5月某日、私はとうとう最後の勝負を賭けるため名古屋JKFへと向かった。
勇気を振り絞って例のモノを書くためだ。
そうデリバリーマフィアのバイクの後ろに落書きをするためである。
まずはマフィアに見つからないように自宅からホフク前進でジムへと向かう。
周辺住民の目が厳しいが、


ククク…冷たい目がまた心地よい。


ランボーでイメージトレーニングした私のホフク前進を見るがいい。
シルベスター・スタローンをイメージしていたので、
思わず口に加えたポークビッツの歯ごたえが堪らない。
自宅から一本目の信号を右に曲がるとジムが見える。
マフィアのバイクはジムの向かいの電信柱のふもとに置かれている。
いつ見ても何故このバイクを選んだのか
私には全くの理解不能であった。


そういえば先日上機嫌なマフィア青木がこんなことを言っていた。
『後輪の幅を広くしてミニカー扱いになったのじゃ。
これでヘルメットはつけなくても公道を走れるようになったのじゃ。
そんなことより、ワシは今のチベットが心配なのじゃ。』
その場では


さすがマフィアさん


と手もみしながらゴマをすったが、
全米を震撼させるほどのマフィアが
公道をヘルメット無しで走るために車輪を改造する。


…なんか小さくねえか?


いや全米を震撼させるようなマフィアだからこそ
一般常識を守るということなのだろう。
中学生のときに友達に誘われて
原付を暴走させていた自分が恥ずかしくなった。
それに他国の心配を本気でしているマフィアの器の大きさ。
マフィア青木の男気にホフク前進をしながら涙で前が見えない。
しかし私はやらねばならない。
心のワイパーで涙を拭いながらひたひたと前進を続けた。
そして近隣住民には好奇の目にさらされたが
マフィア青木には見つかることなく
とうとうバイクの前までたどり着いた。


そしてさっそく背中に背負ったバックパックから
東急ハンズで買ったペンキ用の筆とペンキを取り出し
後悔しないように思い切って書きなぐった。


日の光もだいぶ長くなってきた。
時間は18時過ぎてもまだ外は明るい。
まさに落書き日和。
一筆一筆に魂を込めて書きあげる。


マフィアの顔を見るのが楽しみだ。


Ca3a0047_3



無呼吸状態で一気に書き上げた。
文字はマフィア青木が以前から憂っているチベットを想い、書いた。
 

いったいマフィアはどんな顔をして自分のバイクを見るのだろう。
楽しみにしながら、私はまたホフク前進で家に逃げ帰ったのだった。


明るく生こまい
yoshi-HERO