こんばんは、日景聡子です。
 
去年も話題になりましたが、
つい最近もニュースになっていましたね。
 
保湿剤ヒルドイドを美容目的に使う方が
後を絶たないと。
 
悪質なケースでは、
お子さんの分として無料で
小児科や皮膚科など複数の医療機関で処方してもらい、
それを親御さんが流用しているとのこと。
 
転売している人もいるとか…
 
「ヒルドイドは最高の美容クリーム」
と言われるそうですが、
「美容にいい」って何を指すのでしょう?
 
ヒルドイドは保湿剤なので、
乾燥による小じわは目立たなくしてくれます。
(たいていの化粧品も、同じようなことを謳っています。)
 
そして、シミが自然に消えた!
とよくSNSなどで書かれていますが、
それは自然に改善する種類のシミです。
 
具体的にいうと、
炎症後の色素沈着(やけどや虫刺されの跡)や
肝斑(こするのを止めると改善することが多い)ですね。
 
市販で「傷あと・やけどのあと用」として売られているアットノン®︎も
ヒルドイドと同じ成分が含まれています。
 
肝斑に関して言えば、
ヒルドイド1個で保湿ができちゃう方は、
何種類も化粧品を使わなくなることにより
こする刺激が少なくなったことも改善の一因でしょう。
 
でも、全てのシミやシワ、たるみなどに効くとか
老化を予防するとか、
そういう効果はありません。
 
ヒルドイドは市販の化粧品に比べれば
はるかに安いですが、

「コスパが最高」と言われるほど
美容に関して万能なわけではありません。


お金をかけずにキレイになれれば…
と思うのは誰もが同じですが、
 
普段医学的に間違ったことをしていて
それを補うように化粧品を何種類も買って
しかもそれを間違って使っていては、
 
「お金をかけずにキレイになる」からは
程遠くなっちゃうんです。
 
それならスキンケアを見直して
普段の化粧品を必要最低限にする方が
よほど効果があります。
 
 
 
 
そして、医師としてお伝えしたいこと。
 
ヒルドイドの美容転用は
医療費の問題が大きいです。
 
日本の医療制度、
「3時間待って3分診療」などと批判されますが、
優れたシステムのシワ寄せでそうなっているに過ぎないんですね。
 
すべての国の制度は知りませんが、
少なくともアメリカでは
その日のうちに専門医に診てもらうことは不可能です。
 
(専門の内科(循環器とか消化器など)や
眼科、皮膚科、耳鼻科などのことですね。)
 
何時間待ったとしても
受診さえすれば(自分の望む)専門医に診てもらえる、
という日本のシステムは
本当にありがたいものなんです。
 
アメリカでは、アレルギー専門医に診てもらうために
4か月待たねばならず、
順番が来た時にはアレルギーの季節が終わっていたという
笑えるような笑えないような話もザラです。
 
そして、圧倒的に安い受診料。
 
帰国して薬をもらった時に
初診料込みの値段を見て
「え、こんなに安かった?!」とびっくり。
 
事務の方に「先生、そうですよ~」と
笑われちゃいましたが。
 
私は、アメリカの病院で
薬を1種類処方してもらうだけで
1万円近く払いました。
 
歯科医院では私と子ども達の
虫歯チェックとクリーニングだけで8万円です。
 
保険によってカバーされる範囲も違い、
安い保険の人は高度な医療をカバーしてもらえないんです。
 
そして救急車はタダじゃありません。
 
道で倒れている人が、苦しそうな声で
「救急車は呼ばないで…お金払えないから」
と頼むことはしょっちゅうです。
 
基本的な医療から高度な医療まで
(負担率の差はあれど)
日本全国どこでも同じ値段で受けられて、
 
高額医療の助成もあって、
その日のうちに目的の科で診てもらえるのは
本当に恵まれていることなんです。
 
国民皆保険、
どの科も予約なしで受診自由という日本のシステム、
 
一人一人が大事に思わないと
破綻はすぐそこまで来ています。
 
 
 
 
現時点では、保険診療の仕組み上
ヒルドイドの適応を線引きするのは困難です。
 
でも、このまま行けばアメリカのように
「保湿剤は処方箋薬でないので、ドラッグストアで買って」
という日が来るのもそう遠くないと感じています。
 
保湿剤は命に直結する薬ではないからです。
 
「お金を使わずキレイになる」のなら
スキンケアや食事を見直すのが一番安上がりです。

(100円あったら菓子パンじゃなくて
納豆3パックを買うとか)

そして「ヒルドイドが美容にいい」の誤解も
知っていただきたいです。
 
そして今ある医療制度を大事にしていくためには何ができるのか、
私自身も考えていきたいと思っています。
 
今日の記事は自戒も込めて…
 
いつも最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 

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