もう明日からTEBだというのに、のろのろとNHK杯の感想など。
先日アスリートの魂を見て思ったことをやっつけで書いたけど、まだもやもやとしたものが残っていて、
もう少しちゃんと整理して考えたいなあと思いつつ、時間がない。
これから月末まで多忙を極めるので、エリックもロシアもどこまで見られるのか不安。
ロシアは真央ちゃん出るし、男子の顔ぶれも興味深いので、なんとしてでも見るつもりですが。

NHK杯は、男女とも日本選手が1,2位という結果でした。
このシーズンや試合の意味あいは選手によってちがったのでしょうが、4人ともが自分の現状のなかでできることを
精一杯出した結果であり、今後につながる試合になったのではないかと思います。

見ている側にとっても、とてもいい試合でした。
とくに高橋選手、鈴木選手、ベテランの2人が、昨季の失敗や苦い思いから、オフにスケーティングを見直したりして、
さらにレベルアップして試合に臨んできて、見事に結果を出したことには感激しました。
大ちゃんは4回転こそ成功しなかったけれど、滑りの質、ジャンプの質、プログラムの密度、音楽との調和など、
もともと優れていたところが、さらにすごいことになっていました。
すでにあれだけの結果を出してきて、今までだってじゅうぶんにすばらしかった選手が、
本腰を入れて磨きをかけるとこんなにすさまじいことになるのかと、驚き、感心し、感動しました。

明子ちゃんも、現役女子選手のなかではけっこう上のほうの年齢になってしまうわけですが、
その年齢で新たにトリプル-トリプルに取り組み、試合に組みこんできたのですから立派です。
わたしは明子ちゃんのジュニア時代は見ていなくて知らなかったのですが、
人生ではじめて試合で成功したと言っていたので、ジュニア時代に跳んでいたわけではなかったのですよね。
それを20代半ばにして習得し、試合で成功させる。これってほんとうにすごいことだと思います。

それから真央ちゃん。
真央ちゃんも事情や時期は違うけれども、上の2人と同じく、スケーティング、ジャンプの見直しに時間をかけてきました。
すでに昨季の全日本や四大陸の時点で、少しずつ新しい真央ちゃんのスケートが見えてきてはいましたけれど、
オフを経てさらにぐっと進化していましたね。
今年はオフのあいだ、The Iceでしか真央ちゃんを見られなくて、もう待って待って待って、やっとやってきたNHK杯でした。
待ったかいがありました。
あんなに可憐でかろやかなシェヘラザード、去年からさらに美しさを増した愛の夢、どちらのプログラムも見ていて幸せでした。
そして今大会でなによりも大きかったのは、真央ちゃん自身が納得して、3Aを回避するという選択をしたということ。
試合後のインタビューで改めて驚いたのですが、真央ちゃんの場合、3Aを跳ぶことよりも跳ばないことを選択するほうが
勇気がいるのですね。 跳ばないという勇気がなかなか出なかったけど、というような言い方をしていました。
でも今回、3Aを回避しても、ほかの部分をきっちりやれば、あれだけの点数が出てフリーでは1位になれた。
なにより、愛の夢という作品が完成形に近づけた。これはとても大きなこと。
真央ちゃんのことだから、3Aを入れなければ完成形にはならないのでしょうけれど、それはまた今後のお楽しみですね。
3Aの調子が悪ければ回避をしてほかの部分で勝負する。それだけでもじゅうぶんに通用するのだから。
そして、3Aの調子がよければ入れてくればいい。選択肢が増えたことで、精神的にも余裕ができて、
もっともっといい演技ができるようになるのではないかなあと、そんな期待をしています。
それと、今回の選択の件からも、真央ちゃんと信夫先生の信頼関係がどんどんたしかなものになっているのがわかり、
ほんとうにうれしいです。

↑の3人は、今までやってきたことが目に見える形で現れて、結果に結びついていましたが、
小塚くんは今季の取り組みのなかで苦労しているのかな、という印象を受けました。
小さな気づきや手ごたえは、本人のなかであるのでしょうけれど、まだそれが目に見える形にはなってきていなくて、
逆に今までできていたこでできていないこともあって……
今は次の段階にステップアップするために、我慢のときなのかなあと思いました。
具体的にいうと、表現に取り組んでいるけれど、まだ明確にその努力が結果になって現れてはいなくて
(表現ができていないという意味ではなくて、まだ十分ではないというか、進化に向かう途中という感じ?)。
一方、靴の問題のせいか、今まではいちばんの強みであったスケーティングのよさが発揮しきれていなかったり、
ジャンプが不調だったり、ということです。
ジャンプはSPからクワドを入れるといっていたので、どのみち苦労するだろうと覚悟はしていましたが、
クワド以外でも、FSで3-3が入らないし、昨季のような加点のつくジャンプではなくなっているのが気になります。
前の記事にも書いたけれど、表現も技術あってこそだし、小塚くんはあの美しいスケーティングがあってこそ、
ほかのことも生きてくると思うので、 全日本までに靴問題が解決して、じゅうぶんに滑りこんで、
本来の滑りをとりもどしてくれることを祈っています。
でも、事前の公開練習の情報ではジャンプの調子がものすごく悪そうだったのに、本番では、クワド以外は、
小さなミスはありましたけど、 まとめてきましたよね。3Aは3本ともきっちり入りましたし。
試合後に、「何とか踏ん張った、何とか耐えたという感じ」とコメントしていましたが、まさにそんな感じでした。
でも、これって大きなことですよね。不調のときでもなんとかまとめて、最低限の結果は出したというのは、
大きな収穫だと思います。きっと後々生きてくるはず。
表現云々のことは、またゆっくり整理してみたいと思っているのですが、簡単に成果が出てくることではないでしょうから、
長い目で見ていかなければいけませんよね。
ひとつの試合での気づきで大きく変化することもあるかもしれないし、小さな気づきの積み重ねが
あとになって出てくるかもしれない、もしかしたら回り道になってしまうこともあるかもしれない。
でも、無駄なことはないはずだから。

1、2位のことばかり書いてしまいましたが、ほかに印象に残ったのは……、
ムロズ選手のクワドルッツとSPのプログラム。ジェフの振付というので楽しみにしていたのですが、なるほどジェフでした。
まったくタイプが違うのに、ちょっとしたポーズ、つなぎの動きなどに、ちょこちょこジェフを思い出してしまいました。
つくった人の過去の演技がちらつくというのは、振付の仕事としてはまだまだなのかもしれませんけどね。
(町田選手のドン・キホーテも、ランビエールの影がちらつくプログラムでしたねえ。すてきでしたけど)
でも、SPは小粋でなかなかいいプログラムだと思いました。
FSは残念な出来だったのもありますが、プログラムも今ひとつかなあ。
ジェフにカルメンは合わないんじゃないかと思ったけど、やっぱりという感じ。 でも、もっと調子のいいときに見てみたいです。

久しぶりのトマシュも楽しみだったのですが、まだまだ本調子にはほど遠いようでした。故障明けだったのですよね。
ロシアを棄権とのこと、悪化したのでないといいのですが。
プログラムはどちらもすてきそうだったので、ユーロからワールドで、完成形を見せてもらえるといいなあ。

女子では、アシュリー・ワグナーの両プログラムがよかった。
プログラムもすてきだし、演技もよかったので、もう少し点が伸びてもよかったのにと思いました。
課題としては、滑りにもうちょっと伸びとスピード感が出るようになるといいのかな。
でも、そんなこと関係なく、すてきなブラックスワンでした。あのスパイラルのところ、ぞくぞくします。
プログラムもいいし、調子もよさそうなので、今季こそ全米の激戦を勝ち抜いてワールドへ! 期待してます。
ゲデバニシヴィリ選手も、FSの転倒が残念でしたけど、今季は調子がよさそうなので、これからが楽しみです。