ちょっと最近バタバタしていたのですが、この映画だけは観に行きたいと思っていました。
極道の家に生まれた青年と、梨園の跡継ぎの青年が、ともに歌舞伎という芸を追い求めて生きた物語――。
「曽根崎心中……滝沢馬琴だっけ…?」と答えるくらいの歌舞伎音痴ですが、歌舞伎の素養がなくても大丈夫でした。
でもこの作品、歌舞伎の知識があったら更に楽しめたんだろうな…。歌舞伎まったくわからん勢でも、あの曽根崎心中の足のシーンはぐっときました。これ普段から歌舞伎をよく見る人だったら泣いてたんじゃなかろうかと。
175分の超大作。
怒涛のストーリーと映像の美しさに見惚れていたら一瞬でした。
横浜流星の女形姿に期待しながら見に行ったのですが、んも~~~二人とも超絶綺麗!!あまりにも綺麗でびっくりしました。ほんとに何年も歌舞伎の修行されてたみたいに所作が美しい。
でも美しいだけじゃなく、主人公たちの昼ドラ真っ青のドロドロの愛憎劇の演技も素晴らしかった。
そして忘れられないのが人間国宝役の田中泯さん…。
最初、本当に人間国宝の人を連れてきて演じてるのかと思った。それくらい凄かった。
目の色ひとつだけで演技する、凄まじい迫力…。本業はダンサーと知ったときの衝撃よ……
物語も演技も映像も、超重量級。
これは絶対映画館で見たいと思ってたけど正解でした。素晴らしかった。
できればもっと大きいスクリーンで見たかったな…(´;ω;`)シアターに入った瞬間、「あれ?スクリーンが思ったより小さい…」て思ったけど、シネコンだからね…仕方ないね…
教訓:シネコンでスクリーンが小さい場合は、席は中央部分をとりましょう
そういえば、エンディングの曲が滅茶苦茶良かった。
「Luminance」――
怒涛の物語の終幕に流れるこの曲…まるで天界の音楽みたいに美しかった
【以下ネタバレ】
結局この二人の運命が決定的にこじれちゃったのは、父親の渡辺謙が曾根崎心中の代役を自分の息子・俊介ではなく、喜久雄にしたところからよね……
あのとき俊介が曾根崎心中をやっていたら、なんだかんだで全て丸く収まってたと思う。
でもお父さん、あまりにも芸に純粋であるゆえに喜久雄を選んじゃったのかな…
すべてが崩壊し、ぐちゃぐちゃになったとしても、芸に対する潔癖故にそこは譲れなかった。
その残酷なまでに純粋な選択が、たくさんの人生の歯車を狂わせてしまったことを思うと、なんともいえない気持ちになったり。
んで、そんなにたくさんの犠牲を払い、頂点の「国宝」になったとしても、最後は一人侘しく貧しい末期を迎えることもあるんだな…なんて思うと、なんかね。うわーー。って思いました。
きっと彼らは微塵も後悔してないだろうし、むしろ幸せだったのだろうと思うけど
彼らの渇望する、たどり着きたい境地の先には何があるのか
孤独で壮絶でただそれしか見えない息苦しい世界と、そこで生まれた芸術の美しさ……
映画、すっごくよかった
うん、また明日も頑張ろう
「ツミデミック」読了。
読む方は遅いほうだけど、1日で読了。面白かった!


