私はミリタリーは単調なものだと思っていた。のろまな兵器が整列して進むさまは愚鈍で退屈でしかない。
だから私はミリタリーには興味がなかった。
そんな私に変わった観方を提供した作品がある。アンドレイ・タルコフスキー監督の『僕の村は戦場だった』だ。
人一倍愛国心の高い少年が周囲の軍人に引き留められながらも敵地に潜入する話だ。大人たちが子供はそんなことをしなくていい、と止めながらも結局はとめられない歯がゆさが印象的であったけども何よりも鮮烈なシーンがあった。
それは少年が敵地に向かうために浅瀬をとおっていた時のことだ。
少年を止められなかった大人たちがついていく中、浅瀬に照明弾が降っていたのだ。
綺麗だった。まるで流星群のように降り注いで水面に反射していた。私はこの光景を観ている間しばし戦争を忘れていた。まるでおとぎ話のように美しく感じられたものだ。
事態の深刻さと相反するように風景を美しく撮るのがタルコフスキーの真骨頂といえるかもしれない。思えば彼の卒業制作品『ローラーとバイオリン』もそうだった。
初めてできた友達であるロード・ローラーの運転手との約束を反故にしてしまった少年は夢の中で青年とまた会えることを夢想する。雨上がりのアスファルトに反射している光が少年の孤独をより一層協調していた。
タルコフスキーという人はたしかに詩人めいた感性を持った人だ。絶望や孤独を鮮烈に語れるのは詩人にのみ許された特権である。彼は優れた皮肉屋でもあるが同時に優れた感性をも持ち得ていたのだろう。
私は『僕の村は戦場だった』の他にファンタジックに描いた作品を知らない。最近でいえば『少女終末旅行』も楽しめたけど毛色が違うような気がする
私は『僕の村は戦場だった』の相反性の虜になってしまったのだ。こんな鮮烈なミリタリー作品には中々出会えない
戦争、孤独といった陰鬱なテーマとは別の異相を映し出すのが優れた監督の力だと再認識した次第である
追記
よく考えたら戦メリもミリタリー映画に入るかな?これも好きな映画だ