札幌の皮膚科専門医/美容皮膚科 女医 日景聡子です。
 
 
当院は、ニキビの患者様が非常に多いです(保険診療の約半分がニキビ治療です)。
 
 
その中で、保険診療でなかなかニキビが治らない場合も少なくありません。
 
 
毎日しっかり塗って、飲み薬も飲んでいるのに、どうして治らないんだろう…
 
 
多くの皮膚科・美容皮膚科では、こんな時にイソトレチノイン内服(自費)を勧めることになるかと思います。当院ももちろん選択肢としてご用意しています。
 
 
でも、女性の場合はちょっと待っていただきたいのです。
 
 
生理不順はありませんか?髭みたいな太い毛が生えてきていませんか?
 
 
もしかしたら、婦人科の病気が隠れているかもしれません。
 
 
この件に関しては過去にも記事にしているのですが、
 
2026年5月より、PCOS(多嚢胞(のうほう)性卵巣症候群)からPMOS(多内分泌代謝性卵巣症候群)へ名称が変更になったとのことです。
 
 
 
 
この疾患は従来、卵巣にできる嚢胞(袋)が焦点になっていたのですが、実際は卵巣の嚢胞は診断に必須項目ではないそうです。
 
 
そして、全身疾患との関連がすごく重要だと指摘されています。
 
 
2型糖尿病、高血圧や脳血管疾患、不妊・妊娠合併症、精神疾患、子宮内膜がんのリスクなどが通常の1.5-3倍になるとのデータが出ています(疾患によって何倍になるかは異なりますが)。
 
 
つまり、「卵巣の病気」ではなく「全身の病気の1つとして卵巣症状が出ることがある」という認識に変わって来ているということですね。
 
 
「ニキビがなかなか治らないので、イソトレチノインを飲みたいです」という女性が多く来院されますが、イソトレチノインでニキビが改善したとしても内服を終えればまたニキビが出てくる可能性がありますし、そもそもイソトレチノインでニキビだけを改善させてしまうとPMOSを見逃してしまう可能性さえあります。
 
 
ちなみに、PMOSの治療として使われるピルとイソトレチノインの併用は可能ですので、ピルを飲んでいてもニキビが治らないという場合はイソトレチノインを検討しています。
 
 
婦人科へのハードルが高い場合は当院から紹介状をお作りしていますし、女性医師のクリニックをご紹介することも可能です。
 
 
 
 
女性の8人に1人が罹患しているともいわれるPMOSは、決して珍しい病気ではありません。
 

しかしながら、今まで診断に至らなかった女性が非常に多いんだそうです。

 
ニキビをきっかけとして、これからの人生における全身疾患のリスクを減らしていただければ皮膚科医として本望だと思っています。
 
 
イソトレチノインを扱うクリニックが増え、「保険診療でニキビが治らなければイソトレチノイン」という流れになってきていますが、その前に大事なPMOSについて知っていただければ嬉しいです。
 

 

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