政府・民主党と自民党との間で、復興財源に公務員給与の約8%を2年間充当する事に関する協議が行われている。公務員の労働協約権のや地方公務員の問題では大きな隔たりがあるが、自衛隊員の給与削減についても熱い議論が交わされている。

政府・民主党は、先の国会で自衛隊員を半年間猶予するとの法案を提出していたが、法案が成立せずにすでに半年が過ぎた。(結果、一般公務員・自衛隊員共々この半年間、給与削減することができなかった) 半年が過ぎたので、自衛隊員を区分することなく、一般公務員同様、約8%削減するとの主張

自民党は、自衛隊員は国防の任にあたる特別職国会公務員であり、また東日本大震災では犠牲を払いながらも人命救助・生活支援等に当たったこと等から一般公務員と同列に扱う事には反対との立場だ。

佐藤を初め国防部会幹部が自民党交渉議員を通じて政府・民主党に投げかけた主要な論点は以下の通り
1.自衛隊員は国防の任に当たり、国家・国民の為に自己犠牲を図ることを宣誓して入隊する特別職国家公務員。一般職と同列に扱うことはおかしい。

2.復興財源に、献身的に人命救助・生活支援等に従事した自衛隊員の給与を充てることはおかしい。

3.同じく派遣に当たった警察官や消防士は地方公務員であり、国家公務員である自衛隊員だけの削減では格差が生じる。

4.政府が示した「半年間猶予の精神」は、法案が成立が遅れたから考慮しなくて良いと言うものではない。一般公務委員との差別化の精神は、継続すべき。

5.災害派遣手当は、財務省の予算制約から被災地に入った自衛隊員にだけ支給され、後方支援にあたった多くの自衛隊員には支給されていない。即ち災害派遣隊員10万人のうち、かなりの割合で支給されていない実態がある。また災害対処に派遣された隊員に代わって基地警備や警戒監視任務にあたった隊員には支給されていない。
 よって災害派遣手当があるから一般公務員と同じくするとの理由は実態と合っていない。また派遣された警察官にも手当は付いている

6.復興財源には公務員の給与削減の他、国債も発行するのであれば、自衛隊員の給与削減に大きく拘る理由が不明確。

7.東北の隊員は他地域の自衛官より長く被災地で活動した。また被災地の自衛隊員の給与削減が本当に復興支援になるのか?被災地の自衛隊員への配慮はないのか?

これに対する政府・民主党の回答は主要点は以下の通り。
1.自衛隊員の国家公務員に占める割合は約3.5割と大きく、自衛隊員を対象外にすると財源確保に大きな影響がでる 
(←自衛隊員の使命・特性というより、自衛隊員は「お金」との発想)

2.削減猶予を3ヶ月以上とすると、ボーナス月にかかるため、財源確保に影響がでる。(←暗に譲歩しても2ヶ月が限度との考え。)

3.防衛省(内局)からは「自衛隊員だけ特別扱いされると、国民の非難が防衛省になされる恐れがある。よって削減には同意」するとの意見が民主党に寄せられている。
(←本質論ではないところで、大臣、或いは内局の保身的な心配から削減に同意している。隊員を代表する各陸海空幕僚監部の意見は?少なくとも佐藤の元に寄せられる現場からの意見とはかなり違う!)

4.被災地、東北地方だけを特別扱いする考えはない
(←実態を見ていない。制度設計の煩雑さを防衛省・内局が嫌がっているのか?)

5.自衛隊員への配慮は政令で定めるという形で委任してほしい
(←政令で定めるということは削減猶予幅も曖昧で、場合によってはゼロ回答も可能だ。これでは納得は到底できない)

2月11日に政府与党筋から流れた報道によれば、「政府は自衛官給与に関して2ヶ月間の猶予方針を固めた。1佐以上は10%、2佐~1尉は8%、2尉以下は5%とする」

この報道が正しければ、自民党の強い要望を受けて2ヶ月猶予が政府・与党の方針のようだが、佐藤自身はこれでは納得できない。猶予期間も疑問だし、東北地方配慮や若年隊員への配慮も不十分。明日、自民党政調会長の所で意見を言わせて頂く。