フィンランド滞在記
2012年9月17日~9月27日
~サーリセルカ⇒ヘルシンキ編~
サーリセルカでの2日目は雨で、3日目は晴天にも関わらずオーロラ発生せず・・・で
残念ながらオーロラを見ることができなかった。
初日にかなりすごいオーロラを見ることができただけに、それ以降も普通に見えると思っていたかも。
やはりそう簡単にオーロラに出逢えるわけでもないんだ、と実感。
だからこそ、神秘のオーロラに人は魅かれるのだと思った。
人間の慣れって怖いもので、ごく普通に、当たり前にあるものは珍しくもなんともないのだから。
もう一度、オーロラ見えるかな・・・見たいな・・・
サーリセルカ滞在を延長しようかと考えた私たち。
一応、宿の人に延泊できるか聞いてみたり・・・
でもオーロラが見える保障はなにもない。
もしかしたら・・・今夜また出るかもしれない。
もしかしたら・・・昨日、一昨日同様見えないかもしれない。
悩んだ・・・
しかし、日本へのフライトも迫ってきていた。
ヘルシンキに戻ることにした。
10:00過ぎに遅めの朝食を食べて、12:45発のロバニエミ行きのバスを待つ。
今日は朝から曇っている。
バス停には私たちの他におじいちゃんがひとり同じバスを待っていた。
バスは北欧の森を走り抜けてゆく。
トナカイがバスの横をかけてゆく。こんな景色を見ることができるのも今日が最後だな・・・
サーリセルカに来てよかった。オーロラを見ることができてよかった。
車窓を見ながらそうしみじみ思った。
途中、なんとかという町のバスターミナルで30分の休憩をはさみ、
予定時間の17:10より少し早くロバニエミの鉄道駅前に到着した。
18:10発のヘルシンキ行きの列車に乗ることができるか・・・列車の窓口で聞いてみる。
予約なしで乗れるとのこと。
よし、18:10発の列車でヘルシンキに戻ろう!翌朝、早朝にはヘルシンキだ。
駅の待合室で列車を待つことにした。
ロバニエミの駅はとてもきれいであたたかい。
私たちと同じように列車を待っている人がたくさんいた。
ヘルシンキまでまた長い列車の旅だな・・・そんなことをしばらく考えて待っていた。
そうしてしばらく時間を過ごしていた、その時だった。
事件は起こった。
「靴の袋・・・。」
たあが目をまんまるにして私の顔を見つめて叫んだ。
私は一瞬で何が起こったかを悟った。
彼はやっちまったのだ。
たあの荷物を見ると、コロコロ転がして持ち歩いている大きなバックパック、
パソコンなどを入れているデイパックはあるが、それとは別に持ち歩いていたはずの白い袋がない。
彼の大切な白い袋がない・・・
中には靴が入っていた。
自分のお土産に、♪とフランスで買った黒革のかっこいいぴかぴかのサイドゴアのブーツと、
ベルギーで買った茶色のぽってりとしたかわいいカンペールの靴の箱が入っていた。
彼はそれが入った白い袋をバスに忘れてきたのだ。
そういえば、バスに乗った時、たあはその白い袋を頭上の荷物置きに置いていたっけ。
「そんなところに置いてたら忘れるよ。」と注意したら
たあは「こうすれば忘れない。」と白い袋のひもを荷物置きから垂らしていた。
しかし出発前にドライバーさんがバス代を回収に来て、
その際にたあの頭上の荷物のひもを奥に押し込み、
さらに荷物置きのフタも閉めてしまったのだ。
2人で顔を見合わせたが、安全上仕方のないことだな。
「降りるときには忘れないでね」って言っていたのに・・・
「取ってくる!!」
慌てて走り出すたあ。
私たちが乗っていたバスはもう駅にはいなかった。
次にバスが止まるのはバスターミナルのはずだ。
駅から歩いて15分くらいのところにあるバスターミナルへたあは走って行った。
もうすぐ列車が来るのに。
やっちまったな・・・
私は荷物の見張り番として駅でたあが戻ってくるのを待つ。
たあのやっちまった事件が私の頭の中を巡る。
あれは、マイアミからロサンゼルスに移動の時だった。
空港で大きな荷物をカウンターに預け、手荷物だけを持って搭乗を待っていた私たち。
私はデイパックを、たあはデイパックとコロコロ(車輪の付いたキャリー)を手荷物として持っていた。
たあのコロコロは大きな荷物を乗せて運ぶために、中米に入る前にアメリカで買ったばかりのもの
だった。
なんだか忘れそうなので「デイパックと一緒に置いておくように。」とたあに注意したが、
たあは「忘れんわ。」と言ってコロコロを椅子の下に置いた。
そして、飛行機に乗った。
飛行機がロサンゼルス空港に到着。
コンパートメントに置いていた荷物を降ろす。
「あれ?たあ、コロコロは?」
「あ・・・」
やっちまったのだ・・・
だから、一緒に置いておけといったのに。
コロコロはひとり寂しくマイアミ空港の椅子の下にひとりぼっちの運命。
そして、あれはアメリカレンタカーの旅第2段(ヨセミテ国立公園&アメリカ西海岸を巡る旅)に出発する前の
ことだった。
出発の前の日の深夜、荷物をパッキングしていたたあが何やらゴソゴソしながら探し始めた。
かばんをひっくり返している。
「カメラのバッテリー入れてたポーチがない。」
え~・・・。
カメラのバッテリー3つとメモリースティックを入れたポーチが見つからないらしい。
「ない。」
「最後に見たのはいつ?」
「オーシャン・ビーチ・モーテル(前に泊まっていたモーテル)かも・・・」
忘れてきたのか。
しかし、この時はついていた。たあの記憶どおり、モーテルに忘れていたのだ。
電話をかけて問い合わせると、モーテルにあるって!
ヨセミテに向かう前にレンタカーでモーテルに寄り、私たちのカメラのバッテリーは無事私たちのところに
戻ってきた。
これ以降、宿を出る時やバスや列車を降りる時には必ず確認。
「忘れ物ない!?」
そういえば、今日バスを降りる時にもたあに聞いた。
「忘れ物ない!?」
「ない!」
・・・・・。
あったじゃないか・・・
たあがパリのお洒落な靴屋さんでいろいろ履いてみて気に入って買ったサイドゴアのブーツだった。
この旅で絶対に買いたい!と思っていてひと目で気に入って買ったカンペールの靴だった。
荷物が増えると移動が大変だからと世界各地での素敵なお土産を泣く泣く諦めていた。
しかし日本への帰国を目前にしていたヨーロッパ周遊中、
悩みに悩んで買った2足。大切な彼の靴たちだ。
靴の袋、あるといいなぁ・・・
しばらく待っていると、バスターミナルからたあが戻って来た。
手ブラだ・・・・
え!?靴の箱、なかったの?
たあが説明してくれる。
どうやら、私たちがバスを降りた後、バスはバスターミナルではなく車庫に戻ったらしい。
バスターミナルに行ってもバスがいない。
オフィスらきし建物に入って人を探すが誰もいない。
どうしよう、と困っていたが、たまたま近くにいた違うバス会社の人を見つけて声をかけ、
サーリセルカからきたバスに忘れ物をした、と相談してみる。
すると、親切にもそのおっちゃんはそのバス会社に電話をかけて確認してくれた。
案の定、たあの靴の白い袋はバスの中にあったらしい。
そして、これまた親切にもその車庫からたあの忘れ物を
バスターミナルに持ってきてくれることになった。
というのだ。
なんとまあ。
まず、たあの靴が無事でよかった!
そして、なんと親切な人に助けてもらえたことか。
というわけで、せっかく駅に戻ってきたのもつかの間、
バス会社の人が靴の袋を持ってきてくれるバスターミナルまで再び走っていくたあ。
とりあえず、現状を駅で待っている私に伝えにきてくれたのだった。
ふたりとも電話を持っていれば簡単にやりとりができたのだろうに。
この時、18:00。
あと10分で列車が来る!
「もし18:10の列車に間に合わなかったら、待ってて!次の21:00の列車にしよう!」
そして、しばらくして汗だくになって再びたあが戻ってきた。
今度は手に白い袋を持って♪♪
この時すでに18:05。
慌ててホームに向かう・・18:10の列車に飛び乗った。
よかった。
たあも、たあのブーツもカンペールも無事に帰ってきた!
<ゆか>
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