ひななのか成鳥なのかわからないくらいの、
てのひらに乗せて、もう片方の手で包んでも
まだまだ空間がいっぱいあるくらいのサイズだったので
絵よりももっと小さいです
親子3人で公園を歩いていたら、道のど真ん中にちょこんと、小鳥はうずくまっていました。
どうしたんだろうと手を差し伸べると、てのひらにちょんっと飛び乗ってきました。
飼ってもいない小鳥が手に乗るなんて、メルヘンすぎるだろ‼︎
おててもびっくりですわ
ふるふる小さく震える、ふわふわ温かなその生き物は
よく見ると尾羽が抜けて、お尻のほうから出血していました。
他の鳥か何かに襲われたのでしょうか…。
とはいえ、私には小鳥を助ける技術はないし、獣医さんが近くにあるかもわかりません。
アラブの野鳥っていったら、得体のしれない病原菌を持っているような気もします…
う、うーん、どこか目立たない場所に置いてやるのが関の山かな…と思ったのですが
5歳のはーこは「ママ、ここにおいてっちゃダメ」とウルウル。
2歳のつーこは「ことりのママ、さがしたげなきゃ!」としきりに叫んでいます。
そしてわざわざ絵本のように手に飛び乗ってきたこの子は、私に助けてほしいのかも…。
手乗りされちゃあお終えだ!と意を決して連れ帰りました。
ほっといたら、お掃除のおじさんにポイされちゃうかもしれないし
暴れん坊の悪ガキにいじくりまわされちゃうかもしれません。
どこかで休ませてやれば、回復することだってあるのかも…。
小鳥は時々不安になるのか、
私の手から羽ばたいてはボテっと地面に落ちてしまうので
両てのひらでそっと包んで、連れ帰りました。
紙箱にティッシュを敷いて、中に入れてやると
小鳥は箱の隅に顔をうずめ、目をつぶりました。
一応ペットボトルの蓋に水を入れたのと、パン屑とリンゴを入れてみましたが
小刻みに震えながら、目を閉じてじっとしています。
正しい処置かわかりませんでしたが、出血しているところは消毒液で拭きました。
小鳥にさっそく「ぴっぴ」と名前をつけたはーこは
ぴっぴが気になって仕方ありません。
何度も何度も覗きにくるので、「静かにしてあげなくちゃダメだよ!」と玄関近くのトイレに箱を移動しました。
はーこは、少し前に学校で“お姫さまが怪我した小鳥を救って、回復した小鳥と仲良くなる”
という絵本を買ってきていました。
きっと絵本のように、餌をやったり、肩に乗せたりするのを夢見ていたんでしょう。
でも現実は、おはなしのようにはいきませんでした。
公園に遊びに出て、つーこのオムツを変えるため一旦帰宅すると、小鳥は箱の隅に横たわって冷たくなっていました。
つーこはわかっているのかわかっていないのか
「ことりさん、おうちかえっちゃったね?」と言いました。
小鳥の姿を見たはーこは、まさに「慟哭」という泣き方でした。
「なんで、なんで、なんでー⁈.°(ಗдಗ。)°.」と
生き物は必ず死んで土に還るんだよ、とか、でも魂は天国にいくんだよ、とか
話すと、もう5歳、考えはわかるようですが、やっぱり死が受け入れられない。
「ぴっぴとあそびたかったのに!」
「はーこももう死んで、ぴっぴに会いたい!」
とまで言い出します
公園の遊具に座って話していたら、
韓国人かな?女の子がふたり、心配そうにやってきてくれました。
「どうして泣いてるの?」と聞かれたので
「小鳥か死んでしまったの」と話すと
「知ってる」と。
死んだ小鳥の入った箱を、掃除のおじさんに渡すのを見ていたようです(さすがに処理しきれず…)
ふたりはママたちのところへ行って、なにやらごそごそ。
しばらくして、小さな紙きれを手に戻ってきました。
何度も何度も持ってきてくれて、こんなお手紙がたくさん集まりました。
なんて優しいの!
はーこから「Thank you」くらい言わせたかったのですが
泣いてるし、もともと知らない子にはスーパー無愛想のはーこ、何も言えず。
でもふたりが帰る頃には泣き止んでいました。
帰宅後もまた思い出して、ほぼ一晩泣いていましたが
死が腑に落ちたのかパパにも落ち着いて話をしていたし
「ぴっぴはビー玉のようなきれいな目をしていたね」
「ママ、ぴっぴのことを忘れないようにぴっぴのぬいぐるみ作ってね」と
私は宿題を課されました
つーこは
「ことりがね、とってもうたがすきー」と
「ひよこのかくれんぼ」と「ことり」とを混ぜこぜにした歌をずっと歌っていました。
実はこの日の朝、夫の祖母が倒れ緊急手術をしたのでした。
一時帰国しなければならないかと危ぶんだのですが
幸い一命はとりとめました。
はーこにその状況は伝えていなかったのですが、
ぴっぴははーこに何か教えにやってきてくれたような、そんな気がしてなりません。
それでおばあちゃんのこともまた心配になりましたが、
この翌日には意識も戻り、快方に向かっています。
ぴっぴ、ありがとう