ファイバースコープで発見された肉芽を改善するため、そうちゃんは早速その日からステロイド治療を始め、しばらくは肉芽の経過を観察しながら呼吸の様子を見ていくとになりました。

治療を始めてから2日間はサチュレーションも下がることなく落ち着いて過ごすことができ、やっぱり肉芽が原因だったのかな、その肉芽が良くなってきているのかなと、私は少し安心し始めていました。

ところが、安心したのもつかの間、今度は突然、なぜかそうちゃんが頻繁にミルクを吐くようになってしまったのです。

気持ちが悪いのか苦しいのか、吐く前には顔を真っ赤にして泣き、その直後には口からサラサラのミルクが大量に出てくるということが1日に何度も起こるようになりました。

先生からはおそらく食道裂孔ヘルニアの影響で逆流が起こっているのだろうと、また、腹壁ヘルニアの影響でガスや便が腸を通るときに痛みが走り、気持ち悪さと痛みとで泣いているのだろうと説明されました。

生まれたときからずっと変わらないはずのヘルニアが、まさかこのタイミングで影響が出てくるなんて…一難去ってまた一難とはまさにこのことかと、なかなか思うようにそうちゃんをラクにしてあげられないことに私は少し悲しくなってしまいました。

それでもそうちゃんは時々泣いて苦痛を訴えながらも、解決策のないヘルニアによる不快感と痛みに耐えながら毎日を強く乗り越え続けてくれました。

仕方がないとは理解しながらも、こんなときは自分の無力さを痛感せずにはいられませんでした。

私にできることと言えば、辛そうなときには顔色を見ながら優しく背中をさすり、落ち着いたときにはそれまでの痛みも忘れさせてあげられるくらいに思い切り遊び、そして幸いにも沢山出てくれていた母乳を、たとえそうちゃんが吐き続けていても搾乳し続ける、それくらいでした。

痛みをとってあげたり、呼吸の苦しみから解放してあげたり、してあげたくてもしてあげられないことの方が多く、見守ることしかできずにもどかしい思いも沢山してきましたが、せめて私といて少しでも安心できてるといいなといつも心の中で願っていました。

そして、そんな私の代わりに先生や看護師さんがそうちゃんを少しでもラクにしてあげられる策を色々考えては試してくださり、たとえ効果がなくても、そんな前向きな周りの皆さんの姿勢に私はいつも救われていました。


特に新しい女性の主治医の先生は決して立ち止まることなく、サチュレーション低下の原因が肉芽と決まった訳ではなかったので、まずはそれをクリアにしたいと様々な検査を積極的に提案してくださいました。

提案いただいた中で最初にやったのは、脳波の検査でした。

サチュレーション低下の原因としては可能性は低いとされていましたが、てんかん発作の脳波が出ていないかを念のため調べたいとのことでした。

いつも眠り薬がほとんど効かないそうちゃんにとっては、眠らせるという点で最も苦労する検査だったのですが、この日も案の定、なぜか薬を飲んでもギラギラと3時間起き続けたそうちゃんに先生方も笑うしかない様子で、残念ながら寝ている状態での脳波はとることができませんでしたが、起きてる状態で撮り続けた結果を見る限りは、おそらくてんかん発作はないだろうと判断されたと聞いて、私は少しホッとしました。

そしてさらにその翌日には、主治医のおふたりがリハビリの先生に、整形の視点から呼吸をラクにする方法がないかを相談してくださり、急遽人工呼吸器をつけた状態で『うつ伏せ』に挑戦してくださることになりました。

呼吸器の抜管のリスクがあるので、通常ではとても考えられない挑戦だったようですが、主治医2人と整形の先生2人、看護師複数という万全の体制で試してくださることになり、皆さんの勇気ある決断に私はただただ感謝の気持ちで見守りました。

私は新しいことをやることで何か良い道筋が見えてくるといいなと願いましたが、この時はそれ以上に、そうちゃんに新たな経験をさせてあげられる喜びでひそかにワクワクしていました。


これがその時の様子です。


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心拍数やサチュレーションを常に確認しながら、マットを置いてみたり抱き枕を置いてみたりと色々試し、ゆっくりと慎重に時間をかけて一番落ち着くポジションを探してくださいました。


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先生たちにずっと抱かれて心地よかったのか、うつ伏せが気持ちよかったのか、完成したときには皆の心配をよそに、そうちゃんはすでに爆睡でした。

おかげですっかり心配も吹き飛び、皆を笑顔にしてくれました。

抜管のリスクがあるために頻繁にすることができる体位ではありませんでしたが、無謀に思えることにも先生方が積極的に挑戦してくださったおかげで、爆睡できるほどに呼吸がラクな体位なのかもしれないという新しい発見をすることができました。

呼吸の問題に加えてミルクの逆流など、まだまだ課題は多くありましたが、諦めない気持ちが、これからきっと何か大きな発見に繋がると、そんな希望を持つことができた日になりました
流れ星