相場英雄「震える牛」 | 八ヶ岳南麓の里小屋から -for comfort life-

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静岡県と山梨県、2拠点居住のおじさんです。思ったこと、美味しかったこと、楽しかったこと、等々を気ままに綴っていきたいと思います。

”初めての作家さん”にチャレンジしました。

最初に僕の本遍歴をご紹介しますと・・・

サラリーマン時代後半のブログ「単身赴任おじさん日記」でも書いてますが、読む作家に偏りがあり”新たな作家さん”への挑戦は少なかったです。


今回は、新聞に派手な広告の出ていた作品に目がとまり「このシリーズの最初の作品を読んでみよう」というモチベーションでのぞみました。

概要はGoogle Booksから引用します。

警視庁捜査一課・継続捜査班に勤務する田川信一は、発生から2年が経ち未解決となっている「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」の捜査を命じられる。初動捜査では、その手口から犯人を「金目当ての不良外国人」に絞り込んでいた。

 

しかし・・・

基本は「刑事が過去の殺人事件の犯人を追う」という体裁ですが、その背景はタイトルになった「震える牛」こと(発行から10数年経っているのでネタバレしても良いと思い書いちゃいますが)BSE(旧称”狂牛病”)に絡んだ腐った大企業のエゴを抉(えぐ)り出すという仕立てにうなってました。

物語は・・・

「刑事であり主人公の田川」「大企業の闇を暴こうとする記者の鶴田」「その大企業を創業時から支える滝沢」という3人の視点から展開されます。

印象的だった箇所です。
記者・鶴田のこの言葉に物語の本質が垣間見えます。「元々国内市場に見切りを付けていたことは知っています。全国の商店街をシャッター街に変えたあげく、ショッピングセンターという巨大な廃墟を作って、今度は中国に行って同じことをやる」・・・

 

経済記者をしてきた相場さんが言いたかったことのひとつなんだろうと思いました。

事件の全容を明らかにした田川ですが、警察内および官邸内でその中枢は握りつぶされることになります。そんなことを捜査一課長から告げられた際の田川の言葉。

 

「分かりました。ご指示通り休暇を取ります。それから、本職を一日も早く所轄に回してください。本部の高度な政治ゲームにはついていけません」・・・

 

警部補という階級で吐ける最大の言葉だったんだと思います。

読み終えて「物語の巧妙なつくり」と「主人公・田川の人間味」をあらためて感じ「次の作品が楽しみ!」と実感しました。

相場英雄さん、良いじゃあないの~!

 

今日も暖かくなりそうな静岡の自宅にて

 

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