本日8時から「領土に関する特命委員会第2回会議を開催。議題は「中韓両国による領土・歴史問題に関する情報発信について」。

中国は、国連総会やASEAN首脳会議などマルチな会議、外交部及び在外公館、CCTV(中国中央電子台)、海外メディア、シンクタンクなどあらゆる機会や媒体を使って、中国独自の主張に基づく宣伝活動を実施している。

CCTVは、全24チャンネルで、英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、アラビア語、中国語の6言語すべてで放送されており、またCCTVインターネット放送は、上記6カ国語に加え、モンゴル語、チベット語、ウイグル語、カザフ語、朝鮮語、韓国語の12カ国語で放送。CCTZニュースは、北米LA地域では、CNN,FOXに迫るシェアをとっているとのこと。CCtVアメリカは、CNNやブルームバーグのニュースに出演していたアンカーをスカウトして放送されており、そのネィティブな英語や画像から、CNNと見間違うばかりという。

また海外教育機関内部に、中国語。文化教育を普及する目的で設置されている「孔子学院」や「孔子課堂」は、世界117カ国、計1079校に及び、2015年までには海外拠点1500カ所に拡大、2020年までに全世界への配置をめざしているという。とくに米国にはコロンビア大学、スタンフォード大学など主要校をはじめ374カ所設置されており、これらの拠点における中国の主張の発信は脅威だ。

韓国は、中国ほどではないが、政府、地方自治体、民間団体、個人により、竹島問題、慰安婦、東海呼称などについて積極的な対外発信を行っており、とくに在米コリアンによる慰安婦像設置など活発な活動を展開している。

中国の物量戦には彼我の差を感じるが、これでは、わが国の正しい主張も正しく伝わらないだろうし、反論しなければ、結果的に認めてしまうことになりかねない。

本日の会議でも意見が噴出したのは、中国CCTVとわが国のNHKの比較だ。CCTVは中国政府の発信媒体であり、一方、NHKには巨額の税金が注ぎ込まれているものの編集の自由を楯にして、日本の立場や主張を放送することを拒否しているという点。また平成19年の小泉政権時に、海外発信は重要であるとの趣旨で放送法を改正し、英語による国際放送を増やしたが、そのNHK国際放送が中国や韓国の立場を代弁するようでは、全くの逆効果であるとの意見もあった。

現在、官邸で議論されている「国家安全保障戦略(NSS)」においても、国家安全保障戦略に基づく情報発信強化も謳われており、外務省のみならず政府一体となった対外情報発信は喫緊の課題だ。