MI理論について8つの能力それぞれの特徴と、自分の強みがどこにあるのかを調べるためのチェックリストを作ってみました。

このMI理論のことを知ったきっかけは、令和元年の始まる10連休中に、コーチングの世界で有名で、NHKビジネス英語の本間正人さんによる英語学習コーチ養成講座なるものに出席した中で、紹介されていたことがきっかけでした。

MI理論とは、ハーバード大学のハワードガードナー氏により提唱されているモノであり、人の能力はIQテストみたいな一律に点数化できるわけはなくて、もっと多様だよねというところから、人間の学習能力を8つに分類してみたというものです。

英語力を考えていくにも、この観点で考えてみると面白いということで、関連書籍を2冊読みまして、内容を自分なりに整理してみました。

今回参考にさせてもらったのは、以下の2冊です。

「マルチ能力が育む子どもの生きる力」トーマス・アームストロング著

https://amzn.to/2VAhBEj
MI理論を活用した学習法を、教師側の視点を中心にかなり具体的に解説されている本です。

英語に特化していませんが、このMI理論について、教師側と子供側の両面からの視点から具体的な取り組みの方法が分かりやすく解説されている本です。



 

「MI理論を応用した新英語指導法」林桂子
https://amzn.to/2HbOtsU

MI理論を活用した英語指導法に特化して学術的に書かれている結構固めの本です。

 

 

これらの本を元に能力の訳語も微妙に違っていたりしましたが、自分なりに8つの能力の特徴と、自分がどの能力が強いのかというところについてチェックリスト形式のものも2著3か所位あったものをアレンジしています。

本記事は他の抜き書きまとめ記事と違い、そのまま純粋に文章抜き出しではない編集が入っている点にご留意ください。

■MI理論の8つの能力

諸本により、日本語の訳出は微妙に違っていたりしますが、本投稿では、それら複数あった
呼び名を掛け合わせてしまってみました^^

1.言語能力 Verval/Linguistic Intelligence
2.論理的・数学的能力 Logical/Mathmatical Intelligence
3.視覚・空間能力 Visual/Spatial Intelligence
4.身体・運動能力 Bodily Kinesthetic Intelligence
5.音感能力 Musical Intelligence
6.人間関係形成能力 Interparsonal Intelligence
7.内省(自己観察・管理)能力 Intrapersonal Intelligence
8.自然との共生能力(博物的知能) Naturistic Intelligence

■MI理論の8つの各能力の特徴

それぞれの能力の特徴とそれが大きく発達した場合に突出して発現してくる特徴を紹介します。

1.言語能力
  ことばや言語の音、構造、機能に対する感覚の鋭さ
 言葉を学習し効果的に使いこなす力
 心にあるものを話し言葉、書き言葉を問わず、言語で表現できる

2.論理的・数学的能力
 論理的に分析する抽象思考が出来る
 物事の因果関係を究明する能力
 論理的-数学的パターンに対する感覚の鋭さと認識能力、長い議論を理路整然と行える

3.視覚・空間能力
 2D3Dのパターンの認識、視覚・色彩感覚、方向感覚が高い
 建築、絵画、彫刻や配置など、空間的世界を心の中に再現できる
   視覚的-空間的な世界を正確に把握することができ、自分の思い描いた通りに何かをつくり替えられる

4.身体・運動能力
 自分のからだの動きをコントロールできる力
 スポーツ以外にも、身振り手振りなど身体を使って表現する能力
 ものを巧みに使いこなせる力
 手仕事など身体を使ってモノをつくることが得意

5.音感能力
 リズムや音の高低、音質を識別したり、作り出したりする力
 多様な音楽のスタイルを味わえる
 音楽のパターンを捉え、覚えて再現する能力が高い

6.対人(人間関係形成)能力
 他人の気分や気性、動機や欲求などを的確に読み取り、反応できる力
 コミュニケーション能力と関連し、政治、社会制度、教育などが得意分野

7.内省(自己観察・管理)能力
 内省により自己認識、自己分析ができる能力
 自分自身の感情を識別でき、また自分自身の長所や短所を把握できる
 自分の強み弱みや特性を理解し、自分を管理することに活かす

8.自然との共生能力(博物的知能)
 無生物も含めて分類認識する能力
 自然、農業、動植物に対する感度と知見が高い
 種の存在を認知したり、種類を見分けたり、種相互の関係やつながりを認識できる

■MI理論8つの能力のチェックリスト

どの能力をより持っているのかというところをチェックしていくためのリストです。
片方では、4つの文章で表現していたり、10項目を教師側と生徒側とのパターンで分けて
いたりしたものを、独断と偏見で各7項目の要素にまとめてみたものになります。

1.言語能力
□本が好きだ、本は私にとって大切である
□読んだり話したり書いたりするときに言葉が頭の中に聞こえてくる
□クロスワードパズルやことば遊びなど言葉を使ったゲームが好き
□英語や社会や歴史の方が、数学や理科よりも優しいと思った
□自分で書いた文章に満足出来たり、人から褒められたことがある
□会話に、それ以前に読んだことや聞いたことがしばしば登場する
□スペルが正確に書ける、外国語を学ぶことは簡単だった、得意である

2.論理的・数学的能力
□数学、理科は好きな科目だった
□暗算が得意だ
□もし?ならと仮定でモノを考えるのが好き
□パターンや規則性や構造を理解するのが好き。
□物事が測定、分類、分析されていると安心する
□抽象的な概念を考えたり、捉えたりすることが出来る、好きだ
□殆どの事柄には合理的な説明ができると思う

3.視覚・空間能力
□色に敏感、色彩が豊富な絵や本に興味を持つ
□目を閉じて明確な視覚イメージを持つことが出来る
□積木やパズルや迷路が好きだった
□夜見る夢のイメージは鮮明だ
□絵を描いたり、いたずら書きするのが好き
□地図や図表を読むのは、簡単で、得意だ
□芸術的な活動に興味がある、イメージで空想にふけるのが好き

4.身体・運動能力
□スポーツや何かの運動に日常的に取り組んでいる
□長い時間座っているのは苦手
□手を使って何かを作ったり分解するのが好き
□身体を動かしているときにアイデアが浮かぶ
□何か新しいスキルを得ると実践したくなる
□他の人のしぐさや身振りを真似する、ジェスチャーが大きめと言われたことがある
□運動神経が良い、又は手先が器用だ

5.音感能力
□音楽を良く聴く
□何か楽器を演奏できる
□カラオケや合唱など、歌うのが好き
□聞いたことがあるだけの曲でも大体歌える
□音程がズレているときにはすぐ分かる
□音楽は私の人生に欠くべからざる要素だ
□鼻歌やリズムを取ったりすることが好き

6.人間関係形成能力
□よく人の相談に乗ったり、アドバイスを求められる
□個人競技より団体競技の方に興味が惹かれる
□自分が知っていることを人に教えるのが好き
□3人以上、親友と呼べる人がいる
□仕事以外のコミュニティに常時所属している
□問題は一人で解決するより人に相談したい
□私はリーダー的存在だと思う、又は人にそう言われる

7.自己観察・管理能力
□内省したり、何かを一人で考える時間は大切だ
□自分の強みと弱みをある程度以上理解している
□自分のことを知るためにお金を使ったことがある
□自分を高められるような趣味や興味を持っている
□独立することについて真剣に考えたことがある
□日記や自分の人生についての考えを書き記すモノを持っている
□仕事や学びや生活について、マイルールや独自のスタイルを持っている

8.自然との共生能力
□キャンピング、登山ハイキング等、自然の中にいることが好き
□自然がこれ以上破壊されることを防ぎたいと思う
□自然に関する本や雑誌を読んだり、テレビを見たりするのが好き
□動物館や水族館など、自然の世界を学ぶことが出来る場所に行くのが好き
□家庭菜園、ガーデニング、キャンプ等、自然に関連する趣味を持っている
□人間と動植物の生態系との関連性ついて興味がある
□自然現象についての分類や構造に興味があり説明出来る

■具体的な学び方のパターン例

自分や相手の特性を理解した上で学習計画を立てていくという考えもありますが、
それぞれ相互に関連しているものでもあり、各要素のバランスを取っていく
という考え方も一つあります。

1.言語能力   ことばを使って
  本や物語を読む、音声や自分の声を録音し聞く
  日記を書く、自分の考えを英語で表現してみる
  ブレストなど語り合う機会を持つ
  文法や語源など言葉の意味内容を学ぶ

2.論理的・数学的能力    論理的に
  時間をカウントするなど数値化してみる
  パズル、ゲームを活用する、ゲーム化する
  状況を分析し、学習計画をつくる
  問いを通じて考える機会をつくる
  文章の因果関係を考えながら、英文を読む

3.視覚・空間能力     イメージや図で
  学ぶ内容を視覚化する、色や絵や図を活用する
  ベン図やチャートを描いて整理する
  映画を見る、絵本を読む
  具体的なイメージを浮かべながら英文を読む

4.身体・運動能力     身体的な感覚を使って
  身振手振りや身体を使って表現する工夫をする
  踊る、走る、跳ぶ、触る等、五感で感じる
  スポーツ、劇、触る、つくる、体験学習
  台詞や文章を読む際に身体も動かして表現する

5.音感能力  リズムやメロディーで
  歌を歌う、拍子を取る、替え歌で覚える
  音の強弱やリズムを感じながら聴く
  音の強弱やリズムを意識して音読する
  記憶力を高める音楽などをかける

6.人間関係形成能力    やり取りを通じて
  歓談、チャット等の話し合いなどの機会を持つ
  他の人の取り組み方を聞いてアイデアを活かす
  コーチをつける、徒弟関係を結んで取り組む
  ロールプレイイングで様々な役割を演じてみる
  学びの場に参加してみる、自ら機会をつくる

7.内省(自己観察・管理)能力  自己理解を生かして
  目的や自分の関心応じたカリキュラムを考える
  振り返りの時間を持つようにする
  日記を書く、感情を表す機会を持つ
  学習の動機や恐れとなっているものを理解する
  出来たことを認め、自尊感情を高める

8.自然との共生能力  自然や自然の中にあるものを通じて
  庭の手入れ、自然観察、動物を育てる
  屋外での活動、自然の中で感じる機会を持つ
  生物学的観点から、学びの対象を分析分類する
  動植物に触れたり博物館で感じたことを作文する

■どう取り組みたいかを考えるための質問

1.言語能力
どうしたら、話したり、書いたりする活動を取り込むことができますか?
2.論理的・数学的能力
どうしたら、数字や計算、論理、表や時間で分類したり、何故?を考えたり、問題解決を検討する活動を取り込むことができますか?
3.視覚・空間能力
どうしたら、視覚的な道具や絵やイラストなどを使って、多彩な色や芸術的な要素を取り込むことができますか?
4.身体・運動能力
どうしたら、身体の感覚を使ったり、身体で表現したり、触ったり、つくったりということができますか?
5.音感能力
どうしたら、自然界の音を取り込んだり、リズムやイントネーションやメロディに乗せて、学習に取り組むことができますか?
6.人間関係形成能力
どうしたら、話し合いやチャットのやりとりや、グループでの取り組み、想定したシュミレーションなどを活用してゆくことができますか?
7.自己観察・管理能力
どうしたら、感情を振り返りをしたり、感情を認識し表明したり、自分の生活とのつながりを言葉にすることができますか?
8.自然との共生能力
どのようにしたら、生き物や自然現象などの気づきやつながりを認識できる活動を取り込むことができますか?

(参考)MI理論以外の学習の切り口のご紹介

■指導法の7つの入り口
1.語りによる入口   ストーリーを語る
2.量的・数的入口  数量的観点から意味を見出す
3.論理的入口  演繹的に思考する、三段論法により概念化
4.根本的・実存的入口  根本的な部分に疑問を投げかける
5.美的入口  バランスや調和、構図に着目
6.体験的入口  何かを体験、操作、実験したりする
7.社会的入口  他者を観察してやり取りする

■外国語学習の言語適正
1.音声識別・符号化能力  言語を記憶する
2.文法的感受性  文法の規則を認識する
3.帰納的・言語分析能力  意味 文法の分析等

■学び方のスタイル
1.見たり、聞いたり、読んだりして学ぶタイプ
2.じっくり考えることによって学ぶタイプ
3.動いたり、実際に試してみることによって学ぶタイプ
4.フィーリングや感情、直感などを大切にする形で学ぶタイプ

以上、自分備忘録及び誰かの役に立てばと思い、投稿させていただきます。

【本投稿の参照書籍】
 

「マルチ能力が育む子どもの生きる力」トーマス・アームストロング著

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MI理論を活用した学習法を、教師側の視点を中心にかなり具体的に解説されている本です。

英語に特化していませんが、このMI理論について、教師側と子供側の両面からの視点から具体的な取り組みの方法が分かりやすく解説されている本です。



「MI理論を応用した新英語指導法」林桂子
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MI理論を活用した英語指導法に特化して学術的に書かれている結構固めの本です。


以下、本ブログ投稿時点ではまだ未読なのですが、本間正人先生の最新刊の関連書籍と、
MI理論について書かれた関連書籍を紹介しておきます。

学習学に基づくコミュニケーション豊かな『外国活動授業のつくり方』
著者:本間正人、関戸冬彦、柳瀬真紀、中國達彬
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本間正人先生の令和元年時点の最新書籍であり、大学授業の最前線で活躍しているという関戸さんと柳瀬さんのお2人もEMSの場でも大変お世話になた人なのですが、文学と英語学習というテーマで論博(大学院に通わず論文の内容だけで博士号を取得)になった関戸冬彦さんと、学生が英語勉強好きになってしまう魔法がかけられる柳瀬真紀さんという、小学校以外の英語授業だけでなく大学の授業の話も書いてあるそうで、とても興味があります。

「自分の強みを見つけよう~「8つの知能」で未来を切り拓く」有賀三夏著 2018.8
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この本も読んでおきたいです。

 

以上また宜しくお願い申し上げます。