車いすレーサーの長屋さんと馬事公苑まで移動してみました | 佐藤美樹(さとうみき)のサトミキ☆ブログ

車いすレーサーの長屋さんと馬事公苑まで移動してみました

これまで、世田谷区内のバリアフリー状況についてや、
車いすレーサーの長屋さんと私が行ってきた活動についてはブログで紹介させて頂いています。
※長屋宏和さんについて:
http://www.piroracing.com/

※過去のブログ:http://ameblo.jp/satmik/entry-11990065022.html

今回は東京オリンピック・パラリンピックでの馬術の会場となった馬事公苑まで、
実際に車いすで移動してみて、バリアフリーについて検証してみました。

馬事公苑に向かうルートとしては、来訪される方によって様々あるかと思いますが、
今回とったルートは以下:

①明大前で集合→井の頭線渋谷方面行ホームへ
②下北沢で小田急線に乗り換え
③千歳船橋で下車→バス停へ
④東急バスで馬事公苑へ


①明大前で集合→井の頭線渋谷方面ホームへ:
長屋さんが、おもむろに明大前で改札横の駅員さんのところで
「千歳船橋まで行きたいんですけど」と伝えます。行先を伝えると乗り換え含め、
駅員さんのほうで「ルート表」みたいな小さな紙を作成して、この時点で関係する各駅に連絡がいく仕組みになっていました。

↑駅員さんに行先を伝えて移動開始


↑井の頭線ホーム行のエレベーター

 スムーズな移動をサポートする仕組みに感動しました!でも、一方で、このようにルートを決めてしまうので、例えば途中で乗換え駅を変えるといったルート変更はできないとのこと。

②下北沢で小田急線に乗り換え:
悪名高き下北沢の乗換です。
井の頭線から小田急線まで4つのエレベーターを乗り継ぎます。
以前、ベビーカー時代に1回乗換たことがあって「二度とこの駅でベビーカーで乗換えはしまい」と思ったことがありましたが、状況変わらず。やはり大変です。
小田急線側の2本については、今後の工事で1本になる予定だそうですが、それでも3つ・・。
小田急側のエレベーターになったところで、駅員さんが小田急の方に交代となりました。

↑まずは井の頭線ホームから小田急線ホームにむかって1つ目エレベーター

↑井の頭線(京王電鉄側)2つ目エレベーターに乗ります。

↑2つ目降りて次は小田急側へ。ここまでで京王側の駅員さんは終了です。
このあと小田急線側のエレベーターに2つ乗り、やっと小田急線ホームへ。

③千歳船橋で下車→バス停へ
千歳船橋駅下車し、バス停に向かうまでの道で、千歳船橋駅周辺道路の舗装が改修され車いすで移動しやすくなっていました。
歩道が車道に接するフチの部分の段差により通常だとガタっとなりますが、
斜めの角度にカットされた縁石により常にスムーズな移動できました。

↑千歳船橋駅で下車。長屋さんの乗車位置について、下車する駅の駅員さんが、乗った駅から連絡うけているので、降りるときにはすかさずスタンバイ。
たまに、連絡がモレたり違う車輌・ドアで駅員さんが待っているなどのミスもあるそうです。「そういう時はお客さん(乗客)に手伝ってもらいます」と長屋さん。


↑駅周辺の歩道の改修状況。この縁石が斜めになっているため移動がスムーズに。

④東急バスで馬事公苑へ:
バスに乗る際は、運転手さんが「乗りますか」と声をかけてくるので、乗る旨伝えるところからスタートです。
後方にあるドア入口と歩道にスロープを設置して乗り込みます。
乗り込む際、長屋さんが運転手さんに「車止め2個で大丈夫なので」と伝えていました。

バスは揺れるので、車いすの固定が必要になりますが、想定されている固定方法だと
長屋さんいわく「5分くらいかかる」そうで、長屋さんは「車止めがあれば十分なので」ということで、乗るときにすかさず車止めの用意を運転手さんにお願いするそうです。
 
↑後ろのドアより乗車。ドア付近には折り畳み式のスロープが備え付けてあります(今まで気づかなかった!)


↑電車と異なり、バスには駅員さんがいないため運転手さんがこうした車いすでの乗車のすべてを作業します。そのため、混雑時にはちょっとイヤな顔をされたり、また慣れていない運転手さんだと時間がかかってしまったりするそうです。

↑バス内の車いす固定箇所近くの壁に提示されているインストラクション。「こんなことやっていたら時間かかってしまう」そうです。

↑簡易的に固定できる「車止め」。

馬事公苑について、けやき広場で記念撮影。
明大前から馬事公苑までの移動時間は約1時間でした。


↑馬の銅像前で記念撮影。私と長屋さんの間に小さな手(娘)のピースが・・。

千歳船橋駅に戻るには、祖師谷方面行きが止まるバス停から乗りますが、
ここのバス停付近は歩道が狭く、その割に自転車が多く通るので、
バス停付近で車いすで待つこと自体、車いすユーザーにとって危険なこともありそうです。



世田谷通り下り車線側にあるバス停。自転車が通らないようにする(道路側の自転車レーン設置)か、バス停部分の歩道拡幅かしないと、車いすユーザーが待機するには狭い。

<移動してみての感想>
公共交通の移動そのものは、ハード面(設備)・ソフト面(駅員・運転手さんへの人材教育含め)ともに、かなりバリアフリーへの対応が進んでいると思いました。
ただ、乗換えが発生する際の移動やバス停付近の道路整備部分にはまだ細かな課題がありました。
電車に比べるとバスのほうが、課題が多そうです(運転手さん自体が乗り降りのサポートをしなければならない、固定方法、バス停、など)。

馬事公苑へのアクセスの主要ルートがバスになるようであれば、
こうした課題解決を考えなければならないと思います。