帰り道
来たか、やっぱり、そういうことか
とぼとぼ、ひとり帰る道
落ちぶれてゆく、情けない
物忘れ、名前が浮かばん
いよいよだな、ボケの始まり
それが宿命、道理というもの
そんなにくよくよ、しなさんな
いっぱい見てきた、看取ってきた
徐々に弱ってゆく人を
子供に帰る道すがら
険しい峠を乗り越えて
ゆっくり降りてゆく、その姿
見ないふりしながら、じっと見つめて
ただ、後悔の念を禁じ得ない
あの時、どうして、もっとと思う
老いることが、みじめに思える
思い過ごしだ、早とちり
ただ、とぼとぼ、道草しながら
いつか来た道、帰ってゆくだけ
かわいい赤ちゃん、ちゃんちゃんこ
その姿に戻ってゆくだけ
枯れ葉のように、落ちてゆく
ただ、はらはら、舞い落ちる
カサカサ、カラカラ、音がする
いっぱい見てきた、看取ってきた
ただ、後悔だけ残る
ちっぽけな自分が嫌になる