前回まで


『そっかあ。
クモリン族の鼻クソはクモの上にあるものだけを食べているから、
あんなにキレイな色で輝いているのね。
ところでショージ。
あなたいつまで地上にいるつもりなの。
このままずっと黒い鼻クソほじってるつもりじゃないでしょうね。』


ショージはまたつい自らの限界を試している鼻クソをほじりながら言いました。


『ギクッ。
僕は別に地上に居続けても構わないと思ってるんだけど。
だって食べ物も色々あるしさ。
どうせクモの上にいても僕は曇っているだけだし。
アマーン族やユッキー族みたいに雨や雪を降らせる仕事があるわけじゃないし。
それならクモの上も地上も同じだよ。』


そして言葉の最後に流し目をしながら、別に、とポツリと言いました。
クモの上の人たちから追放されてしまったショージは、
ちょっとひねくれてしまっているようでした。


『ああもう。情けない。
あんたにはあんたの仕事があるのよ。
あんたが自分の仕事に誇りを持てなかったから、
そんなブクブク太って地上に落ちちゃったのよ。
あんた地上の人たちにとって、とても感動させる仕事をしてのよ。
クモリン族の鼻クソは人々の心をとても癒やしてくれるし、
鼻クソが落ちるとき大きな虹がかかるでしょ。
あの大きな虹のおかげで、どれだけのヒトが足を止めて、
心が晴れ渡るような気持ちになっていることか。
アマーン族やユッキー族にはできないことを、
クモリン族のあんたはできるのよ。
自信持って曇ってなさいよ。
それで時々鼻クソほじってなさいよ。』


Itumadeujiuji


エイミーちゃんは腰に手を当てて、ショージに言いました。
ショージははっとした様子です。


『えっ僕は鼻クソほじっているだけで、みんなの心に感動を与えているの。
僕ずっと悩んでたんだ。
一体僕は何のために生きているんだろうって。
だから、クモの上で暴飲暴食をしてこんなに太っちゃったんだ。
でも今エイミーちゃん…だったよね。
君が言ってくれた僕の鼻クソでみんなが感動してくれている話。
なんだかそれを聞いたら、心が救われたような気持ちになったよ。
僕…できることならもう一度クモの上で曇ってたいな。
それでまた虹色に光る鼻クソをほじりたいな。』
『よしっ、ショージ。
じゃあオイラたちと一緒に行こう。
LOVEマシーンのいる頂上まで。
ここで一人でいたって何の進展もないさ。
頂上に行けば何かあるかもしれない。無いかもしれないけど。
なんせこのテ=レビ山は毎回山の高さや地形が変わる山だからね。』


そして三人はこのちょっと哀れなクモリン族のショージと一緒に頂上を目指すことになったのでした。