辞書の旅

高校生のとき「レモン」というニックネームの現国の先生が、

「世の中で一番お得な本って何か知ってる？」

と聞いてきたことがありました。
私たちはふざけて「エロ本！」だとか「アイコラ！」とか言っていたのですが、レモン先生はふんと得意げになって言いました。

「それは……辞書だ！」

レモン先生は、なぜなら……と続けました。

「あの値段で、あれだけの膨大な文字が詰め込まれているのは、辞書を置いて他にない。これ全部読もうと思ってみ？何年も楽しめるぞ」

世の中で一番お得な本は辞書……このレモンの言葉は、ずっと頭の中にありました。
なんでかはわかりません。
ひょっとしたら、未来の私を暗示していたのかも。

ということで皆さん、こんばんは。
石井宏樹や大和哲也のことをコツコツ続けて書いていたら、アクセス数が過去最多になったので、便乗してどんどん売名していこうと思った佐藤嘉洋です。

去年からブログでも早く書こう書こうと思っていたのだけれど、なかなか書けずに今日に至りました。

私佐藤嘉洋は去年の５月から「辞書」を毎日１Pずつ読んでいます。
これまで色々と本を読んできました。
ビジネス書から哲学書、エロ本から宗教の本。
でも、辞書は読んでいませんでした。
別に頭がおかしくなったわけではありません。

↑大量の積ん読本の中に件の本が。
ウクライナで村上春樹を読了して全て読み終えた。

キッカケは『舟を編む』という小説を読んだことでした。
その本は辞書作りに携わる人々を描いていました。
私は今まで辞書というものが当たり前のように一家に１冊あって、それを作っている人たちのことは思いもよりませんでした。
信じられないことなんだけど、作者なんていないと思っていたんです。
辞書だってたくさんの人を動員し、精査に精査を重ねて作られていることを知り、

「俺、辞書読んでみようかな」

と『舟を編む』を読みながらリビングで呟いたら、横から妻が、

「やってみたら？アンタそういうの得意じゃない。淀みない行動っていうか、牛歩だけど決して歩みを止めない感じ」

ということになり、それから毎日辞書を「読む」ことにしたんです。
辞書を「引く」というのが世の中の９９％だと思います。
私は辞書を「読む」という世の中の１％になってみようと思ったのです。

で、ただ読むだけじゃ面白くないから、１Pの中で印象に残った言葉をいくつか拾ってツイッターで呟くようにしてるんです。
これもいわゆるアウトプットの一種でしょう。
辞書からインプットしたら、ツイッターでアウトプットをする。
そうすることによって、自分の中により残りやすくなる。
そこで更に一工夫加えてみました。
気になった言葉に自分なりの解釈、注釈、ツッコミ、下ネタへの変換をすることにしたのです。
そうとう量は溜まっていますから、ブログ読者の方にも「ア」から適当にいくつかご紹介しましょう。
基本的にはカギカッコの中が辞書に書いてある言葉、その次が私の言葉です。

「アクメ…快感の絶頂」
ちなみにオルガズムは英語、オルガスムスはドイツ語、アクメはフランス語である。 ということは、日本語では「イク」か。

「阿弥陀(あみだ)くじ…阿弥陀仏の光背のように、放射状に線を引いたところからたとえたという名前の由来がある。」
なんと！あみだくじが阿弥陀くじだったとは！

「有難い…元は『めったに無い』の意。かけがえのない経験をして、身の幸せをしみじみと感じる様子だ」
有難い話をいっぱい聞けた人生だったな。

「蟻の門渡り(ありのとわたり)…会陰の通称。」
会陰というのも辞書で引いてみたら、陰部と肛門との間、とあります。 

「安全剃刀(あんぜんかみそり)…横に使わない限り皮膚を傷つけないようにくふうした西洋かみそり。」 それは安全とは言わない。

「ア」の単語は５月３１日から始めて、８月８日に全て読み終えました。
また今度「イ」をいくつか紹介しますね。
「#辞書の旅」というタグをつけて毎日ツイッターで呟いていますので、興味のある方は私のツイッターをフォローして見てください。
アカウントは佐藤嘉洋で検索するか、「@yoshiHEROsato」で見つけてください。
新しい発見がきっと色々ありますよ。

PS.
冒頭のレモン先生、なぜそんなニックネームがついたかというと、梶井基次郎の「檸檬」を恍惚の表情で朗読していたから。
ちょうど顔もレモンみたいな形だったし。