NICUの先生から紹介された小児神経科の医師からお話されたのは、そうちゃんの遺伝子検査に関することでした。

穏やかで真面目な雰囲気のその先生は、突然の話に少し困惑している私たちに、時間をかけて丁寧に内容の説明をしてくださいました。

その話の内容というのは、そうちゃんの診断名になっていた多発性翼状片症候群に関わる遺伝子を、ちょうどその大学病院で研究しているので調べてみないかということでした。
外部ではなく病院内で研究しているので、結果も比較的早く出せるとのことでした。

そうちゃんが最初に診断された多発性翼状片症候群という病気は、とても珍しい病気だった為に、診断自体が曖昧だった上に情報も少なく、どのような経過をたどり、どう治療していくべきなのかもずっと手探りの状態が続いていました。
これから先もこのよく分からない感じが続くものだと思っていました。

それがまさか、たまたま転院した先の病院でその遺伝子の研究をしているだなんて、こんなことがあるのかと私たちはとても驚きました。

遺伝子を調べて変異が見つかったからと言って、すぐに何ができるという訳ではありませんでしたが、結果が出ることによって今後の研究の手助けになるだけではなく、同じ遺伝子を持つ子の状態や成長の経過を知ることができたり、何よりよく分からない状態が続くよりも、病気をちゃんと受け入れて前に進むことができると感じた私たちは、その検査をお願いすることに決めました。

また、翌日にはその特定の遺伝子だけではなく、全ての遺伝子を研究しているという小児科の医師も紹介していただくことになり、改めてお話を聞く予定を組んでいただけることになりました。

これまで染色体検査や脳波の検査ではこれといった異常が見つからなかったそうちゃんでしたが、この転院をきっかけに、研究に携わる医師の方々を紹介していただけたことによって、これから何かはっきりしていくのかな…と期待と不安の入り混じったようなそんな気持ちでいました。


この日は術後5日目。

そうちゃんはCRPは少し下がったものの、サチュレーションがなかなか安定せず、酸素を25%入れている状態が続きました。

また、サチュレーション低下の原因が分からなかったので、この日から念の為、24時間体制で脳波を観察することになりましたが、その結果、やはり脳波に何か異常が出ることはありませんでした。

そんな中でも少しずつ鎮静剤が減らされていたそうちゃんは、少し覚醒する時間が増え、スッキリした口元に違和感があったのか、覚醒すると口をもごもごと動かしていたり、ごっくんをしたりと、ぼんやりとしながらも口元だけはよく動かし、そんな様子を見ている時間が私たちの束の間の幸せな時間となりました。

術後の回復は、すこぶる順調にという訳にはいきませんでしたが、酷く悪化することもなかったので、私たちは焦らずゆっくりと見守ることができていました。