前回、JW日本支部が、5月から6月にかけてキャンペーンを行うことについて書いた。今回は、宣教キャンペーンと称して、海外からも奉仕者を呼んで行うようだが、なぜか今回は、「交友」を楽しむことを強調している。宗教虐待にはふれずに、組織内でなんとなく楽しい雰囲気を作ってとりあえず信者を減らさないようにしたいように思える。
 

 

 

これからこの宗教虐待に関連して、エホバの証人はどうなっていくのか、私の勝手な見立てを書いてみたいと思う。あくまでも勝手な予想だ。

 

2022年安倍元首相の殺害を機に、宗教2世へに対する関心がたかまり、旧統一教会の次に、エホバの証人が取り上げられるようになった。それより以前も、エホバの証人がメディアなどで取り上げられることはあったが、今回の騒動との違いをまず考察してみる。

 

1.これまでは、主に輸血拒否に関連して、報道等で取り上げられることがあった。裁判の事例では、本人の信仰の自由を根拠に尊重されるべきという判断が多かった。未成年の子どもに関しては、あまり取りざたされず、医療関係者の間では、緊急時には親権を停止することができるということは知られていたようだが、他ではあまり知られていない。

今回の訴えは、未成年の子どもに親の信仰を理由に輸血を拒否させるのは、信仰の強要であるという訴え。児童への虐待の疑い。

 

2.これまで、エホバの証人の異様と思われる習慣がテレビで、ドキュメンタリー等で取り上げられることはあったが、「エホバの証人」という名前が伏せられていることが多かったが、実名で取り上げられることが多くなった。JW内部的には、JW以外の他のおかしい宗教もある、というのではなく、エホバの証人がおかしいとはっきり報道されるようになった。(以前はよく統一教会や、オウム真理教の情報番組を見て、変な宗教だねってわらいながら、JW仲間と話していた。)

 

3.これまでもテレビなどで、エホバの証人に関してネガティブなことが取り上げられてきたが、多くは、いわゆる「変な」宗教という印象を与える程度だった。つまり、輸血をしない、一般の行事をしない、集会がある、つまり「変だ」という印象。そこで育った子供に関しても、他にも家庭内暴力など恵まれない家庭で育つのと一緒のように、かわいそうだね、と思わせる程度のものだった感じがする。言い換えれば、「変」ではあるけど、まあ、宗教の自由が保障されているから何とも言えないと、結論されることが多かったと思う。それゆえ、周りの人に何かできることはないという印象を与えたと思う。また、エホバの証人内部からすれば、ごく一部のエホバの証人が嫌いな人が騒いでいるだけ、サタンがメディアを通して、エホバの証人に関して悪い印象を与えようとしている、サタンの攻撃だ、無視しておけばいい、という形で認識されていた。
しかし、今回の一連のメディアの報道は、エホバの証人が「変だ」とか、「変わっている」ということではなく、具体的にどの行為が倫理的に、また法的にいけないのか、また、(完全ではないものの)統計を示すことにより、実際に、どれほどの被害が起きているのか、実態を政府機関やメディアに示した。つまり、単にエホバの証人は「変だ」と言っているのではなく、虐待をしている、法的に、また倫理的におかしいという具体的な批判だ。

単に「変だ」と言ってくるのであれば、確かにそれ自体がヘイトだ、いじめだと被害者ぶったり、あるいは、サタンの攻撃だとすればいい。しかし、こうした具体的なしかも数字や実際の証言をもとにした訴えを、単に一部のエホバの証人を嫌っている人のデマ、偏向報道だとは言えない。JW内部としては、依然として単にサタンの攻撃だとしているが、実際の具体的なJWへの批判に対しては、答えていない。報道によれば、日本支部は、そうした報道は間違っていると言っているようだが、今のところ何の根拠も示していない。

 

4.3.と似ている点だが、これまでは単純に、エホバの証人が「変だ」というあいまいなものだったのにたいし、2023年11月にある反エホバの証人団体によって告発されたものの中に、性的虐待が含まれていた。性的虐待の告発に対して、それをなかったことのように扱うことは、宗教団体としてできない。少なくとも何らかの証拠を提出する必要がある。

 

5.これまでの政府の対応は、どちらかというとエホバの証人に対して有利に動いてきた。恐らく「宗教の自由」を掲げると、宗教に対してできるだけかかわらないようにというスタンスだったのだろう。また、公明党の母体となっている創価学会や、他の政治に大きく影響を与えている宗教団体の手前、宗教を規制するのを躊躇していたのかもしれない。これまで、宗教に関してはいつもあいまいさを残してきた。

しかし、2022年の安倍元首相殺害の事件以降、宗教2世が取りざたされて以来、宗教が取りざたされた。今回は、宗教全般というより、ある特定の宗教、つまり級統一協会とエホバの証人というものに限っては、政府が調査や制限をする動きが出てきた。(なぜか創価学会に関しては、統計によれば、宗教2生問題などある程度問題も提起されているにもかかわらず、メディアではほとんど取りざたされない。)エホバの証人も実態調査を開始し、宗教虐待Q&Aはエホバの証人を対象に作られているようなもの。

 

6.世間の知名度に関しては、以前はエホバの証人が「輸血拒否」という部分だけ知られていたかもしれない。

しかし、今は、エホバの証人が、体罰が強調されていたこと、排斥という制度があること、輸血拒否を子供に強制させていることなどが知られるようになった。

 

7.これまで、エホバの証人がおかしいと取りざたされることはあったが、それはエホバの証人ではない、外部の人たちによるもので、実際に被害をうけた被害者が多数いたわけではない。(一部を除き)実際に内部をしらない人たちであれば、うまく説明して、いわば言いくるめることもできた。

しかし、現在になって、エホバの証人が爆発的に増えた、1970,80,90年代にエホバの証人になった人たちが子供たちが、実際につらい思いをして、被害を訴えている。それらは実際に内部にいた人たちであり、しかも今回の報道を通して明らかになったように、そうした人たちは多数いる。例として、鞭の問題も、「エホバの証人は特に体罰を推奨していないが、ある人たちは厳しいを体罰をしたのかもしれない」といえば、エホバの証人を知らない外部の人たちだけであれば、それで納得したかもしれないが、エホバの証人2世たちは、元、現役ともに、実際にどんなことが行われてきたかを見てきているので、日本支部も嘘をつくことはできない。

 

8.世界的な気運として、人権や子どもに対して尊重する風潮がある。

 

9.日本だけの問題ではなく、アメリカ、オーストラリア、ノルウェーなど、エホバの証人の問題が、一般の裁判で取り上げられ、性的虐待、隠ぺい体質、排斥問題などの問題点が明らかになってきている。

 

10. これまでは、ものみの塔出版物に書かれていることだけが、証拠だったため、実際に強制があったか、などはっきり証拠がなかった。報道によると、内部をよく知る、元幹部(長老やHLCメンバー)や現役JWがエホバの証人の問題を指摘している。それらの人たちは、会衆で読まれた手紙や、HLCでの活動など、実際に見聞きした内容を伝えている。

 

思いつくままざっと書いてみたら結構いっぱいあった。もう少し考えたらまだあるかもしれない。日本のエホバの証人は、これまでメディアのエホバの証人をディスる内容があっても、すべて無視という対応で、いわば成功してきた。しかし、上記のことを考えると、この度はそうはいかないのではないかと思う。

 

こうしたことを踏まえたうえで、これから、この宗教虐待問題をJWはどう対処するのか、どんなことが起きる可能性があるのか、書こうと思っていたが、長くなってしまったので、続きはまた。

 

つづく