07年6月25日東京スポーツ「毒筆啓上」
毎月最終月曜日に掲載される、東京スポーツの佐高信さんのコラム「毒筆啓上」ですが、先月は佐高さん得意の手紙形式コラムで、そのあて先は安倍内閣「教育再生会議委員」でJR東海会長の葛西教之さんでした。
葛西さんといえば旧国鉄民営化三人組として民営化反対論者の佐高信さんにとって仇敵の存在です。
その葛西さんのJR東海では新幹線で身体障害者の「ハンドル式電動車椅子」での乗車が拒否されていることを佐高さんは質します。
昨年の10月14日にある車椅子使用者の方が大阪から高速バスでの上京の帰りに小田原駅までの私鉄でのバリアフリー適合車両では問題なく乗車できたのに小田原からの新幹線では乗車を断られたことを咎めます。
切符は販売しておきながら、乗車を拒否されたDPI(障害者インターナショナル Disabled Person Internationalの略か)の今福義明さんも、バリアフリー新法の国会審議で当時の北側一雄国土交通大臣の「乗車拒否はあってはならない」という言葉は空しく響く、との言葉も佐高さんは引用します。
このJR東海の乗車拒否は大阪法務局でも「不当な差別的取り扱いで重大な人権侵害にあたる」という是正勧告を受けているということを佐高さんは言います。その勧告を勝ち取った人は
「ハンドル型とジョイスティック型が区別されること」を無批判に前提とした「ハンドル型調査研究報告書」によってすべてのハンドル型を拒否するのはムリな段階に至っているので「舗装具給付されたハンドル型のみ」「身障手帳でなく給付証明書提示で」乗車を認めよう」となっており、乗車の可否判断は鉄道事業者の判断にゆだねるとなっている、と言っている。と佐高さんは引用します。
鉄道事業者の判断にゆだねるということで西武や小田急などは「ハンドル型」の電動車椅子の乗車が認めているのに対し、JR東海が「しらんぷり」だということを佐高信さんは「教育的にも重要な差別問題だ」としてJR東海の葛西会長に「あなたはどう考えているのですか?」「それとも人権など無視するのがあなたの教育思想なのですか?」と問うています。
さて、私はこのコラムをまず一読しておぼろげに「JR東海は身障者を差別している酷い会社なのかもしれないなぁ。」と思いましたが、専門用語が多く使われているのではっきりと納得したわけではありませんでした。
そこでネットでわかる範囲で調べてみました。
まず電動車椅子ですが、後に出てくる報告書にあるように「ジョイスティック型」と「ハンドル型」に大別されます。ジョイスティックとはすなわち操縦桿のことです。そのジョイスティック型電動車椅子とは簡単に考えれば普通の車椅子を電動化したもので操縦桿(ゲーム機のコントローラーもこの形状のものがある。)を操作して動かすものです。
- 電動車椅子 JWX-1(ヤマハ)
- ¥358,200
- パムック
一方ハンドル型とは文字通りハンドルで操作を行うもので形としてはスクーターに近いです。
- 電動車椅子(電動カート) 遊歩スーパーカスタム
- ¥331,000
- サンエムe-ショップ
電動車椅子(電動カート) 遊歩エンペラー
- ¥342,000
- サンエムe-ショップ
こちらの報告書
にあるように最近ではハンドル型の所有者が伸びています。便利さ、操作のしやすさ、経済性などが人気の理由であるということが考えられます。
ハンドル型の問題として一番にあるのは報告書にあるようにその回転半径の長さがあげられるでしょう。回転半径が長ければホームなどが混雑している場合に人の流れに滞りがおこるおそれが出てくるかもしれません。またその形状からハンドル型電動車椅子はスクーターが駅構内を通行しているような危険性が連想されるかもしれません。
いろいろな意見があります。佐高さんは身体障害者の立場でJRの人権侵害を批判します。しかしながら他の乗客との兼ね合い、設備など会社の事情、新幹線という特殊な状況に配慮した判断をするべきだという人もいます。
ただ私がひとつ思うのは、この問題はこの時期、東京スポーツの連載に適合しているか少し疑問があるということです。
批判の的としてはJRでも佐高さんが社外取締役として推挙された6月22日JR東日本の株主総会を話題にすれば、総会当日の電線切れによる大規模な不通事件も記憶に浅いことですし、例の革マル派との関連も西岡氏の著書が発売になっていてタイムリーな記事となります。
そしてJR東海の新型新幹線車両N700がこの7月1日にデビューし、その車両ではハンドル式電動車椅子での乗車が可能
である。と報道されているようです。(ソースおよび実態不明)JR東海が「しらんぷり」であるとはいえないということになるでしょう。
この東スポ連載は佐高さんと辛淑玉さんの共著「ケンカの作法」で以外、ほとんど単行本化されていません。
また、東スポを読む人はあまりこういう身障者問題に関心ある人は少ないでしょう。ほとんどが、プロレス、男セン、競馬予想記事に興味がある人だと思います。どちらかといえば病院の待合室などで置かれるサンデー毎日向けじゃないかなという気がします。
JR東日本の実態(東海は不明)
http://www.jreast.co.jp/equipment/equipment_1/wheelchair/index.html
西武ではこのようにハンドル式で平成16年から乗車可となっています。
http://www.seibu-group.co.jp/railways/unyu/handle/index.html
公共交通機関におけるハンドル型電動車いすの取り扱いについて
http://members.jcom.home.ne.jp/wheel-net/2003/dendou-isu/010716.htm
参考
JR東海が電車や駅構内で一律にハンドル型電動車いすの利用を拒否しているとして、大阪法務局(梅津和宏局長)は16日までに「身体障害者への不当な差別的扱いで、重大な人権侵害に当たる」として、利用を認めるようJR東海に勧告した。
ハンドル型電動車いすはスクーターに似た形で、自分で運転して移動できる。国土交通省などによると全国で約6000人が利用している。
大阪法務局などによると今年4月、ハンドル型電動車いすを使用している障害者から、「JR東海管内の電車にいっさい乗れないのはおかしい」と同局に被害の申告があった。
同法務局が法務省人権擁護局とともに調べたところ、JR東海は電車だけではなく、駅構内などの鉄道施設すべてで利用を拒否していることがわかったという。
ハンドル型電動車については昨年3月、鉄道各社や車いすメーカーなどでつくる「交通バリアフリー技術規格調査研究委員会」が、一定の条件のもとで鉄道施設での利用を認めるように提言。国土交通省は同年7月、エレベーターがあるなどバリアフリー化された駅については「利用を妨げるのは好ましくない」などとする指針をまとめた。これに従い、ほとんどの鉄道会社が利用を認めてきた。
大阪法務局はこうした状況を考慮し、「JR東海がほかの鉄道会社と比べて、利用を断る特別な理由があるとは認められない」と判断。障害者が障害のない人と同等に生活することを目指す障害者基本法の理念に反するうえ、「不当な差別的取り扱いで、重大な人権侵害行為に当たる」としている。
勧告は法務省の人権侵犯事件に関する調査・処理規定によるもので強制力はない。
[朝日新聞ニュース速報 2004-12-16-14:10]
http://homepage2.nifty.com/KOKURO/new/04jrnews/041217jrnews.html