高校生の「睡眠時間」不足すると、成績に影響するって本当?
【概要】思春期まっただ中の子どもと日々向き合っているパパです。今回は「高校生の睡眠時間と発達の関係」について、お話ししていきたいと思います。高校生になると学業や部活、アルバイトなどで生活がさらに忙しくなりますが、睡眠が不足するとどんな影響があるのか、逆に十分な睡眠を確保するとどんなメリットがあるのか、論文の数字を引用しながら解説していきます。■■高校生の睡眠時間が重要な理由■■私の家でも、高校生になった息子は部活や塾、友達との付き合いなどで、かなり遅い時間まで起きていることが増えました。中学生の頃と比べて勉強量も増えますし、「やらなきゃいけないこと」が多いのは分かるのですが、それが原因で夜更かしを続けていると、体や心に思わぬダメージが溜まってしまいます。実際に、アメリカ睡眠医学会(AASM)が2016年にまとめた声明によれば、14〜17歳のティーンエイジャー(高校生世代)には1日あたり8〜10時間の睡眠が推奨されています。(出典:American Academy of Sleep Medicine. Recommended amount of sleep for pediatric populations: a consensus statement of the American Academy of Sleep Medicine, Journal of Clinical Sleep Medicine, 12(6), 785-786, 2016.https://jcsm.aasm.org/doi/10.5664/jcsm.5866 )また、アメリカの非営利団体「National Sleep Foundation」でも、ほぼ同様に8〜10時間を目安としており、それ以下の睡眠時間が続くと、学業成績や情緒面、免疫力の低下など、思春期に大きな悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。(出典:National Sleep Foundation. How Much Sleep Do We Really Need?https://www.sleepfoundation.org/how-sleep-works/how-much-sleep-do-we-really-need )『受験本番! 子どもを「落ち着かせる」親のサポートとは?』概要この記事では、受験という大きなプレッシャーを感じやすい環境のなかで、気持ちを落ち着かせる方法について考えてみたいと思います。アメリカや日本の研究論文からの…ameblo.jp■■海外研究:思春期特有の「夜型化」と睡眠負債■■思春期になると、体内時計やホルモンバランスの変化により、【夜型化しやすい】というのが一つのポイントです。アメリカの睡眠研究者であるCarskadon(2011年)が報告しているように、【高校生世代は22時〜23時頃に眠気のピークを感じにくくなる】ため、夜更かしが習慣化しやすいと言われています。(出典:Carskadon MA. (2011). Sleep in adolescents: the perfect storm. Pediatric Clinics of North America, 58(3), 637-647.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21600346/ )さらに、高校生になると朝練や早朝登校の機会も増えるため、本来は8〜10時間必要な睡眠を確保できず、【平日に深刻な睡眠不足】を抱えがちになります。これが続くと「睡眠負債」と呼ばれる状態に陥り、集中力や体力の低下だけでなく、情緒面でもイライラしやすくなったり、落ち込みやすくなったりするなどの問題が生じやすくなります。■■国内研究:高校生の学業成績と睡眠時間の関連■■日本でも中学生・高校生の睡眠不足に注目した研究があります。たとえばTagamiら(2021年)の研究では、日本の中高生を対象に「睡眠時間」と「自己申告による学業成績」などの関連を調査しています。その結果、「十分な睡眠をとれていない」と回答した生徒ほど、学業成績が良くないと自己評価している割合が高いことがわかりました。(出典:Tagami T, Fujiwara T, Okuyama M, Iso H. (2021). The association between insufficient sleep and self-reported poor academic performance among Japanese adolescents: a cross-sectional study. PLoS One, 16(4), e0250036.https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0250036 )もちろん、学業成績には本人の学習習慣や塾への通い方など様々な要因が影響します。しかし、睡眠不足が続くと脳の働きが低下し、記憶力や集中力が落ちてしまうことは海外の研究でも指摘されています。つまり、長時間勉強するよりも、必要な睡眠を確保したほうがテストの結果が良くなる可能性も十分にあるというわけです。■■睡眠不足と心身への影響■■【学業成績への影響】に加えて、睡眠不足は高校生の体と心にどんな影響を与えるのでしょうか。私自身も思春期の息子が夜更かししているのを見ると、「大丈夫かな?」と気になることが多々あります。以下のようなリスクが高まると指摘されています。 免疫力の低下 →睡眠中に増える成長ホルモンなどは、体の修復や免疫機能の調整に大きく関与しています。睡眠不足が続くと病気にかかりやすくなる可能性が高まります。 肥満や生活習慣病リスクの上昇 →睡眠不足はホルモンバランスを乱し、食欲抑制ホルモン「レプチン」の分泌が減り、食欲増進ホルモン「グレリン」が増えるため、過食につながりやすくなると言われています。高校生のうちから寝不足が続くと、将来的な肥満リスクが高くなるかもしれません。 情緒面・メンタルヘルスへの悪影響 →思春期はもともとホルモンの変化や人間関係のストレスが多い時期です。睡眠不足がストレス耐性を下げ、イライラや不安感が強くなることが報告されています。■■「高校生の睡眠を支える工夫」■■忙しい高校生活を送る子どもに、どうやって睡眠時間を確保させるかは悩みの種ですよね。わが家でも試行錯誤しつつ、いくつかのポイントを大事にしています。 就寝時間をなるべく固定 →朝練がある日など変動はありますが、最低限「平日は23時までには寝る」を目標にしています。「何時に寝たいから、何時までに勉強を終わらせる」という逆算発想でスケジュール管理をしています。 夕方〜夜の仮眠は20〜30分に留める →部活後に疲れているときは、帰宅後に少し仮眠をとるのも有効です。ただし、長すぎる仮眠は夜の睡眠が浅くなる可能性があるため、短めのパワーナップを推奨しています。 スマホの使い方をチェック →いくら眠気が来ても、SNSや動画を見ているとつい夜更かししてしまうことが多いですよね。寝る1時間前にはスマホをオフにするルールを家族で共有するなど、実際に対策を講じています。 朝日をしっかり浴びる →起床後は太陽光を浴びることで体内時計がリセットされます。登校前に5分でもいいからバルコニーに出る、カーテンを開けて朝日を取り入れるなど、ちょっとした工夫でリズムが整いやすくなります。■■将来への投資としての「睡眠」■■高校生の子どもを持つ親としては、「早く寝なさい!」と言うだけでは解決しにくいこともよく分かります。勉強や課題が山積みだったり、スマホを手放せなかったり、友達付き合いで夜遅くまで通話したり……。しかし、思春期の睡眠不足は学業成績だけでなく、将来の健康やメンタル面まで左右する重要な要素であることを改めて強調したいです。私は息子に対して、「しっかり寝て翌日のパフォーマンスを上げるほうが、結果的に勉強や部活でも成果を出しやすいよ」と、睡眠を「時間の浪費」ではなく「将来の自分への投資」と捉えるように伝えています。実際、週末の部活の大会などでベストを尽くすには、前日の睡眠がカギになりますし、テスト勉強でも寝不足続きだと集中力が落ちるばかりです。■■まとめ:高校生の睡眠時間を確保して、可能性を伸ばそう■■今回紹介した研究やデータから分かるように、14〜17歳の高校生には1日8〜10時間の睡眠が推奨されているにもかかわらず、実際には多くの高校生がその目安に届いていないのが現状です。塾や部活、アルバイトなどに追われる生活は避けられないかもしれませんが、「疲れと睡眠不足を抱えたまま走り続ける」よりも、一度ペースを見直して「十分な睡眠を確保すること」が長期的には学業やスポーツ、さらには健康面で大きなリターンをもたらします。私自身も息子に「時間があれば勉強しろ!」と言いたくなる気持ちは分かりますが、たまには「早めに寝て明日の朝スッキリした頭で勉強したほうがいいよ」と声をかけるようにしています。子ども自身が睡眠の大切さを理解し、自発的に生活リズムを整えてくれたらベストですよね。睡眠は食事や運動と並ぶ、健康と成長の大きな柱です。高校生の皆さんが十分に眠り、存分に自分の才能を伸ばせるよう、親としてできるサポートを少しずつ取り入れていきたいと思います。少しの工夫で毎日の充実度が変わってくるはずなので、今の生活リズムに不満や疲れを感じるときは、「どこをどう改善できるか」家族で話し合ってみることをおすすめします。【参照・引用文献一覧】 American Academy of Sleep Medicine. Recommended amount of sleep for pediatric populations: a consensus statement of the American Academy of Sleep Medicine, Journal of Clinical Sleep Medicine, 12(6), 785-786 (2016). https://jcsm.aasm.org/doi/10.5664/jcsm.5866 National Sleep Foundation. How Much Sleep Do We Really Need? https://www.sleepfoundation.org/how-sleep-works/how-much-sleep-do-we-really-need Carskadon MA. (2011). Sleep in adolescents: the perfect storm. Pediatric Clinics of North America, 58(3), 637-647. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21600346/ Tagami T, Fujiwara T, Okuyama M, Iso H. (2021). The association between insufficient sleep and self-reported poor academic performance among Japanese adolescents: a cross-sectional study. PLoS One, 16(4), e0250036. https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0250036高校時代は人生のなかでも大事なステップ。睡眠を味方につけることが、明日の自分をより輝かせる鍵になるはずです。一緒に睡眠習慣を見直して、子どもの可能性を最大限に伸ばしていきたいですね。