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国木田独歩の「運命論者」

「牛肉と馬鈴薯」や「武蔵野」で知られる国木田独歩だが、ミステリー風のおもしろい短編を書いている。

それが「運命論者」だ。



語り手の「私」が、鎌倉の海岸を散歩中、不思議な青年を見かける。

青年は砂浜に酒瓶を隠しており、散歩に来てはそれを掘り出して飲んでいた。

「私」は青年に興味を持ち、いろいろ話すうちに、以下の様な身の上話を聞かされる。


青年は数年前に入り婿のような形で結婚し、妻・妻の母と三人で暮らしている。

しかし、義母は青年の顔を見ると、恐怖の表情を見せるようになる。

彼は不審に思い、義母に問い詰めるが、恐怖の理由を答えようとしない。


やがて彼は独自に調査を開始するが、その結果明らかになったのは、恐ろしい真実であった・・・



独歩がこの作品で描きたかったのは、運命の恐ろしさだろうが、

上記のようにまるでミステリーのような筋立てになっており、読んでいてゾクゾクするような

サスペンスを備えている。


時々、純文学作家のミステリーがアンソロジーの形でまとめられるが、この作品はなぜか含まれない。

しかし、自分がそういう編集をするとしたら、この作品は是非収録したいと思う。

(そんな機会はないだろうけれど)


 


牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (新潮文庫 (く-1-2))/国木田 独歩

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※「運命論者」を収録しています。




スティーブンソンの「自殺倶楽部」

5年前の今頃に、スティーブンソンの「自殺倶楽部」を読んだ。


ある人物が、死にたいが自殺する勇気のない人間たちを集めてクラブを作る。

そして定期的に会合を開き、トランプをする。

Aというカードを引いたものは殺す役目を、Bというカードを引いたものは殺される役目を、 それぞれ割り当てられる。

そして一定の期間内に、殺す側の人間は殺人を実行しなければならない。


大体こういう筋立てで物語が進んでゆくが、最期に正義の味方が現われて、この忌まわしいクラブは 壊滅させられてしまう。


スティーブンソンは「宝島」や「ジキルとハイド」の作者だが、なぜかこの作品はあまり知られていない。 本もあまり刊行されていないようで、私も図書館で古い文庫本を借りて読む他なかった。


自殺クラブというアイデアや強烈なサスペンスなど、かなりおもしろい作品だが、後半に正義の味方が 現われたことで、古典的な勧善懲悪ドラマになってしまったのが残念だ。

あまり話題に上らないのは、この辺りに原因があるのかもしれない。

もし解決役が登場しなければ、一級のホラー小説になった可能性もあったと思う。


また、近年流行した集団自殺を予言したような内容で、いろいろ考えさせられる。



新アラビア夜話 (光文社古典新訳文庫 Aス 2-1)/スティーヴンスン
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※「自殺倶楽部」は、「新アラビア夜話」に収められています。



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「ギララの逆襲」観賞記

先日見てきました。

結論から先に書くと、「ダメだ、こりゃ!」でした。

一言で言うと、「気の抜けたビール」。


国際政治の風刺としても中途半端で毒がないし、怪獣映画としても見せ場がない。

「タケちゃんマン」の映画バージョンとしても、つまらない。

とにかく全てが中途半端。

良かったのは、主演の加藤夏希がかわいかったことくらい。

加藤ファンには楽しめるかもしれない。


見に行く前にネットで感想を調べたが、やはり低評価だった。

ただ、「往年の特撮ファンには楽しめるかも」という意見があったので、少し期待していたのだが、

「往年の特撮ファン」の自分でも、楽しめなかった。


あんまり酷評を続けると、営業妨害になるかもしれないのでこの辺でやめるけど、

これから見に行く予定の方は、期待しないで肩の力を抜いて見るのがよいと思います。あ~あ。(@_@)