私が最初に買ったアルバム(LP)は、荒井由実の「ユーミン・ブランド」だった。高校2年の頃、レコード店で友人が「絶対にこれがいい!」と勧めてくれたことがきっかけである。
確かにそのアルバムには名曲が散りばめられていた。「あの日に帰りたい」、「やさしさに包まれたなら」、「ルージュの伝言」、「翳りゆく部屋」など、今も色褪せない曲ばかりだ。
大学時代、ユーミンから遠ざかったが、東京で働いた1980年代、再びユーミンにのめりこんだ。「VOYAGER」、「REINCARNATION」、「NO SIDE」、「DA・DI・DA」などのアルバムは擦り切れるほど聴いた。
「破れた恋の繕し方教えます」は、当時のほろ苦い恋バナを思い起こさせるし、「リフレインが叫んでる」には東京を離れた頃の哀愁が漂う。
九州にUターンしてから、ユーミンを聴くことはほとんどなくなった。目まぐるしく移り変わる環境に追われ、音楽を楽しむ余裕があまりなかった。また、(最初の)結婚期間には全く聴かなかった。ある意味、恋心とは無縁の日々を過ごしていたからかも知れない。
2010年に独りになり再びユーミンが戻ってきた。独りドライブの楽しさに気づき、まるで昭和の自分を取り戻すかのようにひたすら車を走らせた。気がつけば、ユーミンのアルバムの殆どを買い揃えていた。
独りドライブの中で、「情熱に届かない」、「哀しみのルート16」、「Lundi」、「人魚姫の夢」など心に刺さる曲も増えていった。彼女の曲を聴くと恋をしたくなる気持ちが湧き上がってくるらしい。実際、独りになってから何度か恋をした。
このように、ユーミンの曲は私の人生の時々にそっと寄り添ってきたが、今は英会話仲間のおかげで、彼女の曲がカラオケで歌えるようにもなった。好きな曲が歌えるというのは実に楽しいものだ。
ユーミンとのつき合いもはや半世紀になったが、これからも彼女は歌い続けるだろう。私もユーミンのレパートリーを少しずつ増やしていきたい。これまではメロディから入っていた彼女の曲だが、今後は歌詞をじっくり味わいながら大切に歌っていきたいと思う。(完)
