防衛大臣政務官 参議院議員 佐藤まさひさ氏に聞く
「領土、国境の離島をどう守るか」その1

自衛官出身の防衛大臣政務官、そして参議院議員(全国比例区)の候補者でもある
佐藤まさひさ氏に、防衛政策について話を聞きました。(事務局)

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(インタビュアー)中国の太平洋侵出、北朝鮮の核実験・ミサイル発射など、緊張感の高まる情勢の中でますます重責のことと思いますが、防衛省・自衛隊としての優先課題を教えてください。

(佐藤まさひさ)自衛隊を退職して参議院議員に転じた訳ですが、参議院議員の職にあっても「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応えます」と自衛官時代に宣誓した想いを忘れたことはありません。
 第二次安倍内閣における防衛省の優先課題は、時代の変化に即した防衛大綱・中期防衛力整備計画の見直しです。大綱とは軸となるものですから、これが間違った方向を向いていたら中期計画もズレたものになってしまいます。
 周辺諸国の脅威の見積もり、それに対応する人員や装備品のあるべき姿を作り直していきます。

(イ)日本は四方を海に囲まれた島国ですが、わが国の防衛の重点はどこに置かれるべきでしょうか。

(佐藤)わが国の陸地面積は世界で61番目の広さですが、領海と排他的経済水域(EEZ)の広さでは6番目になります。
軍事技術の発展に伴い防衛戦略も変化していきます。まずミサイルの射程距離が伸びていますからミサイル防衛力が必要でしょう。航空機による領空侵犯も増加しており昨年のスクランブルなど航空機の出動回数は800回を超えました。足が速くて長い戦闘機、広い洋上を警備する艦船、最終上陸を阻止する戦車や火砲、そしてこれらの装備品がうまく連携するためのデータリンクなどのソフトウェア、そしてなによりも装備品を使いこなす優秀な人材の確保と育成など、全体のバランスが大切です。

(イ)わが国の領土には、離島、それも無人離島が多くあります。領土を守るためには何が大切なのでしょうか?

(佐藤)領土を守るためには、「離島の振興」が鍵になると考えています。例えば尖閣諸島。今は無人島ですが、昔は240人からの住民が住んでいました。人が住んでいると領土紛争は起きにくいものです。人がいなくなり、国境の無人離島になると「この島は俺のものだ」と主張してくる国が出てきます。つまり、島に人が住み、また多くの人が訪れることが、離島の振興になり、領土の保全になるのです。

(イ)領土を守ることは、自衛隊だけの仕事ではないということですね。

(佐藤)はい、領土を守ると言うと「自衛隊の仕事だ」と短絡的に考える方が多いかも知れませんが、自衛隊は「最後の砦」。普段からどうやって領土を守るかということが一番大切なのです。
例えば、最西端の国境の島・与那国島は、昔は人口が二万人ほどだったのですが、今の住民は約1600人。そして駐在所が二つしかありません。「ピストル2丁で国境の島を守っている」と言われています。今も人口はどんどん減っています。若い人の働く場所が無いからです。高校もありません。だから中学校を卒業した子どもは、みんな石垣島や沖縄本島に行ってしまいます。お母さんも一緒に着いていくことも多いです。また産婦人科もありませんから、新婚さんはなかなか住み着かないそうです。
 ですから、住民が生活するために必要な支援施策を行い、また島外から人に訪れてもらうために、例えば渡航費や燃料代の補助などの支援施策が必要になると考えます。