手術日が決まると、そうちゃんは早速、まずは食道裂孔ヘルニアの現状を知るために、胃に造影剤を入れてレントゲン撮影をすることが決まりました。

手術までの約3週間のうちに、できる限りの検査をして万全の体制を整えていきたいと、主治医を始め、周りのスタッフの方々が色々と慌ただしく動き始めてくださっていて、おかげで私たちも少しずつ手術を実感していくことができました。

そうちゃんの様子はというと、それまでなかなか調子の落ち着かないことが続いてましたが、東京の先生に見ていただき手術日が決まってからは、不思議とサチュレーションが急激に下がることもなく調子の良い日が続いていました。


最初に提案された胃の検査は、話をいただいた翌々日には早速行われ、そうちゃんにとっては久しぶりのレントゲン室へのお出かけとなりました。

調子は良さそうでしたが、念のために手動で呼吸を補助するバギングを装着された状態で、そうちゃんは主治医と一緒に出かけていきました。

初めてのCT撮影の時には、病院内の移動だけなのに、NICUからお出かけをさせてあげられたことが嬉しくて泣いたりしてたな…と、出て行くそうちゃんたちを見送りながら、これまでのことを懐かしく振り返っていました。

そして、検査を終えて帰ってきた主治医と看護師さんたちはとてもリラックスした様子で、それを見て私はすぐに安心し、そんな私の姿を見つけた主治医の女性の先生は、少し興奮気味にそうちゃんの検査までの様子を教えてくださいました。

「そうちゃん移動中も検査中も、バギング一回も揉まなかったんですよ!」

バギングを揉まなかったというのは、呼吸の補助が必要なく、ずっと自発呼吸だけで移動も検査もできたということだったのです。

30分以上も自発呼吸だけで頑張ってくれたそうちゃんはとってもたくましく見えて、「この感じだと、気管切開後は自発呼吸でいけるかもね!」と隣にいたセンター長も同じように喜んでくれていました。

一進一退を繰り返してきたそうちゃんの大きな一歩を、近くで見てきてくれた主治医の2人と喜ぶことができることはとても幸せなことでした。

そしてさらに続けた女性の先生からの言葉は、私にはとっても意外で、少し驚きました。

「最近のそうちゃんの成長すごいですよね。その場の状況とか人の顔色とかちゃんと見るようになって、社会性がついてきたんだなぁってよく思います。」

まだまだ赤ちゃんだと思ってたそうちゃんが、そんな風に言っていただけたことに最初はあまりピンと来ませんでしたが、言われてみると、確かに最近のそうちゃんは、喜怒哀楽での意思表示の他にも、偶然とは思えない採血のタイミングでいつも寝たふりをするようになっていたり、私が吸引をするときには早く終わるように口を動かして吸いやすく協力してくれるような動きをしてくれたり、歌を歌ってくれる大好きな保育士さんの声が聞こえると手足を挙げてアピールするようになっていたり…『その場の状況や人の顔色を見るようになった』と言われたことに思い当たることがいくつか思い浮かんでいました。

そうちゃんに社会性かぁ…。

病気を抱え、ずっと病院で過ごしてきたそうちゃんは、他の赤ちゃんに比べると成長は確実にゆっくりだったので、『ゆっくりでいい』とずっと言い聞かせてきましたが、ちゃんとしっかりと成長してくれていたんだなぁと子どもの強さを実感していました。

手術をしたら、もっとやれることも増えていくのかな。

それが私たちの楽しみになっていました。


そしてさらに、看護師さんたちのおかげで、手術までの間に毎日させていただけるようになっていた夕方30分の抱っこをしていた時のこと。

いつもそうちゃんに色々な小物を手作りしてくれたり、遊んでくれたりして可愛がってくれていた看護師さんが、私の腕の中でスヤスヤと眠るそうちゃんを見て、

「そうちゃん気持ち良さそうですね。パパとママと添い寝させてあげたいなぁ。」

と独り言のように言ったかと思うと、突然そばにいた係長を呼んで、

「そうちゃんて大きいベッドにできませんか?」

と聞き始めました。

底抜けに明るい係長は「いいよ~!」と笑顔で即答し、あっという間にそうちゃんのベッドが大人用のベッドに変えていただけることが決まりました。

沢山の赤ちゃんのいるGCUという場所で、大きなベッドだなんて邪魔になってしまうのではないかと心配になりましたが、「ちょっと前だけど、やったことあるから大丈夫ですよ!」と後押しされ、嬉しいような申し訳ないようなそんな気持ちのまま、とりあえずその好意に甘えさせてもらうことにしました。

数日後には、そうちゃんの場所には一際目立つ大人用のシングルベッドが用意されていて、そこに小さなそうちゃんがちょこんと寝ている姿は、思わず笑ってしまうような光景でしたが、私たちは周りの方々が用意してくれた有難い環境を、手術で転院してしまうまでの間に存分に楽しませていただくことにしました。


写真は本文とは関係ありませんが、そうちゃんの苦手なお耳の掃除中の写真です。
全力で嫌がるこの表情によく笑わせてもらっていました。笑


{A230BC07-E7FD-45B8-9D72-7FF5D715601E}