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【成田組とセントレア組の時間差のため、出口すぐのジュース屋で一人時間を潰した】

深センは香港空港から車で30分くらい走ったところに位置する都市だ。
ちなみに、香港から深センに行くためには、同じ中国なのにパスポートコントロールを通過しなければならない。
地上から通過したのは、生まれて初めての経験だった。
1997年まで香港はイギリスの統治下にあったことが、未だに影響しているのだろうか。

「私はパスポートを持っていないから、香港に行ったことがない」

と、記者会見のときに知り合った深センの女の子は言っていた。
それじゃあまるで名古屋の女の子が、東京に入るときには特別な通行手形がいるようなものじゃないか。

ふふん、東京になんか行かなくたって、名古屋だって素晴らしい街だよ。

と勝手な妄想をしながら車はホテルへと向かう。

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【夜のネオンのけばけばしさは日本にはない雰囲気】

ホテルに到着したのは夜21時頃だった。
そこには英雄伝説の深センでのスポンサーの社員が待ってくれていて、

「うちの会社まで来てください」

という。
私とマネージャーと今回の試合を仲介をしてくれたCFPの岩熊さんと共に、その社員に会社まで連れられていった。

その会社は高層ビルの中にあった。
社内では英雄伝説のプロモーターのジョーさんが打ち合わせをしていた。
正式な形では、この人とは初めてお会いする。
ジョーさんは、夏に私の二人目の子供が誕生することや、プロの作家として『1001のローキック』の出版したことも知っていた。
ジョーさんは英雄伝説のプロモーターであると同時に、対戦相手のシュー・イェンの先生でもある。
私は自分のことを知っていてくれて嬉しい気持ちを感じる反面、

「これは間違いなく、私のことを研究し尽くされているな」

という警戒心も抱いた。
私はここのところ左腕の皮膚病に悩まされている。
このときも包帯を巻いていたのだが、すかさず

「その腕はどうしたんだい?」

と聞いてきたので、

「きっとどこかの女の子の呪いです」

と、誤摩化しておいた。

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【高層ビルの中もスケールがでかい】

中国ではタバコの接待、みたいなものがあって、自分のタバコを相手にも勧めるのが彼らなりのおもてなしだそうだ。
当然会議室は紫煙でモクモクである。
タバコの煙が大の苦手である私には結構キツい空間であったが、郷に入れば郷に従えである。
さすがに勧められたタバコはノーサンキューしたが、煙ばかりは我慢せねばなるまい。

ジョーさんはまだ打ち合わせがある、ということで、我々はその場を後にした。
そして、会社まで連れてきてくれた社員とともに、食事へと繰り出した。
深センの中華料理は、海が近いこともあって日本人の口にも充分に合う味付けだった。

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【腕の皮膚病は悪化の一途をたどる】

さて、ここで皆さんの頭に浮かべてもらいたいのが、中国人に対してのイメージである。
皆さんはどのようなイメージを持っているだろうか。
私の中国人に対するイメージは、

・ 順番を守らない
・  ケチ
・ 自己中心的
・  不親切
・ 日本人を基本的に嫌っている

などである。
ここではあえて「常識」という単語は使わないでおく。
常識がある、なし、というのは個々人においても大きく変わってくる。
まして国が変われば何をいわんや、大幅に違うに決まっている。
日本人の常識に合わないだけで、中国人には中国人の常識があるはずだ。

「そんなのは常識なのにねえ」

と頭ごなしに否定するより、

「何がどう自分にとって気分が悪いのか」

という具体的な行動指針を示すべきなのである。
「人を裏切らない」ということが私の常識でも、隣の女子高生にとっては、それは常識ではないのかもしれない。

常識なんていう単語は、とっても非常識で曖昧な言葉なのだ。

閑話休題、常識の話はここまでにしておいて、中国人のイメージである。
私は全ての中国人は、上記のような行動のもとに生きていると思ってい「た」。
しかし、今回の中国での試合が決まって、そのイメージは大いに覆されることになる。

まず、私が直接関係した中国人は、客人に対して「おもてなし」の心を持っていた。
エレベーターを使えば、必ず最後まで開ボタンを押して待ってくれている。
持っているタバコを渡し、火までつけてくれる。
食事の際、飲んでいるウーロン茶が空になると、すぐさま注ぎ足してくれる。
困っていると自国のマナーを丁寧に教えてくれる。
そして、これが一番驚いたことなのだが、

日本人のことを全然嫌っていない。

私自身も日本のメディアのプロパガンダに大きく影響を受けていたようだ。
もちろん中国人の中には、最低のカス野郎みたいな輩もたくさんいることだろう。
だがしかし、それは日本人の中にも、最低のカス野郎が多くいるのと同じだろう。
私は、国や民族という大きな括りで人間性を判断していた自分を恥じた。
大いに恥じた。

ブルーハーツのTRAIN—TRAINでも歌っているじゃないか。

良いヤツばかりじゃないけど
悪いヤツばかりでもない


そして私は翌日の記者会見を迎えた。

2014年深セン遠征『英雄伝説』①
2014年深セン遠征『英雄伝説』②
2014年深セン遠征『英雄伝説』③

明るく生こまい
佐藤嘉洋

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