英語の迷い道(その154)-「夜の帳(とばり)」-朝の微睡の中で考えたこと | 流離の翻訳者 果てしなき旅路

流離の翻訳者 果てしなき旅路

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴16年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

以前の母の部屋を、畳をフローリングにするなど洋間風にリフォームして自分の寝室として使っている。母が使っていたベッドで寝ているがなかなか寝心地が良い。

 

朝方によく夢を見るようだ。夢から覚めるといつも朝の白い日差しが見える。夢は昔働いた会社のものが多い。複数の会社の同僚たちが混じり合って登場する。不思議な話だ。

 

 

目が覚めた後もすぐにはベッドを離れない。ここからの微睡(まどろみ)がまた心地よい。30分くらいあっという間に過ぎてしまう。家内が台所で何か始めた音が聞こえる。ようやく「さあ、起きるか!」となって動き出す。毎朝こんな感じだ。

 

 

「♪~サイレンかすかに遠くから響いて夜の帳(とばり)の幕引き係~♪」

 

上記は宇崎竜童さんの「身も心も」という曲の一部だが、「夜の帳」。阿木燿子さんの歌詞がカッコいい。

 

「帷・帳(とばり)」とは、「室内に垂れさげて、室内を隔てるのに用いる布帛(ふはく)。垂れ衣。垂れ布。」をいう(広辞苑)

 

本来的な意味での「帳(とばり)」だが、コロナ禍の余波で、今でも座席間にパーティション(仕切り)をしている飲食店をよく見かける。「帳(とばり)」も随分と無粋なものになってしまったように思われる。

 

さて、この「帷・帳」を英訳するとしたらどうするか?ストレートに訳せば、やはり curtainか?

 

朝の微睡の中で、そんなことを考えた。

 

 

(問題)

次の日本文の下線部を英語に訳せ。

 

われわれの知る世界地図において、すくなくとも人類の生活可能な地域については、ほぼ19世紀終わりまでに、すべての神秘の帷(とばり)は剥ぎ取られてしまったといってよい。海岸線という海岸線は、幾多大航海者の輩出によって、確実に跡づけられ、アフリカや中央アジアの内部まで、つぎつぎと明るみにだされた。

*中野好夫「世界最悪の旅」

(東京大学・1993年)

 

 

(拙・和文英訳)

On the world map as far as we know, it can be said that most of the curtains hiding mysteries in the areas at least where human beings could live had been ripped off by the end of the 19th century. Further, all the coastlines have been surely traced by the emergence of many great navigators, and the areas down to the inland of Africa and Central Asia have been exposed to light one after another.