昨年来、自民党と民主党の間で、東日本大震災の復興財源を捻出するために自衛隊員を含む国家公務員の給与を2年間、平均約8%(総額約6000億円)削減する法案について協議が続いています。

そもそも復興財源は25年間の復興債(自民党は当初60年国債を主張、民主党は10年国債を主張。調整の結果25年国債で合意)で賄われるもので、国家公務員の給与2年間削減で充当することは政策的に破綻しています。しかし、国と地方の債務の合計は約1000兆円にのぼり、財政再建は必至です。その文脈の中で税と社会保障制度のあり方、公務員制度を見直すことの必要性は理解していますが、この法案は、自らの命を賭して災害派遣・人命救助に当たった自衛隊員の誇りと名誉、そして隊員への感謝の気持ちを軽んじるものであります。

昨年5月20日の参議院予算委員会で、佐藤正久は菅直人内閣総理大臣から「現在議論しているのは一般職公務員であり、自衛隊員は一般職に入りません。区分して、防衛大臣と協議していきたい」との回答を引き出しました。その結果、昨年国会に提出された政府・民主党案は自衛隊員の給与削減は半年間猶予するとなっていましたが、セットになっていた人事院勧告の実施、地方公務員給与の扱い等について合意に至らず持ち越されました。ところが、今国会で政府・民主党が自民党に提示してきた政府・民主党案では「(半年)猶予しない」となっています。

政府・民主党によれば、これは昨年法案が成立せず半年が経過したから考慮しないとの理由だそうです。

現在、実務者協議の中では、自民党の強い反対により、政府・民主党から「2ヶ月の猶予まではなんとか考えたい(3ヶ月以上となるとボーナス月にかかるので2ヶ月を超えるのは反対との理由)」との意見も出ていますが、いずれにせよ猶予期間は明確にせず政令で定めたいようです。「政令で定める」とは、政府・民主党のさじ加減で如何様にもなる措置で、2ヶ月の猶予では到底合意できるものではありません。

自民党は以下の趣旨からこれまで政府・民主党案に反対しており、今後、対案(議員立法)を準備し、国会の場で議論することになります。主に給与削減の理由付けと一般職・特別職の区分が争点になります。

1.復興財源として国債を発行するのだから、国家務員の給与削減分を充てることは本来筋が違う

2.国家・国民の為に自己犠牲を宣誓し入隊した自衛隊員(特別職国家公務員)は、一般職国家公務員と区分して議論すべき

3.同じく派遣・人命救助に当たった警察官や消防士(共に地方公務員)との格差が生起する

政府・民主党は大震災の時「自衛隊に感謝」し、教育訓練事項で「東海地震等で自衛隊員は不足」と言い、野田総理も訓示で「自衛隊は誇りだ」と言い切りました。その一方で、自衛隊定数・予算削減する法案(前国会では自民党の反対で廃案、今国会で再提出)及び復興財源に自衛隊員の給与を充てる法案を提出。自衛隊への言葉と行動が全く違います。

民主党によると「防衛省内局は、自衛隊だけ優遇されると国民の批判が自衛隊に向けられるので給与削減に同意している」といいますが、防衛省内局とは誰のことでしょうか。佐藤正久が現場で聞く声は全く違います。

また、復興財源のために、被災地の公務員や自衛隊員の給与を削減することが、本当に復興支援になるのでしょうか。

自衛隊には一般職国家公務員のような組合はありません。政治が決めたらそれに従うだけです。故に、政治は何故自衛隊が特別職国家公務員なのか、なぜ入隊時に「宣誓」を行い国のための自己犠牲を誓うのか、よく理解しなければなりません。ここで、特別職の自衛隊員は一般職の国家公務員より優遇されるべきだと言いたいのではありません。我が身を省みず災害派遣・人命救助にあたった自衛隊員、或いは今もなお海外で武器を携行して任務にあたっている隊員への処遇を、懲戒処分並みの給与削減に処することは、命よりも名誉を重んじる自衛隊員をこの上なく貶めていることを指摘しておきたいのです。

また、昨年来、安住財務大臣が「人件費を抑制するために、陸曹を減らせ」と発言しています。財務大臣を初め財務省の主張は隊員の使命とか誇り考えることなく、隊員を人件費削減の対象、「お金」と見なしている雰囲気すらあります。自衛隊員は「お金」ではありません、国を守る為の「戦力」です。

佐藤正久は、昨年11月22日参議院外交防衛委員会で一川防衛大臣に人件費抑制と陸曹削減に対する防衛省の考え方を確認し「必要な予算を確保するよう努力したい」旨の回答を引き出しました。政府はどれだけの努力をしたのでしょうか。大臣の国会での答弁は議事録に残され、結果が問われます。

自民党・佐藤正久は、国家公務員だけに負担を押し付けるのではなく、国会議員の更なる歳費削減もあわせて、財政再建と震災復興に臨みます。現場で汗を流して働く人のために、国政の場で一緒に汗をかいていきます。

これから国会の場で、復興財源を確保するために自衛隊員の給与を削減する法案が審議されます。自民党・佐藤正久の考えに同調いただける方は、どうか地元選出の国会議員や防衛大臣・副大臣等へ働きかけてください。

自衛隊員の誇りを守り抜くために、ご協力をお願いします。