略を確立し、領土・領海・領空の保全および外国に占拠された領土を取り戻すために努力しなければならないと考える。
 

尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も疑いもなく我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配しているが、中国は、現在、公船をもって尖閣諸島周辺の領海に繰り返し侵入する等示威行為・威圧行為を行う一方、尖閣諸島の領海基線の設定や領空まがいの「東シナ海防空識別区」を設定するなど、「三戦」を用いながら、「力による現状変更」を試みようとしている。
 

竹島は、歴史的にも国際法上も我が国の固有の領土である。他方、韓国は突如、国際法に反していわゆる「李承晩ライン」を一方的に設定し、竹島を取り込み、警備隊員を常駐させ構築物を設ける等、不法占拠を継続している。また慰安婦問題等他の歴史問題と竹島とをリンクさせる等、領土問題を複雑化させる動きも見せている。
 

北方四島は、いまだかつて一度も外国の領土となったことがない我が国固有の領土である。領土返還に関わる外交交渉の動きはあるものの、現状は、ロシアによる法的根拠ない不法占拠状態が継続されている。 


昨今、特に中韓両国は、国内のみならず米国をはじめとする国際社会に対しても、自らの独善的な主張と行動を正当化しようと、これまでとは違ったレベル、手段を用いながら宣伝攻勢を強める等世論戦を展開している。我が国は、これに有効に反論を重ねて、中韓両国が事態をエスカレートさせないよう自制を求める国際世論を醸成しなければならない。
 
 
 我が党は、領土・領海・領空の保全に万全を期し、他国に不法占拠されている固有の領土(領海、領空を含む)を取り戻すことが、今を生きる世代の、子孫に対する責務であると考え、政府に対し、内外への戦略的な発信を行なうために、具体的に以下の措置を取ると共に、そのために必要な予算を平成26年度予算において確保するよう提言する。



【各 論】
1 各種施策実施上の留意事項
 ● 官邸を司令塔として、政府一体となった統一的かつ戦略的な情報発信を実施
 ● 「広報」ではなく「世論戦」と認識して対応する。
● 第三国、特に米国、アジア諸国との連携強化
  
2 各種施策
 ○ 国際世論形成
① 海外における情報発信拠点(大使館・領事館、日本語学校等)の態勢強化
  * 在外公館長の意識改革、要員増強・予算増強(特に米国)、名誉総領事活用、拠点の増加
* 日本語・文化の普及(教師増員、広報文化センター等増設、各種大学内部に機構設置等)
② 関係国の主張への適切・迅速な反論
* 官邸・外務本省・大使による速やかな反論方針策定・各種手段を通じた反論等の実施
* 在外公館等による任地における関係国情報発信状況の情報収集、分析、報告
* 政府高官や在外公館長等による国際会議での演説、TV出演、新聞投稿等
③ 政府広報ビデオ・広報資料(フライヤー、冊子)の充実
* 日本と関係国との主張の違いを対比させ、日本の正当性を強調
* 文字だけではなく写真や地図、表・根拠データ等視覚に訴える工夫
* 日本語、露語、中国語・韓国語に加えその他国連公用語バージョンも作成
④ 海外・国内のシンクタンクや研究者、海外メディア・雑誌との連携・支援強化
* シンポジウム開催・支援、研究者招聘、論文投稿、TV出演、番組作成
⑤ NHK国際放送やラジオ、通信社を通じた発信強化・
⑥ HPやSNS(ツイッターやフェイスブック、グーグルプラス等)の積極活用
* 日本の主張を盛り込んだコンテンツ発信(パソコンやスマートフォン用含む)
⑦ 国内の大使館や外国人特派員協会、日本人会・日系人会等への説明・連携強化
⑧ コンサルタントやアドバイザーによる調査や助言や政策評価の積極活用
⑨ 海外世論調査の充実とその分析結果に基づく各種施策の実施

○ 国内啓発
⑩ 教科書の領土記載事項の充実
 (学習指導要領を改訂し、地理、歴史、公民各分野において発達段階に応じ、日本の主張 や歴史的経緯とともに必要に応じ関係国の主張の誤りに言及)
⑪ 天気予報の活用
   (北方領土、竹島、尖閣諸島の天気予報をTV、新聞、ネット等を通じて告知)
⑫ 全体がわかる日本地図の作成・教育現場等での活用
  (我が国の領域・広がり、北方領土、竹島、尖閣諸島が一目瞭然の日本地図)
⑬ 広報資料館への領土関連資料の展示・拡充
⑭上記③、④、⑥、⑧、⑨は国内啓発にも活用

○ その他 
⑮ 北方領土及び竹島の領土返還国民運動への政府の関与・支援強化
  (元島民の各種活動や4島交流への政府支援、領土を意識した歌の作成、竹島の日制定等)
⑯ 竹島の平和的・国際的解決アピール強化(国際司法裁判所等への付託の可能性含む)
⑰ 中国の三戦への反論と効果的対応(力等による一方的な現状変更には屈しない姿勢)
                                    以上