2014.8.4 15w6d
今日は長めのブログとなっています。
そして少し、生々しい表現があるかもしれません。
私にはそれが書くべきではない事なのか判断できず、ありのままを書く事にしました。
夫と共に三たびの大学病院へ。
今日は先週話があったように病院の先生二人掛かりのWチェックで、子ども達の状態を最終確認してくれた。
命を終わらせる判断を下さなければならないので、慎重に診ていただいたのだと思う。
いつものH先生ともう一人、二人で診ながら何か話していた。
事前にエコー写真を見てもらっていたらしく、「間違いないね」みたいな事を話していた。
変だよね。
すごく変。
うちの子たち。
二週間ぶりにエコーでお腹の双子を見て、改めて思った。
それでも心臓ドクドク言わせて、モゾモゾ動いてる。
懸命に成長してる君たち。
残念だけどお別れしないといけないんだよ。
君たちはその事知ってるのかな。
先生達のチェックも終わり、診察結果にほぼ間違いはないでしょうということでゆっくり話を聞く時間になった。
先週H先生から話を聞いた時、病名を
「Body-Stalk anomaly、羊膜索症候群」
と、教えてもらった。
英論文を読む気になれなかったので”羊膜索症候群”で検索してみたのだが、”症候群”と付くだけあって人によって症状は様々…
あまり参考にならなかったので詳しく調べなかったのだが、どうも”羊膜索症候群”はピッタリの病名ではなかったらしく、先生は新しく病名を書き足してくれた。
「腹膜の欠損」
ここから生物の発生の話になるのだけど…
精子と卵子が見事受精出来た後、受精卵は細胞分裂を繰り返します。
雑な説明になりますが、細胞分裂を延々繰り返して最終的に出産可能な胎児まで成長し、出産にいたるのだけど、うちの双子はどうも発生のかなり初期に不具合があったようです。
私も発生学の勉強はかなり昔に勉強したのだけど詳しく思い出せないので、先生が説明してくれた通りに書きたいと思います。
受精卵が細胞分裂を繰り返して成長していくかなり初期の段階で、一度細胞はシート状になるそうです。
シート状になったものが筒状になり、そこから成長が進んでいくらしいのですが、お腹にあたる部分が閉じずに筒になりきれなかった。ということだそうです。
それで胸から上は正常だけど、お腹の膜がないので臓器が全部出てしまっている。
背骨も大きく湾曲し、足もあっちこっち向いてしまっている状態だそうです。
最初の診断で考えられていた臍帯ヘルニア、腹壁破裂はどちらもお腹の膜、つまりお腹部分の皮膚があるため、他に合併症がなければはみ出た内蔵をお腹の中に戻せば、元気に生きていくことができる。と。
しかし、今回はそもそもお腹部分の膜がないため、仮に出産可能週数まで成長し無事出産できたとしても、助ける手だてがない。ということだそうだ。
出産した瞬間、この世に産み落とされた瞬間に命を絶ってしまう儚い存在。
せめてもの救いは、双子が全く同じ病気であること。
このままお腹で育てることを、きっぱりあきらめられることだった。
悲しいことだけど、出産までもたせることはすすめられない、母体に負担がかかるということで、早めの中絶をすすめられた。
中絶は紹介元のクリニックで、ということは前回聞いていたのだが、クリニックのI先生に既に連絡してくれたそうだ。
このまま子ども達をお腹にしまっておいても悲しみが募る一方だという思いもあり、大学病院を出た足で直接クリニックに向かった。
久しぶりに会ったクリニックのI先生。
大学病院からの紹介状は読んでいるようだが、大学病院でどういう風に説明されたか聞かれた。
口にするのも悲しい話を何故、私が説明しなければならないのか…
少々腑に落ちないながらも何かの確認のためなのだろうと思い、説明した。
このまま出産までもたせたとしても、助ける手だてはない。と。
母体保護のために中期中絶をすすめられた。と。
それから、具体的な話を始めてもらった。
中絶も中期になると出産と同じ方法をとる、つまり陣痛を起こして分娩しなければならない。
陣痛は陣痛促進剤で起こるが、子宮の出口、子宮口はラミナリアという海藻でできた棒状のものを入れて開かせなければならない。
ここのクリニックでは二日かけて子宮口を開いていき、三日目に膣剤の陣痛促進剤で陣痛を促していく。
陣痛促進剤は三時間毎にしか使えないから、一錠で陣痛がこなかったら三時間後に追加する。
だいたい一錠、二錠で出産する人が多いが、過去一人だけその日のうちに陣痛がこず、入院して翌日出産したことがあったそうだ。
最初の二日、つまり子宮口を開かせる間は入院せず、三日目も経過がよければ入院しないそうだ。ここのクリニックは月・水・金だけ午後も診察を行っていて、マンパワーの関係で中期中絶は月~水、又は水~金の日程で行うそうだ。
ちょうど来週がお盆の週で、それ以降になると8月18日から三日間になるという話だった。
今日は8月4日。あと二週間もいたずらに子ども達を成長させてしまうのも、なんだか罪な事のように思える。
なんとかならないのだろうかと思っていると、夫が今週にできないか交渉してくれた。
今日は月曜だが今日からは無理だということで、今週の水曜から処置に入ることになった。
ほっとした。
病院で、私自身は意外と平常心だった。
看護師さんから中絶の流れについて詳しく話があったが、何か質問はと聞かれた時に、疑問に思ってた事も聞く事ができた。
私が聞いた事というのは、以前、「双子の出産」そのものについての不安しかなかった頃、双子を普通分娩した人のブログを読んでいた中に、陣痛を二回おこした、とあったのだがどうなのか、ということだったのだが…
看護師さんは「うちでは双子は帝王切開なのでわかりません。たぶん、二人とも
同じ陣痛で出てくるとおもいますよ」という返事をくれた。
勉強不足の看護師にますます不安が募る気もしたが、一回で済む可能性もあるということにして水曜に備える事にした。
あれよという間に中絶が決まってしまったが、そうと決まったら早い方がいい。
とは思っていたものの具体的な日取りが決まってしまうと、楽しみにしていた四人での生活をあきらめなければいけないこと、そして我が子を失う悲しみがあふれだし、この日から毎晩寝る前に泣いてしまう生活が続いた。
大学病院のH先生が子ども達の病気を診断した後、こう話してくれた。
「論文なんかを読む限りだと、この病気の発症率はよくわからなかったんだけど、お母さんが何かしたから悪かったとか、何かしなかったから悪かったとか、そういう病気ではないみたい。
偶発的に起こる病気だから、自分を責めないで欲しい。
今回はこういう事になってしまったけど、次の子も同じ事がおこる、という病気ではないから、もし、二年後三年後に子どもが欲しいってなっても、安心していい。」
いっその事誰かに責めて欲しかった。
あの時のあれがいけなかったと、誰かに責め立てられた方がまだ良かったのかもしれない。
偶然発症した病気。
偶発的なものならどうして二人ともそうなの?
二卵性だと思ってたけど本当は一卵性だったの?
それで同じ病気なの?
そうじゃなかったら、やっぱり私に原因があるってことだよね?
先生はそうじゃないって言ってくれたけど、不安は募る。
だけどもう、前に進むしかないんだ。
だって、私たちは生きてゆかなければならないのだから。