今、熊本県議会議長の宛に陳情書がだされました。

 

出した人は海苔関連業界の方です。直接、ご本人より陳情書をいただきました。指摘されている内容が的確で理解しやすいです。多くの方がこの問題の深刻さに驚かれるでしょう。

 

このままだと有明海は死の海となります。

歓迎している人はごく一部の人たちです。多くの人は健康被害、環境汚染に心を痛めています。

 

陳情書です。👇

 

 

熊本県議会議長 渕上陽一殿                  令和5年10月6日

 

JASM熊本工場における環境保全と安全確保を求める陳情書

 

 この度、熊本県が検討を進めている「地下水の涵養の促進に関する指針」「熊本県環境影響評価条例施行規則」の改正、及び、その適用に関し陳情書を提出致します。

 

 我々は海苔の加工、流通、加工設備など海苔関連業界に従事する者ですが、今日、熊本県菊陽町に建設が進められているJASM半導体工場が有明海にもたらす影響について大変危惧しております。

 

 有明海は国内40%を占める日本最大の海苔生産地です。それは外海から隔てられた遠浅の海で、潮の流れは反時計回りに廻っています。そして、仮に現在建設されているJASM工場から、台湾で報じられているのと同様の汚染水が毎日8500トン近くが下水道、坪井川を通じて海に放流された場合、それは熊本に留まらず、福岡、佐賀、長崎などに拡散、多くの汚染物質が湾に堆積し、海苔養殖を含むすべての海産物が壊滅的被害を受ける可能性があります。

 

 有明海沿岸には海苔生産だけでなく、それ以外の海産物の加工、流通、関連機械メーカーなど、年間1000億円を超える産業がありますが、有明海が深刻な環境汚染に見舞われた場合、多くの産業従事者の生活が立ち行かなくなるばかりか、日本の食生活全体にも深刻な影響を及ぼしかねません。

 

 半導体工場のエッチング工程においては有機フッ素化合物(PFAS)が使用されますが、その種類は4700種類にも上ります。使用される種類、使用量は工場の都合により入れ替えられますが、今日、それらPFASの自然環境や人体にもたらす有害性が次々と明らかとなっています。米国では既に多くの訴訟問題が発生。PFOS、PFOA (PFASの一部種類)が製造中止される一方、その代替物質であるPFHxSも含めPFAS使用全体に対する規制が急速に強化されつつあります。有機フッ素化合物については下記のような健康被害が知られています。

 

。毒性:一部有機フッ素化合物は神経毒性や内分泌かく乱を及ぼす可能性があります。

 

。発がん性:一部有機フッ素化合物は発がん性が指摘されています。

 

。免疫:有機フッ素化合物が免疫系に影響を及ぼし、感染症の感受性を低下させる可能  があります。

 

。蓄積:体内に蓄積し、特定の臓器や組織に影響を及ぼす可能性があります。有機フッ素化合物は、自然 環境において分解されるのに数百年かかるため、下水道に流された時点で濃度が低くても、化学物質そのものは、確実に湾内に堆積。そこに生息する生物、それを食する人間の体内に蓄積され、将来、重大な健康被害をもたらす可能性があります。

 

 熊本県の計画においては、JASM工場からの排出水は一旦、北部浄化センターに流された後、坪井川に放流されるものと聞いておりますが、現在、国内の下水道に関してはPFASに関する法的規制が一切ありません。

 

 PFAS汚染については、大阪摂津市のダイキン工業の事例があります。ダイキンは嘗て世界的なPFOA製造メーカーでしたが、その排出水が長年、安威川広域下水処理センターより安威川、淀川に放流され、そこから取水した上水道を利用した住民の健康被害が発生しています。

 

 こうした事態を受けて、地域市民が大阪府、摂津市、及び、ダイキンに署名を提出。摂津市議会も全会一致で、健康被害調査を求める意見書を国に提出しています。元、ダイキンと摂津市との間では「環境保全協定」が結ばれていましたが、その補償に関する話し合いも一向に進んでおりません。(米国ではダイキンは和解金支払いに合意しています。)

 

 日本におけるPFASに対する対応は欧米諸国に比べ大きく遅れています。2020年、厚生労働省が地下水、水道水に関し、基準暫定値をようやく設定。今年5 月になり厚生労働省にて健康被害について議論も始まったばかりです。こうした段階において、JASM工場のからの排出水を北部浄化センター経由で坪井川に放流する事は、あまりにもリスクが高いのではないでしょうか?

 

 元々、熊本県の地下水保全地域においては、1日5000トン以上の排出水を出す工場に関し、環境アセスメント法に基づく工場計画書提出、調査、評価を義務付けてきました。しかし「熊本県環境影響評価条例施行規則(平成12年制定)や、国の「下水道法(昭和33年制定)には排出水に関する明確な定義付けが為されておらず、今回別の法律「水質汚染防止法(昭和45年)における定義を適用、JASM工場は環境アセスメント法の対象外とた。

 

 しかし、今日、PFASの有害性が世界各国で社会問題となり規制が急速に強化されつつある事、且つ、大阪では実際に下水道経由による健康被害が発生している状況を考えれば、むしろ暫定的に、環境アセスメント法による調査、評価を実施し、熊本県民の健康、地元産業の安全を確保する事が、本来、あるべき判断ではないでしょうか?

 

 一度失われた自然環境は、二度と取り戻すが事出来ません。熊本県におかれましては、条令の改正、及び、その適用に関し、慎重に検討を進めて頂くよう求めます。下記が陳情項目です。

 

陳情項目

1.  菊陽町にて建設が進んでいるJASM熊本工場に関し、環境アセスメント法に基づく、工場計画の提出、調査、評価を行い、熊本県民の健康、地元産業の安全を保障するよう陳情します。

 

2.「 地下水の涵養の促進に関する指針」「熊本県環境影響評価条例施行規則」の改正により、地下水保全地域における環境アセスメント法の適用要件を25haから50ha以上に引き上げる改正案に反対します。

 

3. JASM熊本と自治体は「環境保全協定」を締結、万が一、汚染被害が発生した場合、当該企業は被害を受けた地元住民、及び、産業関係者に対する補償すると共に、土壌入替え、その他環境浄化の責務を負う事を求めます。

 

陳情書作成にあたっての参考文献、資料

 

〇【週刊現代、記事】「発がん性物質(PFAS)が検出された学校、病院リスト」(2023年9月23日)

 

〇ユーチューブ動画】低体重児と希少ガン 令和の水「PFOA」探査報道最前線】(2022年5月31日)

https://www.youtube.com/watch?v=Ur00Y-6REC8

 

〇【ユーチューブ動画】ダキ「社外秘文書入手【探査報道最前線】(2022年8月3日)

https://www.youtube.com/watch?v=cT5sJSG1-H4&t=5s

 

〇【ユーチューブ動画】PFAダイキンを負う!【調査報道最前線】(2023年4月27日)

https://www.youtube.com/watch?v=d7sUN_XZPps&t=2205s

 

〇【ユーチューブ動画】PFOA染・フライパン、水道ダイキンを負う【調査報道最前線】

https://www.youtube.com/watch?v=uFOylAkvy8o&t=46s

 

〇【熊本県パブリックコメントに対する意見】陳情者 ■■■■提出(2023年8月28日)

 

以上

 

陳情者…‥‥‥‥‥‥‥‥■■■■■■■■

 

これだけの健康被害、健康汚染が予想されているのに一体、県と国、熊本市、そしてTSMCの対応はどうなっているのでしょうか?

 

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