では、『海に棲むのは』編の続きを書いていきたいと思います。前回、『鳥居 茜』がナンパされるといった騒動が起きたりしましたが…。この『小説もどき』はゲームの中の世界観を基に書いた、いわば『二次創作』という分野のものになります。いつものように好き勝手に書いていますので、もし閲覧して下さる場合はご注意を❗️
「あ~…とても美味しかったですわ。ごちそうさまでした!」
「いいえ~。満足してくれたのなら嬉しいです~。…と言っても、材料やタレを準備したのは夏ちゃんですけどね~。」
数分前まで堪能したバーベキューの感想を宮城が口にすれば、鳥居をナンパしていた2人の男『高沢 一平』と『坂田 剛』の仲間である女の1人…『森 絵莉花』は微笑みながら応える。彼女らしい少し間延びさせた口調でだ。そして森のその穏やかな様子のおかげなのか。心なしか漂う空気も穏やかなものに変わっていた。少なくてもバーベキューを食べる前に起きていた騒動…鳥居を高沢と坂田がナンパし続け、危うく1振の刀剣男士とその『審神者』を消さなくてはならなくなる状況を忘れてしまいそうになるぐらいには。
それらの事を過らせながらも宮城と鳥居、更に日暮の3人は各々の刀剣男士達と共にバーベキューの後片付けを行っていた。きっかけが鳥居へのナンパとはいえバーベキューに誘ってくれその準備や調理をあの4人、特に森と『河江 夏子』が中心になり行ってくれたのだ。その代わりに後片付けを行いたくなるのは当然といえば当然だった。もっとも『審神者』が普段過ごす本丸は現世よりも基本的に自分達の手で様々な作業を行い、必然的に慣れてしまっていたからだろう。バーベキューに使用した道具の清掃だけでなく生ゴミの処理も含めた後片付けに要した時間も短かったのだが。
だが、後片付けの時間が短く済んだおかげで良い事もあった。4人の男女の内、河江と森との距離が少し縮まったのだ。大学の頃に高沢と坂田とも知り合い4人で遊ぶようになった事。更には河江の親友…『吉本 裕美(よしもと ひろみ)』と森の兄『楓季(ふうき)』が交際していた事で、2人がもっと親しくなった事も話してくれたぐらいにはだ。そして…。
「…え、吉本さんもお兄さんも海の事故に遭われたんですか。」
「ええ。楓季さんの方は意識が戻らなくても何とか命は助かったんだけど、裕美の方は助からなくて…。『もう少し発見が早ければ助かっただろう。』って言われたりしたから悔しくって。けど、それ以上に悲しかった。」
「そうなんですよ~。しかも裕美さんが亡くなった後すぐに、今度は私のお兄ちゃんが同じように海の事故に遭っちゃって~。私もショックだったんです~。でも場所が場所だったから恐くもなってました~。『海のお化け』に襲われたのかもとか思ったりしたから~。」
「『海のお化け』って…。」
「もしかして現場って、ここから近い場所…いいえ、数百mぐらいしか離れていない入り江の方かしら?」
「え~何で分かるんですか?お兄ちゃん達の事、知っていたんですか~?」
河江と森の話を聞いている内に『ある事』に気が付いた日暮は、それが思い違いではない事を確かめるかのように問いかける。すると森からの言葉で決して思い違いではない事を確信。そして驚いている森や、日暮が何に気付いたのかを分かっていないらしい宮城達の姿に促されたのか。再び口を開いた。
「あなた達のお兄さんやご友人…『森 楓季』さんと『吉本 裕美』さんの事は知らない。残念だけどね。私が知っているのは2人が海の事故に遭った場所…入り江についてよ。今言っていたみたいに『『海のお化け』がいる。』って噂がある場所だから。」
「『海のお化け』…ですか?」
「ええ。実際、水中ドローンとかを含めた高性能の機器を使用しても制御不能になって調査が進まないみたい。だから『海のお化け』の噂が生まれたの。といっても、大半の人は怪談の感覚だろうから本気にはしていないと思う。…『そういう事』に理解がある人以外はね。」
「そう、なんですね…。」
「まぁ…私も渦中の入り江の方にはまだ行ってないから分からないけど。でも…こっちの方でも分かるぐらいに海中に違和感があったから調査が出来ないのは仕方ないとは思う。その違和感の正体が『海のお化け』なのかは分からないけどね。」
「…。」
「ちなみに後で私なりに調べてもみるつもりよ。もちろん浦島と一緒にね。」
「ああ!『海のお化け』が竜宮城の鍵になるかもしれないからな。俺も頑張るんだ!」
「えっと…無理し過ぎないで下さいね?」
近くにある入り江の出来事と『海のお化け』との繋がりのようなものについて耳を傾けていたが、話していた内容が内容だったせいか。語り手が容姿は人であっても、まとう雰囲気等が人間とは異なっているように感じさせる日暮だからか。河江や森だけでなく宮城と鳥居ですら動揺してしまう。それでも彼女は『審神者』仲間であり、大切で大好きな友人だからだろう。身を案じる言葉を宮城は何とか吐き出したのだった。
こうして日暮の目的のようなものを改めて知った宮城。そして日暮が目的を果たしたおかげで、ほんの一部とはいえ入り江の真実についても目の当たりにする事が出来た。もっとも真実に触れるきっかけは最悪な出来事だった。坂田と高沢が一時的に行方不明になった後、ほぼ水死体の状態になって発見されるという出来事だったのだから―。
…というわけで、シリーズ第4話目でした。
今回は『河江 夏子』と『森 絵莉花』に起きていた過去の悲劇や、『海のお化け』という不穏な言葉を出してみました❗️ちなみに怪しい空気が漂う場所は今でも存在しているかと思いますが、特に『海』は異様な所だと思っています。怪異や言い伝え等の話があってもなくてもです。そう思い続けているので、今シリーズにてそれを再現したのです。それが少しでも伝わりますように🙏
それでは、また~🖐️