その人はいつも割烹着にバケツを持っていた。

 

空家に現れては、自分の家を掃除するように

 

淡々と水を汲んだり、ぞうきんを絞ったり。。。

 

その人と話すと何か落ち着いた。

 

「八百屋さんがリンゴ拭くのは、キレイに見せるため」

「売れの残った商品をおまけするのは、また来てもらうため」

「支払を袋で分けておくのは、自分の使い道を知るため」

 

彼女から、いろんなことを学んだ。

 

当たり前をおごらずに当たり前にやる。

どんな取引も、高額であれ、強権であれ、態度は同じだ。

釣り竿のように、先にしかぶれない強さを感じる。

 

ちなみに、彼女はいわゆる「資産家」だが、

見た目には、「レレレのおばさん」だ。

 

今日もどこかの空家で掃除でもしているらしい。

 

娘さんが「もうすぐ戻ってくる」って言ってたけど、

会わずに返ります。僕も真っ直ぐに自分の商売道へ。