産経、読売、日経、朝日、下野の各新聞社が所信表明演説をどう報じたか、翌日の朝刊を比較しました。

 

毎日新聞と東京新聞は省きました。

 

まず演説の全文を読んだ私のまっさらな印象は、可もなく不可もなくこんなものなのだろうと思いました。

何しろ今までの首相の所信表明演説の全文になど目を通したことがなかったので比較のしようがない。

これを機会に過去の歴代政権の一番最初の演説、特に第二次安倍政権と民主党鳩山政権のは読んで見なくてはならないなと感じました。

安倍政権の継承性は強く感じた。

継承で構わないので小さなことからでも着実に結果を出して欲しい。

 

最低賃金引き下げや押印廃止、マイナンバーカードの普及と保険証との統一、免許証のデジタル化などは本当に期待したい。

 

では朝日。

評価している予感は当然ない。

どう批判するのかにとても興味がそそられる。

 

天声人語では『所信表明演説で歴代首相のような耳目を引く言葉がなかった。』と切り出し、首相の雑誌での、アピール力は付随的なものであるとの言葉を引用し、

 

『心配なのは、「アピールをしない」と「説明をしない」がごっちゃになっているのではないかということだ。』と指摘し学術会議問題の批判に転じている。

全部それに持っていこうとし過ぎではないか。

 

まあ確かに国民を鼓舞する言葉はあってもいいのかもしれない。

ただし無くても私は困らない。

 

具体的な政策に対してはトップ記事で、『財源確保や国民負担への具体的な言及はなかった』と記述。

鼓舞しつつもしっかりと痛みを伴う可能性があることを示すことが朝日の考える理想の演説なのだろう。

ここは参考にしたい。

 

社説『国民の胸に響いたか』と題し『全体を貫く理念や社会像の提示は十分とはいえない』と批判。

明日からの国会論戦で『首相は逃げずに、正面から疑問に答える責務がある。』と締めくくる。

 

枝野代表の言葉『どういう社会をつくろうとしているのか、そのビジョンが全く示されていない。』を2面で紹介しているが、野党も学術会議問題という攻めやすそうな事項だけに「逃げずに」、広く国のあり方の議論を挑む「責務」を期待したい。

 

そうでなければ「胸には響かない」。

私は与野党双方を鼓舞したい。

 

次に日経。

なんとなく中立な予感。

 

一面では温暖化ガス2050年ゼロのみを大きく取り上げて、世界経済の状況を踏まえて、この挑戦が厳しいものであり、日本の経済産業金融などあらゆる面で改革が必要であると説く。首相の写真すらなし。

 

社説では『大局観がやや希薄な首相演説』と題し、『随分と素っ気なかった』、『日本をどんな国にしたいのか。やや伝わりづらかったのではないか』と論じている。

 

『できるものからすぐに着手し』ていくとする首相の言葉の裏には、『1年以内にある次期衆院選に向け実績づくりを急ぐ思惑が透ける』(政治面・4面)との分析をしている。

なるほど。

 

そうしなければワンポイントリリーフで終わってしまう危機感と覚悟があるのだろうか。

 

総選挙で勝利し総裁選で再選してからが菅首相の本当のカラーが出るのかもしれないが、仮にそうなったとしても、案外今と変わらずに地味に改革を積み重ねようとするだけかもしれない。

 

個人的には拉致や領土、憲法などの大きな課題にも挑んで結果を出して欲しいが、国民に本当に資する成果を上げ(続けて!)ていくのならそれが悪いこととは思えない。

 

次は読売と産経と下野を読んでみます。(もう夕方だけど...)