小谷野敦氏『昭和に挑んだ作家たち』佐高信 著 レビュー
作家・比較文学者の小谷野敦さんがAmazonでの佐高信さんの新著「昭和に挑んだ作家たち」のレビューを御自身のブログにもアップされています。
最初のほうに、司馬遼太郎の悪口が書いてある。私は司馬の『坂の上の雲』を評価しないし、『明治という国家』などもかなりおかしいと思うし、幕末ものにおける攘夷派への甘さも感じるし、天皇制のとらえ方にも同意しない。だが司馬は幕末以前を扱った小説もたくさん書いているのに、まるで明治を描いた作家のように扱うのはアンフェアではないか。そして本文に井上ひさしが取り上げられてほぼ賞賛されているが、井上こそ、天皇制の批判者だと言っていながら文化功労者になり、天皇の茶会へホイホイ出かけた、妻を殴ったDV男で、こういうところに、佐藤優とまで対談本を出してしまう(のち決裂)佐高の党派性が如実に表れている。
この司馬遼太郎の悪口と言うのは「前書き」の部分で、電子書籍のKindle部で「サンプルを読む」をクリックすると読むことが出来ます。
確かに前書きで司馬遼太郎さんの批判している内に江戸時代のことを書いた司馬さんの作品は紹介されてはいませんん。だけど司馬さんの「青春小説」が中心であることを佐高さんが論難していることで「国取り物語」「北斗の人」「新史太閤記」など連想する人も多いのではないでしょうか。明治以前の小説に触れていないことでアンフェアさは別に感じられない、と思います。
後段の井上ひさしさんについてはそのとおりだと思います。宮中茶会に出た人では副大臣だった辻元清美さんへも「訣別した」と言った何年後かには辻元応援団としてデモクラシータイムスの番組に出ていますし、大人のワッペンたる勲章を受ける進歩派議員、文化人を佐高さんは批判しますが、田英夫さんが旭日大綬章を、福島みずほさんがフランスの国家功労勲章を受けたり、古今亭菊千代師匠が藍綬褒章を受けたりすることは問題視はしていません。これも佐高さんの党派性と言えるでしょう。私個人の感想として大河ドラマのマニアでもある小谷野さんには、佐高さんが「山田太一は大河ドラマに批判的だった」ようなことを山田氏の項で書いているのですが、そこで山田氏が80年の大河「獅子の時代」(菅原文太・加藤剛ダブル主演)の脚本を書いていることを突っ込んで欲しかったです。ちなみに城山三郎さんも大河「黄金の日日」の原作を書いています。




