8月8日(水)08:00から自民党本部において、外交・国防部会が開催され、ゴラン高原国際平和協力業務の実施計画の変更について関係省庁から説明があった。

 国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)は、第4次中東戦争後にイスラエルとシリアの間で兵力引き離し協定の締結をうけ、1974年5月31日の国連安全保障理事会決議第350号に基づき、活動を開始することとなった。UNDOFには、1070名(2012年6月30日時点)が派遣され、部隊派遣主要国はオーストリア、フィリピン、インド等がある。主な任務は、ゴラン高原地域におけるイスラエル、シリア両国の停戦監視、両軍の兵力引き離しに関する合意の履行状況の監視を行っている。

 日本は、平成7年の閣議決定以降、司令部要員及び輸送部隊を派遣し、司令部業務及び輸送等の後方支援を実施している。佐藤も自衛官のときに、ゴラン高原派遣輸送隊初代隊長として派遣されたことがあり、シリア情勢が日々緊迫する中で、自衛隊の安全確保を提示させていただいた。

 国連マンデート期限が2012年12月31日と延長されたので、派遣期間も2012年9月30日から2013年3月31日と延長された。2012年8月7日の閣議決定により、隊長を補佐する体制強化のためわが国の輸送隊の派遣人数は43名から1名増員されることになった。

 シリアにおいては、16カ月以上にわたり弾圧と暴力が続き、深刻な状況となっている。国連によると昨年3月以来の死者は1万5千人を超し、シリア難民数は12万以上となっている。わが国及び欧米諸国は、アサド大統領に対して道を譲るべきとの声明を発表し、政府関係者に対する経済制裁措置を実施した。

UNDOFは、情報収集の強化及び要員の安全確保策の強化に力を入れている。日本の部隊はUNDOF司令官の指示によってダマスカスと宿営地の間における水・ガス等の輸送業務を6月以降実施していない。

議員からの質問・指摘・要望は以下のものがあった。

・日本はPKOミッションで司令官を輩出してもいいのではないか。

・武器使用権限の拡大出来ないのか。

・8月3日の国連安保理での採決に関してシリアにどのような効果があったか。

・シリアのアサド政権の人的被害はどういう局面をむかえているか。

・今回の派遣は国会での集中審議がなされずに決定された。派遣議論が粗雑ではないのか。

・日本政府がシリアに内戦が起きていないとの見方やシリアの自由連合を政府に準ずる組織としてみなしていないのは、派遣された部隊がPKO5原則に反しているからではないのか。

・派遣されている自衛隊部隊には、防弾車がない。何かがあってからでは遅いので早急に防弾車の手配を検討してほしい。

・派遣部隊の最悪の状況にどう対応するのか。

PKO法でどこまで対応できるのか。

・派遣部隊をどのように撤収させるのか。

・イエメン方式を国際社会は期待しているがシリアの状況はどうか。

・サウジアラビア、カタール、湾岸諸国のシリア国内の反政府勢力の資金提供のルートはどのようなものがあるか。