基本構想に関する勉強会 | 佐藤美樹(さとうみき)のサトミキ☆ブログ

基本構想に関する勉強会

先日、公益社団法人日本生産性本部の佐藤亨先生を講師にお招きして、基本構想についての勉強会を実施しました。
世田谷区の基本構想は、6月の議会(第2定例会)において、基本構想を議会の議決事件とすることについて採択しており、来月の議会(第3定例会)において、いよいよその基本構想素案自体を採決することとなっています。

すでに素案については、区民からのパブリックコメントの募集やタウンミーティングを通じての意見交換がなされ、内容について大きな修正などはおそらくないまま議会採決にむかうようなタイミングではありますが、改めて、基本構想とはどういうものなのかについて専門家の意見を伺いました。

ざっくり言って基本構想+基本計画ひっくるめた全体を「総合計画」と呼ぶ場合に、そのパターンとして、3つの類型をそれぞれ自治体事例を用いて説明いただきました。
即ち、総合計画を

1.行政のマネジメントに使うものと位置づけるパターン
2.行政と地域の各主体が地域の課題の共有に使うためのものとするパターン
3.上記2つのハイブリット(基本構想を市民主体、基本計画を行政主体で策定)

タイプ1の事例としては多治見市、タイプ2では東海村市、そして「一番進んでいる」というタイプ3として滝沢村を取り上げて説明いただきました。

世田谷は、一応タイプ2を目指したと思いますが、東海村市のように基本構想に住民意見が反映されるような会議体を策定プロセスに用いなかった(審議会メンバーに公募区民委員の方は入っていましたが、89万人区民のうちの2-3名という規模)のと、今後の運用面でも区民からの進捗評価がなされるようなプロセスを設けていないので、目指している(いた)方向にみあった策定・運用プロセスになっていない現状。

また、先生から世田谷の課題として、上述の住民参加のポイントと、運用評価のプロセス以外にも「基本構想に対する議会の関与は十分か」という点についても挙げられました。
今回の基本構想策定については、審議会で議論をし答申をだし実質これがほぼ素案になっているので、この審議会議論が「誰により」「どう」なされたかが重要。
しかし、当会議体に議員選出委員が入ってしまっているので、その後に議決といっても形骸化してしまう(自分たちが策定段階に関与しておいて後で否定しにくい)のでは?という論点です。

このように審議会メンバーに議員が入っているケースは、全国の地方自治体における基本構想策定の44%を占めているとのこと。全国的に、基本構想が形骸化しがちな傾向にある一因はこの辺にもありそうです。

本題と少しそれますが、事例で紹介された多治見市の基本構想では、基本構想内に財政向上目標について盛り込んでいました。
またその目標も、財政健全化判断比率(おなじみ4つの指標。おおよそどの自治体も「健全」となるような算出式)ではなく、独自の指標を設定し方針を設定していて大変興味深かったです(長期計画策定に際し財政インパクトを考慮することは民間では当然のことですが・・)。
※多治見市/財政向上目標・財政健全基準:
http://goo.gl/9i2jQx