石井です。
多読書評ブログ今年一押しの本です。
あまりこういう書き方はめったにしませんが、半農半Xや社会活動をしている人のインタビュー本なのですが、とにかくオススメです。
本書は自主企画として著者の名倉幸次郎さんの思いが詰まっていて、どちらかというとインタビュー本というよりは、8人の人の世界観を巡っていく著者の旅行記というような感じの本です。
色んなことが過渡期を迎えているなか、社会を変えていく為には、一人一人が変わっていくことが必要ということは良く言われることです。
真にもってそうなのですが、「そうは言っても・・・」という気持ちが現れてくるのも正直なところです。
私もそうです。嫁の実家の田舎に疎開して、阿蘇に行くことを現地で考えている友人を見たりするといいなあと思ったりしますが、現実には、仕事もあるしとか、妻の実家の近くという環境を手放せなかったりします。
本書では、ちょうど著者の名倉さん自身が、この持続可能なライフスタイルにあこがれて、自分もその世界に飛び込もうと思っていたその瞬間のタイミングで作られたものです。
ただ単に外から眺めるのでもなく、そのライフスタイルに染まっているのでもなく、その世界に入ろうと決意した直後の感覚と感性で書かれています。
今力強くメッセージを発信できる人にかなり共通していると思うのが、最初から、資本主義を超えた世界観を持っている人達というよりは、この資本主義的な競争社会にどっぷり一度はまった人達だったりすると思っています。
こちらの世界の感覚とあちらの世界の感覚の両方を持っている状態とでも言うのでしょうか。
このブログで紹介した人達でいえば、世界銀行副総裁だったという西水さんや、某IT企業で活躍していたジョン・ウッドさん、某最大手証券会社でバリバリ仕事をしていたこともある天野敦之さんなどがこれに当たります。
本書の著者の名倉さんは、元ドイツのプロハンドボール選手という異色の経歴を持っている人です。
この本の訴えてくる筆力は一体どこから来ているのだろうと思って読み進めると最後に、著者自身の本書執筆に至るまでの半生記が書かれています。
本書を読まれる際は、この著者の半生記から読んでいくべきと個人的には思います。
ちょっと著者のことばかり書いてしまいましたが、紹介されている内容も深いです。
詳しくは以下抜書きまとめです。
■いろんな出会いの中で、僕は気づいていった
「当たり前」だと思っていた自分の暮らしが、どうやって成り立っているのかを
どれだけ多くの人や自然の犠牲の上に自分が生かされているのかということを
■問題は山ほどある
地球温暖化、戦争、再処理工場、原発から出される大量の放射性廃棄物、自然を破壊していくムダな公共事業、沖縄の米軍基地、差別、貧困、食料自給率、食品添加物・・・
<林 良樹>
半農半アースアーティスト
■実感
地球はひとつの生命体である
自分のひとつひとつの行動がすべて地球全体に影響を与えている
■平和な美しい地球をつくるためのアースアーティスト
絵を描くこと
お米をつくること
■ルドルフ・シュタイナー
『もし自分を知りたければ、外を見なさい。もし外を知りたければ自分を見なさい』
■田舎暮らし
森は豊か
夜は満点の星
子供たちにとって、庭が美術館であり、博物館であり、プラネタリウムでもある
すごいクリエーティブで、刺激的で、楽しくって、美しくって、心地よい暮らし
内側からくるワクワク感、そこからあふれてくる創造力
社会の一員であるとともに、地球の一員だと強く感じます
■核家族の限界
「子供は若い両親の力だけで育つものではなく、多くの人との関わり合いの中で、地域の人々に関わってもらいながら育つもの
人々のつながりの中でこそ子供は育ち、みんなで育てるもの
■地域通貨という考え方
「エンデの遺言」(NHK)で紹介され、ミヒャエル・エンデの考え、地域通貨の試みに共感した多くの人々によって日本各地に広がるようになった
■安房マネー
東京圏を中心とした地域通過「レインボーリング」から学んだ
安房マネーによって、物やサービスが交換できる
そしてさらに、人と人との信頼関係が築かれていく
■お金は本来
物やサービスを交換し合う手段
マネーゲームへと変化
■日常的に使っているお金
ふだん日常的に使っているお金は、戦争や貧困、自然破壊を支援しています
銀行に預けることで、米国債を買い、僕たちのお金によってつくられたミサイルでイラクの子供たちが死ぬ
■大量生産された物
自然を破壊し、発展途上国の人々が安い賃金で働くことによって成り立っている物が多い
■エビ
マングローブの豊かな自然を破壊して養殖場をつくり、そこで育てたものを日本が輸入しているものがほとんど
■知らないところで
僕たちは自分の知らない所で戦争や自然破壊に加担している
■そんな今、地域通貨は
お金の本質を見つめなおすきっかけになる
お互いの信頼関係によって成り立つもの
そのため、地域通貨を使うことで信頼関係も生まれてくる
■買うとは
その企業を支援することであり投票と同じ
どんな未来にしたいのか。どんな社会にしたいのか。
選ぶのは自分自身なのかもしれない
■フェアトレード
搾取ではなく公平に扱おうよ
■現代文明
「自分たちだけ良ければ、他はどんなに汚しても、傷つけても構わない」という先進国に住む一握りの人たちだけの暮らし方、考え方
■大きな文明の岐路
人間の意識が大きく変わる時だと思う
シンプルな暮らしを求める若者が増えている
■都会では
全てがお金で解決
■田舎では
自分が必要なものは自分で生産できるので、身の丈に合った、納得のいく暮らしができます
■自分のペースでいい
無理せずに、自分のできる所からやっていけばいい
■ワクワクすることをしよう
神話学者、ジョセフ・キャンベル
「喜びに導かれて進めば、今までなかった扉が開かれる」
<きくち ゆみ>
ハーモニクスライフセンター
■自分がミッションに乗った時
物事がどんどん動いていく
<自分の魂が決めてきた役割>と<自分自身>が一致した瞬間
■傍観しているということは
賛成しているということ
■ずれる時
「みんなのため」とか思って役割が大きくなりすぎるとダメ
■頑張らず、できることをやりたいようにやる
そうすると、自然にいちばん自分の心が快適な方へ向かう
身体の声、心の声、魂の声を聞く
■「私が地球なんだ」
自分の健康と地球の健康は、同じ法則で保たれているってことに気づいた
私と地球が同じ法則で生きているなら、私の身体が良くなることが、地球も良くなることでもある
それならまず、自分の環境を良くしよう。そうすれば地球の環境も良くなる
■<自分で育てる>
自然と<自分で育てる>というふうになっていく
■彼女の家
連日訪問者が絶えない
■ホ・オポノポノ
ハワイの先住民族の考え方
目に見える世界と目に見えない世界の存在に気づくことができた
■本当の豊かさとは
心のあり方であり、目の前の豊かさに気づくこと
■若い世代へのメッセージ
<好きなことをやる>に決まってる
■いも虫が蝶になるまでの物語
同じことが私たち人類に起こっている
波動の合うもの同士が共感、共鳴し合い、集まり始めている
もうすぐ、みんながつながり、いも虫の消費文明から脱出して、蝶として生まれ変わる
消費文明ではない新しい文明に生まれ変わる
<設楽 清和>
パーマカルチャーセンター・ジャパン
■パーマカルチャーとは
持続可能な生活、そして持続可能な土地利用をデザインするための体系
自然と調和した暮らしのデザイン
■自分の責任
<自分の責任>で木が切られていることに気づいた
「そのシステムからできるだけ外れよう」、そう思った
そのシステムから外れて、そこで初めて自分が生きるっていう現実が見えてくるんだろう
■仕事を辞め、新潟の地を訪れる
自分のリアリティーのなさに愕然とした
■将来の日本の農業
若者がいない
高齢化に伴って農薬をセスナ機で撒く方法が取られる
■会社に勤めるっていうのは
依存的なことになる
ある意味楽だけど
■奴隷
特にやりたくない仕事している人
「奴隷なんかじゃない」っていういろんなまやかしは一杯ある
■想像する力
イメージするのが人間の力
多くの人は教育の中で、そういう力をどんどん削ぎ落とされてる
「お金さえ稼げば何とかなるよ」みたいな
■パーマカルチャーで大切なのは
自立力と創造力
二つは表裏一体
自立して初めて想像が生まれる
何かに依存している間って、なかなか想像する力は生まれにくい
できるだけ自立してやってみる
自立するには自信が必要
■自分じゃないもの
自分じゃないものにどっかで責任を負わせて、自分じゃない所の誰かが生み出してくれたものだけを享受する
■「バカになれ」
みんな小利口すぎる
自分自身を限定してしまっている
自分の中にある可能性を、もっと信じて生きていってほしい
■「言ったらやれ」
責任とれないことは言うな
自分の言葉に責任を持とうとすると、自分一人だけでできないことがわかる
そうすると、おのずと謙虚になり、人とのつながりや自然とのつながりを大切にするようになる
そうしたら、自分がどんな発言をするべきなんだという所にかえってくる
■大人がもっと自信を取り戻す必要がある
今の大人は自分で伝えられるものが少ない気がする
<自信>もって、背中で語れるような大人になってほしい
<正木 高志>
アンナプルナ農園
■1960年代
世界中の若者が文明の行き詰まりを感じ、新しいモノ探しに旅をし、深い精神性を求め、インド、ネパールに集まって
きた時代
■西洋のマインドセット
環境問題や戦争は西洋のマインドセットから生まれている
環境が自分自身であることを気づかずに
企業はエコを自分たちが儲ける手段に使っているだけ
人間中心で自己中心的な考えでは環境問題も戦争も解決出来ない
■先住民族
エコロジーと言っても、ピンと来ない
彼らネイティブは、自然と離れず自然と一体だから
人間が自然に抱かれている
■グラウンディング(自然回帰)
木を植えたら
山の神様が僕を抱きとってくれた
森の側から見ることができるようになった
森の中にいるだけで、もう十分幸せ
■鏡の裏を磨く
表を磨く
立派になって輝きなさい
表が磨けたら、今度は鏡の裏を磨きなさい
裏を磨いて、透き通って、鏡に映らなくなれ
立派になった自分を、消せ
■どんどん面白い時代になっていく
日本から新しい文化、新しい時代が若者発で起こる
■無関心な国民
国や世界を思うように動かしていきたい人にとってみれば、「無関心な国民」ほど「ありがたい」存在はいない
情報操作すれば簡単に動く国民
投票にすら行かない若者
そんな人が増えれば増えるほど「ありがたい」
■心の声に正直に
一人一人が自分のできる範囲でいいから行動に移していく
そんな未来をイメージするだけで、世界が光であふれる気がする
<菊川 慶子>
花とハーブの里
1993年から「核燃に頼らない村づくり」を掲げ、「花とハーブの里」を主宰
■問題のもと
問題のもとを考えると、電気を利用して恩恵を受けている僕自身にたどりつく
核燃料サイクル施設をみて僕の頭に浮かんだ「化け物」を生み出した「人間」とは、自分自身
■傍観者
でも、僕はいつも外からみる傍観者であり
「問題あり」とされてきた情報は、自分とは関係ないものとしか認識しなかった
■<花と歌>
男性は角材とか持って、シュプレヒコール
女性はミーティングの結果、<花と歌>でいく
角材の代わりに花を
シュプレヒコールの代わりに歌を
■チューリップ祭り
チューリップを植えての非暴力での小さな革命運動
■自分で判断し行動する
周囲に流されるのではなく、自分が何をしたいのか、どういう生き方をしたいかっていうことを考え、自分で判断し行動することが必要
■都会思考
田舎の古臭さを変えてもっと都会のように、豊かに、という価値観
その価値観が行き着く先
本当にそれが幸せなことなのだろうか
自然を壊して都会のように暮らす先に何があるかってことを考えるべき
■彼女の言う「豊かさ」
人がつながり、作物を自分たちで育て、それを頂く
日の出とともに起き、日が沈むと眠る
季節の変化を楽しみ、自然を敬う
■夢をあきらめないでほしい
そういう希望を持ち続けてほしい
<大下 充億>
自然菓子工房 欧舌
■半農半菓
誰もが時間やお金から自由になるような未来の暮らし方の提案として、「半農半菓」というライフスタイルを実践
■ケニアでの体験
18歳になると自分で家を建てる
それを手伝ったら自分の中の価値観が変わった
「これで良いんや」
自分で何でもつくって、家も自分で建てれば良いんや
いつのまにか重たいものを背負ってたけど、それがすごく軽くシンプルになって、重たいものが抜けていった
■スーパーで売られているもの
その背景にどんな実態があるかを知る必要がある
■資本主義社会のシステム
富める者はより豊かに、貧しい者はより貧しくという社会の構図
■市場経済が入っていない所ほど
のどかで豊か
■都市になるほど
貧富の差が激しくなり、治安も悪くなり、殺伐とした暮らしになる
■お金
日本の問題も、世界の問題も、あらゆる問題のもとをたどると、お金がからんでくる
二つの原因
一つ目は、一部の人のところにお金が流れるという、お金の仕組みそのもの
二つ目は、人間の欲望が肥大化してしまい、少しでは満足できなくなっとること
一つ目の解決策は、今のお金の問題点を見極めて、その問題点を除いた暮らしをしていけばいい
二つ目の解決策は、<足るを知る>ということ
■社会の小さなひな型を小さな所から
人を変えるのではなく、まず自分の内側やったり暮らしを変えようって思った
■自分の現実
自分で創造してつくりあげられる
〈てんつくマン〉
げんきのたね夢楽
■カメラマンがものすごい
撮影しながら、車がカーブする時なんか「ボキボキ!!」って肋骨が折れる音がする
撮影が終わる頃になると、身体ボロボロで、声が出なくなっている
休憩の時なんか廃人みたい
「本番行きます」ってなると「シャキーン!」
■龍馬さんは
血を流さずに日本を変えようとした
〈著者〉名倉幸四郎
■小学生時代
胃腸の弱い名倉くん
■中学生
兄の影響を受けてハンドボール部へ
■怪我
インカレの試合中、右肩を亜脱臼
今まで知らなかった世界へ足を運ぶきっかけ
■本や旅での出会い
自分の中にも可能性の芽があることに気づいていった
■夢
プロハンドボール選手
■不安
夢だけはある
「不安―だから辞める人」
「不安―だけどやる人」
僕は後者でありたかった
■ドイツ
本場のハンドボール
圧倒された
でもクイックネス、動きのスピードなら通じるかもしれない
■夢の舞台
「生きている」
そう心から思えた
■一冊の本との出合い
高木善之「新地球村宣言」
地球終わった・・・・・・終わった・・・・・・絶望だ・・・・・・
■競争か、共生か
自分だけ楽しければいいのか
■新たな旅へ
自然のリズムを取り戻すことで蘇ってきた「気づき」
■理想とするライフスタイルを求めて
自分のできることから行動に移す素晴らしい人たち
■未来の暮らし
自分の暮らしを振り返ってみること
足元から少しづつ行動に移すこと
■変わらぬものを大切に
どんな風になるかはわからない【
変わらぬものを大切にしながら、変わっていこうと思う
変わらぬ芯を持って生きていきたい
以上抜書きまとめでした。
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【編集後記】
最近さっくんとももちゃんは、パパが起きている時間に帰ると「パパお帰り~!!」ってそれはそれはうれしそうに出迎えてくれるんです。
パパはそれを見て、またなんていとおしいんだと思うわけです。
子ども達が生まれて、この世に愛されたことのない人達はいないんだということが100%分かって、だから誰でも愛を知っているはずだと思っていました。
最近は、実は愛を与えているのは親ではなくて、子供達がすんごい大きい愛を親にくれているということ。
人は誰でも生まれながらにして、愛されているだけではなくて、愛すことを知っているし、やってきたということ。
こう子供たちを見て思う今日この頃です。
人の愛し方を知らないと思っていたパパ書評ブロガー石井でした。
本日も超長文なエントリーを最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからこっちの活動力を入れてこうと思っています。
「自己探求型ブランディング研究会」 Facebookファンページ
最近熱いテーマは「本当の自分を生きる」です。
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