元厚生事務次官宅襲撃事件、佐高信さんコメント
厚生省の元事務次官2人の自宅が襲撃された事件で、警視庁に出頭してきた容疑者(46)が展開している犯..........≪続きを読む≫
容疑者拘束という意外な成り行きとなっている、旧厚生事務次官襲撃事件ですが、佐高信さんは毎日新聞にコメントを出されています。
◇「問答有用」の社会に戻せ--佐高信さん
「テロ」の表現は何かおどろおどろしく、「襲撃事件」が妥当だと思う。事件そのものの性格や定義は、事件をどう呼ぶかが決めてしまうので、慎重でなければならない。まずは亡くなられ、重傷を負われた元厚生事務次官と家族にお悔やみとお見舞いを申し上げて以下の話をします。
今回の事件が、5・15事件や2・26事件のように政治家が対象とならなかったのは、政治家不在の「官僚天国」という現在の国のあり方を端的に示しているのではないか。国家システムの中にある役人と、周囲には温厚誠実だったという元次官2人の個人の問題は別です。亡くなった山口剛彦さんは「年金のスペシャリスト」と呼ばれていた。今回の事件の背景や動機は分からないが、役人として良い年金制度を作れなかったことが原因となった可能性もある。
小泉(純一郎元首相)さんが首相になった後の社会には、論議を嫌う「問答無用」の雰囲気が強まっていると思う。私の言動に対する抗議や行動も年々激しくなってきている。田母神(俊雄・前航空幕僚長)論文の問題でも、田母神さんは「自衛官も言論の自由がある」と言った。しかし、言論の自由とは、相手の言論も認める自由であって、自分の主張だけを並べ立てる自由ではない。首相で言えば、小渕恵三元首相は私の肩をたたきながら「批判する人も必要だから」と言うような人だった。問答無用ではなく、「問答有用」の社会に戻さなければならない。
襲撃事件はまったく肯定しない。ただ、年金問題を知れば知るほど私は恐ろしくなってくる。社会保険庁は国民が加入する国民年金は流用したが、公務員の共済年金からは流用しなかった。国民の年金の実態への怒りは、あまり表れていないが、日本列島を覆っていると思う。国民の怒りや老後への不安が、政治家や役人に伝わっておらず、政治家や役人は共有する姿勢もみせない。政治家や役人が公僕たる務めをまったく果たしていない。
政治家や官僚、官僚OBが周囲の警備を強化するのは必要だ。必要だが、国民の年金を流用していたしょく罪意識を持たなければならない。政治家や役人にそのしょく罪意識がないことが、今回の凶行に走らせた「時代の空気」だった可能性もあると思う。
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◇昭和以降の要人を狙った主なテロ事件
1930年11月 浜口雄幸首相が東京駅で右翼に狙撃され、翌年死去
http://news.ameba.jp/domestic/2008/11/21838.html
>テロというのはおどろおどろしい。
「年金テロではない」という容疑者本人が報道機関に送った可能性のあるメールが話題となっています。佐高さんが言うようにテロ性でなく襲撃事件だ、と言う考え方もできるでしょう。
何を持ってテロとするのか。その考え方によってこの事件に対するとらえ方は代わってくることと思います。容疑者が警察に出頭してくる前ですが、ノンフィクション作家の溝口敦氏は共同系の新聞で「これはテロである。」と語っています。
今回は佐高さんの見解が当たってしまうということになりました。