CAT HEAD -25ページ目

エド・はるみと安来節

エド・はるみが不気味だ。

分別盛りの中年女性が「ジャンピングー!」などと言って舞台ではね回る。

全く正気の沙汰ではない。見る度に全身に鳥肌が立つ思いだ。

しかしそれにもかかわらず、ユーチュ-プなどで繰り返し見てしまう。

その理由はなぜだろうか?と考えているうちに、あるエッセイを思い出した。


それは浅草好きだった江戸川乱歩が、その魅力について書いた「浅草趣味」(『悪人志願』所収/1926年)というエッセイだ。

当時の浅草では安来節=どじょうすくいが人気だったらしく、乱歩もよく見物していた。

その安来節について触れて、こんなことを語っている。


「ネジレというのはどこかの方言で、いやみと訳せばやや当る。

 いやみたっぷりなものを見ると、こう体がネジレて来る。・・・・・・

 われわれは一応ネジレなるものを厭に思う。だがそのネジレさ加減があるレベルを越すと、

 今度はそれがいうにいわれぬ魅力になる。・・・・・・

 安来節がやっぱりそれで、あのくらいネジレになると芸術に近い魅力を伴なってくる。」


以前、これを読んだ時、なんとなくわかったようなわからないような、もどかしい感じがしたものだ。

しかし、最近エド・はるみの芸を見て、「乱歩の言いたかったのは、こういうものだったのではないか?」

と考えるようになった。


エド・はるみの芸には、まさに「あるレベルを越えたネジレ=いやみ」がタップリ含まれている。

鳥肌が立つ思いがしながらも見てしまうのは、そうした理由からではないだろうか。

ネット上の掲示板などを見ても、彼女に対する批評は辛辣を極めたものが多い。

それにもかかわらず、高い人気を誇ってテレビに出演し続けているのは、その批判の的である気味悪さこそが、人気の源泉でもあるからだと思う。


なお、「エド・はるみは一発芸だから、人気はすぐ下火になる」という見方も多い。

しかしこの人は、大学で演劇学を学び、長年舞台に立ち続けて来た筋金入りの女優である。

今の「グ~~~~~~~!」はいずれ飽きられるだろうが、女優として長く活躍し続けていける気がする。

竹中直人のように、舞台俳優の青年がモノマネで人気を博し、その勢いで大物になった例もある。

エド・はるみがそういうコースを辿らないとは言い切れないと思うのだ。



でもやっぱり気持ち悪い (>_<)



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オペラおじさんの思い出(2)

私がオペラおじさんを見たのはその一回だけだった。

しかし、テレビや雑誌がこの男に注目し、何度か特集が組まれた。
またネットが普及したために、いかなる情報も集めやすくなった。
そこで、これらの情報を基に、オペラおじさんの輪郭をまとめてみよう。

1、住居は横浜線の小机駅の近く。
2、京浜東北線の関内駅近くの教会に通っている。
3、歌っているのはオペラではなく賛美歌。
4、田園都市線の長津田駅などでも目撃情報がある。
5、この10年ほどは目撃情報がない。

これらから考えられることは、この人はキリスト教の熱心な信者らしいということである。
多勢の人がいるところで賛美歌を熱唱するのも、一種の布教活動の意味があるのだろう。

またオペラおじさんの活動期が、好況期・バブル期であったのも気になるところだ。
なぜなら、ポンポンおじさんなど、日本各地で不思議なおじさんたちが現れたのは、やはりこの時期だったからだ。

そして、90年代初めのバブル崩壊と共に、こうした愛すべき怪人たちは姿を消していった。
これは、時代精神といった立場から考えてみるべき問題かもしれないが、面倒くさいから考えません。

オペラおじさんは、今何を考え、何をして過ごしているのだろうか?


オペラおじさん、もしこれ見てたらコメントください。(*^o^*)/~


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↑ すごいこじつけ ^^;


オペラおじさんの思い出(1)

世の中には、「○○おじさん」とか「××おばさん」などと呼ばれる不思議な人たちがいます。

沖縄のポンポンおじさんや、横浜のメリーさんなどがその代表格だが、私が実際に見た怪人を

以下に紹介してみます。(以前ミクシの日記で書いたものに加筆・訂正しました)



15年ほど前、横浜線沿線を中心に、ホームで賛美歌を歌う怪人が出没していた。

ただ歌うのでなく、人の迷惑もかえりみず、大音量で歌う。カラオケ

そのため、彼は「オペラおじさん」というあだ名を付けられた。


私は「アルバイトニュース」の投稿欄でこの男のことを知り、ぜひ見てみたいと願い続けていた。

そして1994年の秋、ついに宿願を果たす事が出来た。

場所は東神奈川駅のホーム、時間は夕方だった。関内で「RAMPO」と言う映画を見るために、電車を待っていると、突然大きな歌声が響いてきたのだ。

声の主は40代くらいの男で、やや大柄でメガネをかけていた。

声は美声で朗々と響いていた。ホームには人が少なかったため、騒ぎも起こらなかった。


私の前を二人の乗務員がニヤニヤしながら歩いていった。
そのうちの一人が「オペラおじさん、いまだ健在ですな」とつぶやいたのを今も覚えている。 UFO