超久々にブログを書きます。

そうさせたニュースが下の内容

 

「親子で食器シェアしたら虫歯菌がうつる」子育ての定説に日本口腔衛生学会が示した“驚きの新常識” (msn.com)

 

学会は、食器共有による虫歯感染については気にしすぎなくてよい、としているがその根拠としてまず「親からの口腔細菌感染は食器の共有の前から起こっている」ことを挙げている。

《最近の研究で、生後4か月に母親の口腔細菌が子どもに伝播していることが確認されています。食器の共有は離乳食開始時期の生後5~6か月頃から始まりますが、それ以前から親から子どもに口腔細菌は感染しているのです。日々の親子のスキンシップを通して子どもは親の唾液に接触しますので、食器の共有を避けるなどの方法で口腔細菌の感染を防ぐことを気にしすぎる必要はありません》

さらに、虫歯の原因菌は、ミュータンスレンサ球菌だけではないとしたうえで、「食器の共有に気を付けていても、子どものう蝕に差はなかった」という研究結果を紹介している。

《う蝕は砂糖摂取や歯みがきなど様々な要因で起こるため、食器の共有と子どものう蝕の関連を調べる際にはそうした要因を考慮する必要があります。う蝕に関連する複数の要因を調べた日本の研究では、3歳児において親との食器共有とう蝕との関連性は認められていません》

また、《親から子どもに口腔細菌が伝播したとしても、砂糖の摂取を控え、親が毎日仕上げみがきを行って歯垢を除去し、またフッ化物を利用することでう蝕を予防することができます》と、食事習慣や歯磨きによって虫歯は予防できるとした。特に、フッ化物を配合した歯磨き粉をつかうことは虫歯予防に効果的だという。

 

 

これが学会の見解で、この内容は多くの人に知ってもらいたいものだと思うのでさらに追加して書きたいと思います。

 

虫歯菌というのは

「糖分を栄養にして繁殖し、代謝産物(排泄物)が酸性である口の中の常在菌」

が定義です。

糖分はほぼ砂糖だと思っていいです。糖質とはまた異なる概念なので砂糖が主だと思ってください。

つまり「砂糖を栄養に口の中で過ごしている菌」がたまたま排泄物が歯を溶かす酸性だったというだけで菌としては悪い事をしているつもりは全くないということです。

 

虫歯菌も生き物なので栄養が必要です。

その栄養が砂糖なので、人間が食べ物のない世界では生きれないように、虫歯菌は砂糖のない世界では生き残ることは難しく、ましてや繁殖することは本当に難しいという事です。

 

生き物は「その生まれた環境に適応して生きようとする」ので

人間の体に共生する常在菌は「3歳までは環境の変化に合わせて変化する」と言われています。

つまり3歳までの食べ物に「砂糖」という成分が入っていない環境で生きている子供の場合

「虫歯菌」としては「自分に必要な栄養のない空間」という事になります。

ちなみに虫歯菌以外の多くの常在菌は「人間と同じエネルギー源」と考えられるので、人間が栄養を取って成長している限り

その恩恵に預かって「自分に必要な栄養がある空間」となるため

先述の食べ物で砂糖を取らない子供の体の中は「虫歯菌」にとっては「栄養不足」、他の菌にとっては「栄養あり」という状態になるため繁殖しやすい細菌はおのずと虫歯菌以外の常在菌ということになり、結果的にその子は「虫歯菌が少ない虫歯になりにくい人間」になるということです。

 

なので虫歯という点だけフィーチャーすれば

「食器の共有など「親の菌が子供に感染しない努力」」よりも「少なくとも3歳までは砂糖を極力取らない食生活」の方が虫歯になりにくいということが想像できると思います。

 

また虫歯は「1か月その場所が綺麗にできていない(歯ブラシなどが届いていない)ためになる」と言われています。

なので仕上げ磨きなどできっちりやっていれば「砂糖の摂取量」の努力をしなくても虫歯にならない口腔環境を作れることになります。

しかし歯科医師としては「そもそも虫歯になりにくい人間」というのが理想なので

「仕上げ磨きがきちんとできている」からいいでは終われず、

その仕上げ磨きレベルのブラッシングを子供自身で長年できるようにする

ことが大事になります。

砂糖を普通に摂取していて、仕上げ磨きで虫歯が大丈夫だった子は

仕上げ磨きをしなくなる小学校高学年から中学生、高校生にかけて虫歯が頻発するようになるリスクがあるのはわかるでしょう

 

そうなると「虫歯菌」がそもそも口腔内に少ない人間の方が長期ビジョンでは優先したい項目ですし

それにプラスして子供自身歯磨きをきちんとできるようにする事が大事となり

「食器の共有」などはどうしてもこの大きな2つの項目からは弱いものとなってしまいます。

 

しかし「虫歯菌がうつる」と「虫歯菌が定着する」のは違い

食器を共有すると「虫歯菌はうつります」が

砂糖など栄養環境がなく歯ブラシで菌の繁殖を除去でければ「虫歯菌は定着できない」ので

感染リスクを避けるよりも虫歯菌に定着させない方が効率的で論理的になることはわかるでしょうか?

 

それでも今までやってきた人は決して間違いをやってきたわけではなく

食器の共有を避ける努力をしてくれた人は子供への菌の感染を減らしていた事は事実だと思います。

 

これからも様々な訂正があるのが「医療」です。

今後もぜひこういう理にかなった内容の正しいニュースが世の中に広がる事を願っています