約8時間にも及ぶ点滴の処置を終えたそうちゃんは、早速抗生剤が投与され、しばらく経過を見ていくことになりました。
この長時間の処置を終えて、改めてそうちゃんにとって点滴を確保するということがどれほど難しいことか、そしてこうして諦めずにそうちゃんと一緒に闘い続けてくれる人たちに囲まれていることが、当たり前のことではなくどれほど有難いことかを私たちは痛感していました。
先生方にもそれぞれの生活があり、もちろん家庭を持っている人もいて、急なことが起こりやすい現場なので、朝から晩まで長時間働き続ける姿を見かけると大変だな…といつも心配になってしまうほどでしたが、それでもそんな先生方が勤務時間を大幅に超えて真夜中まで諦めずに処置を続けてくれたおかげで、今回はそうちゃんに奇跡的に点滴が入り、ひとつの大きな壁を乗り越えることができました。
そうちゃんの力やただの奇跡だけでは決してたどり着けなかったこの感謝を、これからも忘れてはいけないと思いました。
点滴が必要になるまでに悪化していたそうちゃんの具合は、なかなか思うように簡単には回復しませんでした。
それでも、点滴が入っているおかげで命の危険は回避できたのだと、そう思えるだけで、私たちは安心してゆっくりと見守ることができていました。
こういうことが起こる度に、心配事は尽きないけれど、もう生きてさえいてくれればいいと、いつも思うことは同じでした。
学会から帰ってきた主治医のお2人も、今回のことはとても心配していたようで、戻るとすぐに駆けつけてくださり、私たちと同じようにひとまず点滴が入ったことに安堵している様子でした。
それからは毎日のように、主治医の2人や点滴を入れてくださった先生方など、多くの方がそうちゃんの様子を気にかけ、声をかけてくださり、おかげで私たちも安心して毎日を過ごすことができていました。
そうちゃんは抗生剤を入れてからCRPの値はピークを越えたものの、相変わらずミルクの消化は悪いまま点滴の栄養に頼る状態が続き、なかなか下がらない連日の熱に加えて、呼吸の換気の状態や肝機能、腹壁ヘルニア、鼠径ヘルニアの悪化など、一進一退の状態がしばらく続き、毎日がとてもゆっくりに感じました。
それでもCRPは少しずつではありましたが、確実に下がっていき、そうちゃんは辛い状況を毎日しっかりと乗り越え続けてくれました。
私はそうちゃんが消化できなくなってしまった母乳をいつも通りに搾乳し続け、冷凍庫にどんどん溜まっていくのを眺めながら、また元気に綿棒をくわえてくれる日が来ることを願い続けました。
結局、CRPが陰性化するまでに約10日間、そしてミルクの消化などすべてが本調子に戻るまでにはさらに1週間程かかりましたが、その頃にはそうちゃんはすっかり元の元気な姿に戻ってくれていました。
ちゃんと寝られること、ミルクを吸収できること、お風呂に入れること、遊びやリハビリなど好きなことが沢山できること、そんな日常のことが普通にできる喜びを私たちは噛みしめていました。
ところがそんな矢先、この日は主人もお休みで、いつも通りGCUへ行くと、そうちゃんに挨拶をするより先に主治医の2人が神妙な面持ちで私たちのところへ小走りで来たので、なんだかとても嫌な予感がして、私たちはドキドキしながら2人の言葉を待っていました。
「そうちゃんにノロウイルスの感染の可能性があります。」
私たちはただただ驚きました。
やっと元気になったと思ったのに、そうちゃんがまた新たに辛い思いをしているのかと思うと、可哀想でとても心が痛みました。
続けて聞いた先生の話では、どうやら他の赤ちゃんにノロウイルスの陽性反応が出たのがきっかけで、NICUとGCUのすべての赤ちゃんに検査をしたところ、半分くらいの赤ちゃんに陽性反応が出たのだそうです。
そうちゃんもその1人でした。
状況からして院内感染の可能性が高かったため、先生方はとても申し訳なさそうで落ち込んでいる様子でした。
私たちも少し心配になり、指示された通りにマスクとエプロンと医療用手袋をしっかりと着けてからそうちゃんに挨拶をしに行くと、肝心のそうちゃんは元気に手と足を上げていて、見た目には全く調子が悪そうな様子はなく、看護師さんに聞いても熱もなければ嘔吐もないとのことで、厳重装備をした私たちは少し拍子抜けをしていました。
でも、過去にノロウイルス感染の経験があった私は、潜伏期間や辛い症状を知っていただけに、まだ潜伏期間なのかも…と思うと、これからどうなるのかと心配でなりませんでした。
写真は不調続きだったそうちゃんに、母が届けてくれたお守りを見せてあげたところです。
初めて聞く鈴の音に、不思議そうに固まっていました
