会議で留守の間に事務所に、本書『ドキュメント 自衛隊と東日本大震災』(ポプラ社1500円・税別)が届けられていた。著者は、毎日新聞社会部編集委員の瀧野隆治氏。




実は、瀧野氏は防衛大学校26期卒業であり、佐藤の1年先輩だが、「人に何かを伝えたい」として、任官せず、新聞記者となった。瀧野先輩は、本書執筆に至る動機をプロローグでこう記している。



昨年6月のある日、瀧野先輩のもとに電話が1本入った。名乗るのもそこそこに「お前さ、何やってんの」で始まったその電話は、陸自東北方面総監部に勤務する防大時代の同期生(本人には確認していないが、それだけで誰だか想像がついた)からだった。



そして、その同期生は「ぼーっとしていないで、早くこっちへ来いよ。新聞もテレビもよぉ、自衛隊の本当の姿を伝えていないぞ。まったく!」とまくし立て、だから防大出身の瀧野先輩が本質に迫る記事を書くのが義務だと言ったという。



この1本の電話から、被災地に赴いた瀧野先輩の社会部記者らしい、自らの足を使った緻密な取材が始まった。当然、新聞記者としての仕事でもあったのだろうが、「防大出身のお前(瀧野先輩)が書くのが義務だ」との一言に突き動かされた瀧野先輩の気持ちが嬉しい。



本書の話から若干ずれるが、毎年3月の防大卒業式前夜には、メディアで「今年の任官辞退者は○○名」との記事が出る。佐藤も同様だが、18歳で進路を選択し、防大の門をくぐるが、在学中の4年間で自らの進路を考え直す人もいれば、健康上の理由、家庭の事情など様々な理由から、卒業を控え、22歳の新たな選択をしなければならない学生たちがいる。



しかし、瀧野先輩と同様に、自衛隊以外の進路に進んだが、それぞれの社会において、様々なかたちで、自衛隊を支えて下さっている方々はたくさんいる。佐藤はこの方々も立派な「防衛基盤」であると考えている。



防大出身の記者だからこそ書くことが出来た本書を是非ご一読いただきたい。










佐藤正久オフィシャルブログ ”守るべき人がいる”